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誠司の日常~2~

少しリビングのソファでうとうとしていたらしく、20時前に父親の佳史が帰宅した音で目が覚めた。元来おおざっぱで細かいことを気にしない父親は息子である誠司のシフトは覚える気もないらしく、毎度毎度、
「今日は休みか。公務員は休み多いの~えーなー。俺は休みなしや~」
とだいたい同じセリフである。冷静に考えると3日に1日半は仕事でいないと気づくはずなんだが。
 スーツを脱いで肌着姿で台所にどかっとスワルのがお決まりである。ビールと共に食事がスタートとなった。決まってアサヒスーパードライである。
 地元にしか人気のないプロ野球中継を見ながらダラダラあるようなないような話しをとりとめもなくしながら、食事をするのが誠司の家のルールであった。
 父の上司である支店長の愚痴、銀行家に株や保険は売れんだろうという話、野球チームのだらしなさ、たまーに誠司の仕事はどうだ?という話と時代劇かと思うぐらいお決まりの流れである。
 誠司も誠司で、
「別に普通やで」
と軽く生返事をするのがいつもである。母は母で、明日もパートで朝早いらしくさっと食事を済ませて、台所の後片付けに余念がない。
 誠司も食事を済ませてリビングのソファでTVを見始めた。
 犯罪のニュースが連続で流れていて、ニュースキャスターは天気予報と同じニュアンスで
「何故、犯人はこのような凶悪な犯罪に手を染めたのでしょうか?」
とお決まりのセリフをどや顔で締めくくっている。
 22時半頃に妹の由美がバタバタと帰ってきて、夕食を食べている。どうも誠司は四つ下の妹にいは厳しくできないらしく、早々に、
「兄貴明日休みでしょ?朝学校へ送って。一限で朝早いの」
と甘えられるのである。
「どうせ朝は何もないし、昼からジム行くぐらいやから、ええで~」
とあながち嫌でもない顔で応えてしまった。そのやりとりも父母ともに嬉しそうに見ている。
 誠司は明日午後はいきつけのジムに行ってから本でも探しに少し出かけようと考えていたので、好都合でもあった。ゆっくり風呂に入り、ストレッチして自室でゴロゴロする。ネットサーフィンしたり、音楽を聞いたりが寝るまでのルーチンである。警察に勤務してから時間はテキパキできるようになった。加えて寝れるときにしっかり寝るという意識もつき、そういった習慣になっている。23時半にはベッドでまどろんでいた。


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