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毎朝の掃除が習慣になって、家への愛着が深まった

全く定着しなかった習慣もあれば、長く続けられた習慣もある。

定着しなかった習慣は、数え上げるとキリがないが、最近これは続いていると言えるものがひとつだけある。

それは朝の掃き掃除と雑巾がけだ。
なんだ掃除か。当たり前のことじゃないかと思われるかもしれない。そう、当たり前のことなのだけれど、想像したよりもこれが良かった。

それまでは、汚れが気になった時にその都度床に掃除機をかけていた。

数年前に人からいただいたコードレスの掃除機が驚くほど便利で、コードを引っ張りまた引っ張られていた以前とは比べ物にならないほど、速く部屋中を掃除できるようになった。

ただ一つ、弱点というほどではないけれど、掃除機をかける上で気をつけなければならないことがあった。
それは子どもたちが寝ているときは使わないことだった。
せっかく寝てくれた子どもたちを、掃除機の音で起こしてしまうのは忍びない。

そうなると、必然的に朝や夜は掃除ができず、子どもが朝起きてテーブルで朝食をつまんでいる間に掃除機をかけるという、なんとなく間の悪い時間に掃除機をかけるという生活を繰り返していた。


そんなとき、ある人のエッセイを読んだ。

筆者の女性は自身のエクササイズを兼ねて、毎朝床の雑巾がけをするのだという。
育児と仕事という時間の限られた生活の中で、特別に運動をする時間を設けることはできない。
それならば、思い切り身体を動かしながら雑巾がけをすれば、運動にもなり家もきれいになって一石二鳥ではないか、と。

その文章を読んだとき、私は丁度産後1、2ヶ月というときだった。
母乳育児の影響なのか、食欲が旺盛で産後一旦戻った体重は、少しずつ右肩上がりになっている。
このままではどこまでいくかわからない。

何か運動を始めたいと思うものの、2人の子どもと共に生活する中で特別に運動の時間を確保するのは難しそうに思えた。

私もその人に倣って雑巾がけをしよう!


そうと決まればさっそく古くなったタオルを雑巾に作り替えることにした。
雑巾作りなんて生涯で初めてのことである。
小学校の授業で使った裁縫道具を引っ張り出してきて、ネットの説明にお世話になりながら、なんとか縁を縫いつけた。
せっかくならかわいいものをと思って残っていた鮮やかな緑色の糸を使う。

嬉々として雑巾を作る私を、夫は不思議そうに見ていた。


掃除の時間は早朝に決めた。
これなら子どもたちは寝ているし、きれいな部屋で一日を始められて気分も良いに違いない。

カーテンを開けてもまだ外は薄暗い。
ナイロン素材の箒と塵取りを持ってまずは部屋中のゴミを集める。

埃や髪の毛、砂利や紙くずのようなゴミが驚くほど集まる。
普通に生活しているだけで、これだけのゴミが出てくることが不思議でもあり、日々の暮らしの証のようで面白い。

ざっと掃いた後、雑巾をかける。
熱いお湯で洗い、きつく絞った雑巾を床に広げ、昔小学校でやっていたように両手をついて雑巾をかける。

小さな部屋なので思い切り駆けるわけには行かないが、それでも身体を動かしている内に少しずつ体温が上がり、心地良い。
ぱっと雑巾を裏返すと、白かった布が茶色になっている。

掃除は10分もかからない内に終わった。
拭き終わった床はツヤツヤとひかっている。

なんとも気分が良かった。


朝の掃き掃除と雑巾がけを始めてからもうすぐ4ヶ月になる。
運動という名目で始めたものだけど、実際に運動になっているかは別として、飽きずに続けている。

不思議と一度きれいにした部屋は、その後散らかったり汚れたりしてもあまり気にならない。
朝になればまたきれいにできるという安心感があるのかもしれない。

きれいにした部屋の中で、家族が休み、食べ、遊び、また汚れていく。

きれいにしては汚れ、きれいにしては汚れ…
その繰り返しのように思えるけれど、それが暮らしの営みのようであり、家への愛着も深まってくる。


身に付かなかった習慣もあれば、長く続けられる習慣もある。

「続けることが大事」と口癖のように夫は言うが、良いと思えることを続けていきたいものだ。


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