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2023年11月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
Xにあげたものを再掲します。



しろいノートを
ひろげたままで
ことばふるのを
ただまっている
詩をかくことは
こんなにつらい
よるだったかな
おもいだせずに
ジタバタしても
ひはまたのぼる
詩はまたかける
(2023年11月5日)



おとの部屋には
苦しみがない
かぜの部屋には
心配がない
なみだの部屋に
おとが逃げ込む
かぜは窓辺で
戸惑うばかり
ひとの苦しみ
心配などは
こういう冬の
はじまりの日に
目が覚めたのだ
(2023年11月12日)



雪の深さに
絶望を掘る
北国だから
仕方ないこと
いつかは春が
来るはずだよね
沈黙だけが
真実だから
色えんぴつを
取り出してきて
風のしっぽを
塗ってみたけど
それでも山は
まだ笑わない
きみを求めて
手を伸ばしても
痛いくらいに
ぼくだけの部屋
(2023年11月19日)



雪の記憶を
手放せなくて
埋もれることを
恐れていても
時のめぐりは
仕方ないこと

アスファルトから
とどく手紙は
いつもどこかが
濡れているから
鼓動の音が
邪魔になるんだ
(2023年11月24日)



雪が積もれば
あの日残した
足跡だって
隠れちゃうけど
無くすことなど
出来るわけなく
冬の魔法に
閉ざされた日も
天然色の
記憶灯して
まだ、ここにいる
(2023年11月26日)

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