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短歌 2024年3月後半

バタバタしていた割には結構書いていたみたいです。





迷路から抜け出た時は嬉しさも寂しさもあり春の青空


星に問うぼくの居場所はどこですか最終電車の音が聞こえる


時間だけ過ぎ去ってゆく窓を見る月が細くてきみにあいたい


三月の嵐が壊したいものにぼくのあしたは含まれますか


まどろみはすぐに逃げ出すてのひらを上に向けても下に向けても


液体になるのも悪いことじゃない微笑むように雪がほどける


飲み過ぎて朦朧とした空の下一面に咲くぼくの足跡


この海のむこうで同じ星をみる同じ想いが同じため息


XもBlueskyも閉じた午後ことばは空を染めようとする


あちこちに穴があいてる優しさが骨身に沁みるときもあるよね


パンを買い白いお皿をもらうのが春の条件だと思ってた


朝日差す部屋が穏やかすぎるからきみの鎖骨も思い出せない


春風よ少し黙ってくれないかあのひとの名が思い出せない


春なんか来なきゃいいのに珈琲の酸味が好きになってしまった


明日からは乗らないバスがぼくのこと忘れるように「つぎとまります」


この町にこぼれた星の囁きを燃料にして灯台は点く


絶望に負けたくはない春なのに曖昧なうた歌ってたんだ


ほんとうに欲しかったからあのひとのことばの丘を走り続ける


望郷の念に駆られた北風がせつない唄を思い出す浜


春ですね。変わることには臆病でまだオリオンを探そうとする


足立区をガザ地区と聞き間違えて少し苦味が増したコーヒー

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