古川節子
チェンマイで季語を体験したいと思っています。なるべく毎日投稿を目指しています。
古川のエッセイをまとめました。
渋滞のスクンウィットで年季の入ったタクシーを拾った。瀬戸さんに教えてもらった通りの名前と番地を伝えると、運転手は軽くうなずいた。 なにしろバンコクの土地勘はほとんどゼロなので、渋滞もあるし遅れないようにと早く出てきてしまったら、約束の時間より40分も前に着いてしまった。 空を見上げると薄っすらと青空が見えていて、PM2.5でこのごろは世界最悪の空気汚染を誇るチェンマイより、ずっと澄んでいた。地図で確認すると、すぐ近くをチャオプラヤー川が流れている。時々吹いてくるのは
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月28日 殿様も輪のなか春の阿波踊 お盆に行われる阿波踊ですが、最近は春にも行われているなんて知りませんでした。徳島城公園の中に、櫓のある輪踊りと流し踊り、舞台踊りの3つの会場が設けられていました。今年は徳島新聞創刊80周年記念事業だそうで、 42連、1700人もの人が参加。観光客も親子連れを含めて大勢来ていました。 阿波踊りの起源は幾つかあるようですが、徳島城ができたお祝いとして踊ったという説もあるので、徳島城公園で開催されるのは相応
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月27日 たんぽぽやアルミニウムのべんとばこ 実家の食器棚の奥から、保育園時代のアルミニウムのお弁当箱が出てきた。ディズニーのバンビの絵。懐かしい。昭和感たっぷりのお弁当箱の蓋を開けたら、一気に幼稚園時代の記憶が蘇った。 同じたんぽぽ組の仲良しで、普段からイタズラ好きのたかちゃんが、ちひろちゃんのお弁当を隠そうと誘ってきた。 もちろん、ほんのちょっとびっくりさせるだけだ。たかちゃんは、ちひろちゃんのお弁当箱を私の机の
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月26日 友の子の手のふつくらと八重桜 今日はまた少し肌寒かった。ほんの数時間だったが幼馴染みと過ごした。かわいい盛りのお子さんと相変わらず優しい友とのひと時に心癒やされた。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月25日 放課後の三ツ合橋に逢ふ海月 今日は晴れて昼間暑くなった。三ツ合橋から川を見下ろしたら、くらげがたくさん浮かんでいた。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月24日 滝壺につつじの紅の廻りをり 狛犬の前足長き山躑躅 赤飽きて白を好めるつつじ園 つつじ見の客みな老ひてつつじ園 温暖の十日を急ぐつつじかな 遠き日の緋きつつじの蜜の味 つつじ園に出かけた。山の斜面に植えられたつつじがちょうど満開で見事だった。子供の頃に訪れて以来だったが、所々、うっすらと覚えていた。 帰り道、つつじ園近くの民家の前に座っていたおじいさんに呼び止められた。足が悪くてつつじ園まで行けないと嘆くおじいさんは、雨が止んだ
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月23日 桜蘂降る赤い頭巾の石地蔵 歯科健診の帰り、いつもと違う道を歩いていたら、花桃が満開の小さなお寺の前を通りかかり、花に惹かれて寄ってみることにした。 お堂の前には桜も植わっているが、そちらはもう葉桜になりつつある。石の階段に降り積もった赤い桜の蘂を掃いているお婆さんに会釈をしたら、「ここに座って、この桜の木の根元の辺りを見てごらんなさい」と声をかけられた。 お婆さんに言われるまま、お堂の前に置かれたベンチに座
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月22日 春の空信号待ちにひくルージュ 信号待ちで赤い口紅を塗っている女の子を見かけた。すべてが輝く春。若い人は特に、だな〜。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月21日 麻服の彩雲めける貝釦 服屋を覗くとこれからのシーズンに活躍しそうなリネンや麻の服がたくさん並んでいた。さらりとした涼し気な服を見ていると着てみたくなる。ファッション業界は季節を先取りしていてちょっと俳句に似ている、かも。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月20日 春愁の眸のタコのすべり台 今日はまた少し寒かった。実家に着いた夜に地震があった。大きな揺れではなかったが、それからあまり寝られない日が続いている。すべり台のタコのように空っぽになりたい。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月19日 宍道湖をとほく砂吐く蜆かな 旅立の言葉少なく蜆汁 着いた日の夜も旅立つ朝も、旬の蜆の味噌汁をいただいた。
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月18日 つちふるや千木へ一羽の八咫烏 石見二宮多鳩神社へお参りに行った。この神社には八咫烏の伝説が伝わるという。山中にあって、杉やナギ、シイ、ヒノキの大樹が生い茂る荘厳な雰囲気だ。 神社の屋根には立派な千木が置かれていた。 北部タイの伝統的な木造の建物の屋根にも、この千木によく似たガーレーと呼ばれる装飾があるが、そちらは悪い精霊除けの意味がある。 千木をみていると北タイを想うし、向こうでガーレーを見ると日本を懐かしく感じる。どこかで繋が
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月17日 やはらかに渦巻くちから蕨の芽 珍しく春に帰省したので、あれもこれもと春の恵みが食卓にのぼる。食べたことがないと言ったら、猪肉のすき焼きも作ってくれた。皆で揚げたてのコロッケを食べたり、蕨や蕗を炊いたりしたことは、私にとってかけがえのない春の思い出になった。 (写真は蕨ではありません🌿)
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月16日 御衣黄を蒼く滴る穀雨かな ソメイヨシノの次は青い桜が咲くのよ、と母が言う。青い桜? よくよく聞けば、緑色っぽい桜があるらしい。 それからというものは、外出時は青い桜に出会うかもしれないと気を付けていたら、町外れにある廃線路のトンネル脇に、薄緑色の花を咲かせた桜の木を見つけた。ソメイヨシノよりもひと回り大きな八重咲で、幾つか房状にまとまって咲いている。花弁は限りなくクリーム色に近い薄緑色で、春の光をやさしく集めていて、その木の周
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月15日 日永さの花のかたちの蕎麦ぼうろ お茶とお菓子の団らんの時間。蕎麦ぼうろのちょっといびつな花型がゆるくてほっとする。 ✍️調べてみると、「ぼうろ」というのはポルトガル語で「お菓子」の意味で、16世紀にポルトガルから伝わったそうです。その後、蕎麦粉と卵が加わり、お花見の席に献上される際、今のお花のかたちに変化したという説があるようです。 タイにもポルトガル伝来の、例えば鶏卵素麺と同じようなお菓子が幾つかあり、今も愛されています。蕎
【チェンマイ俳句毎日】2024年4月14日 春炬燵小さき母の肩叩く 春炬燵は憧れの季語のひとつだった。やっぱり落ち着く。うとうとするのも気持ちがいい。家族で大画面のテレビを見ながら、みんな元気でいてくれてありがたいと思う。 数日前まで随分寒かったのに、今日は夏のような陽気になった。春炬燵にぎりぎり間に合った。 大画面テレビの前の春炬燵 春炬燵両親元気で喧嘩せり