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朝焼け

【チェンマイ俳句毎日】2024年4月5日

朝焼けや僧待つ間の立ち話

毎週金曜日の朝、托鉢の僧侶が家の前を通る。
薄暗い早朝に家の前の道を掃き、ご飯とおかずを準備して待っていると、空が少しづつ明るくなってくる。同じように家の前で待っている向かいのおばあさんに声をかけた。

来週はタイ正月ですね。おばあさんはどこか出かけるんですか?

どこへも行かないよ。みんながダムフアに来るから、家で待つの。

「 ダムフア」というのは、タイ正月に親戚のお年寄りや、日頃お世話になっている上司、年長者を訪ねて挨拶をする風習のことだ。お年寄りに贈り物をして旧年の無礼を詫び、感謝を伝えると、今度はそのお年寄りが新年の幸せを祈りながら手首に白い糸を巻いてくれる。
タイが最も暑い時期だ。さっぱりと清める意味で、お年寄りの手に注いだり、自分で頭に聖水を振り掛けたり、場所によっては、孫たちがお年寄りをごしごし洗ってあげる、なんてところもある。タイの人たちは日頃から親や年配の人を大切にするが、タイ正月ではそれが顕著に伺える。
タイ正月は毎年4月13日から15日。祝日は12日から16日までの5連休となる。1月のニューイヤーよりもずっと盛大だ。チェンマイの街では有名な水掛け祭りをはじめ様々な行事があるが、やはり家族で過ごすことが大切にされている。
今年のタイ正月は帰国するとおばさんに伝えると、糸を巻いてあげられないね、でも日本に居る親にダムフアするために帰るんだね、とうれしそうに頷いていた。ちょっと違うけど、まあ、そうかも知れない。
しばらくすると、お坊さんが歩いて来るのが見えた。


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