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冬青空

【チェンマイ俳句毎日】2024年1月14日

パラシウト冬青空を抱きかかへ

昨日はタイの「子供の日」でした。昼過ぎに近所のコピー屋(コピー機を並べたお店があって、書類から本1冊丸ごとまでコピーしてくれます)で順番待ちをしていると、お客さんたちが、子どもを地区のイベントに連れて行った話などをしています。

チェンマイで子供の日といえば、チェンマイ空港の側にある空軍基地のイベントが有名です。敷地の一部が一般市民に開放され、戦闘機に乗せてもらえたり、航空ショーが行われたりとなかなか大規模なので、県内外から大勢の親子連れが訪れます。

さて、コピー機が空いて私の番になり、コピーの注文していると、杖をついたお爺さんがやってきました。手書きの手紙を1枚持っていて、どうやらパソコンで打ち込んでほしいみたいです。

杖こそついていますが、背が高くて声に張りがあり、にこにこと朗らかでとってもお元気そう。お店の人に親しそうにこう話しかけました。

「子どもの日は何から何まで準備して、それは忙しかったよ」

その話によれば、お爺さんは元空軍兵だったそうで、子どもの日には航空ショーを担当していたといいます。当時は飛行中の機体からパラシュートで飛び降りるという見せ場があり、若き日のお爺さんはそれを任されていました。

ある航空ショーで、一番最初に飛び降りたお爺さんのパラシュートが通常通りに開かず、木の梢に接触して不時着。幸いにも足の骨折だけで命は助かりましたが、以来、パラシュートのデモンストレーションは禁止になったといいます。

「50年も昔の話だよ。足さえ悪くなければ、今でも十分飛べるんだがねえ」
と豪快に笑うお爺さん。手紙は後で取りに来るからと大きな声で言いながら、店を出ていきました。

杖をつく元軍人のこどもの日



※タイの「子供の日(ワンデック วันเด็ก)」は毎年1月の第二土曜日。


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