石川 総子/Fusako Ishikawa

ありふれているけれど愛おしい、家族との日常を綴っています/牧師をしている夫と、3歳の娘…

石川 総子/Fusako Ishikawa

ありふれているけれど愛おしい、家族との日常を綴っています/牧師をしている夫と、3歳の娘、0歳の息子との4人暮らし/神奈川県茅ヶ崎市在住

マガジン

  • ちいさいひとのこと

    「お母さん」と呼んでくれる日を楽しみに、今日も在宅で仕事をしながら子どもと過ごしています。子どもの観察、育児関連、子供の遊びなどもまとめていきたいです。

  • 暮らしの記録

  • 会いに行くキリスト教会

    夫の石川有生はキリスト教会の牧師。 どこにでも、誰にでも会いに行く「会いに行くキリスト教会」という活動をしています。そんな夫を近くから、また遠くから見守りながら綴った記録です。

  • 出会った人々のこと

    日々の暮らしの中で、あるいは活動の中でさまざまな人々と出会います。その人々の生き方や想い、そして私自身の想いなどを文章にしました。

最近の記事

「一緒に楽しめる人」になりたい

夫の長所は?ともし聞かれたら、「美味しそうにごはんを食べること」と答えたら彼に失礼だろうか。 テーブルに食事の準備がされるや否や、いち早く椅子に座り、他の家族も座るように急かす。そして、いただきますが終わると「おいしい、おいしい」と言いながら誰よりも早く、そして誰よりもたくさん食べるのだ。 それなのに、喋る口も決して止まることなく、家族に話題と笑いを提供してくれるのも大抵夫なのだった。 そんな夫が共に食事の席にいるときは、3歳になる娘もよくごはんを食べる。 普段はどちらか

    • よごれた服

      我が子は可愛い。 しかし、口でどんなに可愛いと言い、心で思っていたとしても、ふとした瞬間に「子どもよりも、結局自分が可愛いのだ」と悟って恥入る時がある。 分厚い雲の広がる午後のことだった。 数日前から雨が降ったり止んだりを繰り返し、その日も午前中は雨が降っていた。 公園で遊びたい娘はひっきりなしに窓ガラス越しに空を眺め、午後になってようやく雨が止んだことを知るやいなや、「公園に行こう!」と叫んだ。 予報は、その日の午後は雨が降らないと告げている。 娘に靴を履かせ、共に家

      • 犬が苦手な私の心配をよそに、娘は犬を追いかけていた

        友人宅に柴犬がいた。 来客を見てさかんに飛び跳ねているが、犬が苦手な私に気を遣ってか室内に入る扉はぴたりと閉じられている。 普段はベランダと室内を自由に行き来しているようである。 中に入れてもらえないと知ると、くるんと巻いたしっぽがどんどん下がっていった。 悪いと思いながらも、内心はほっとしている。 いつから犬が苦手だったかと記憶をさかのぼると、小学生の頃である。 私が通っていた小学校では登校班というものがあり、近隣の子どもたちと互いに待ち合わせて一緒に学校へ向かう。

        • 毎朝の掃除が習慣になって、家への愛着が深まった

          全く定着しなかった習慣もあれば、長く続けられた習慣もある。 定着しなかった習慣は、数え上げるとキリがないが、最近これは続いていると言えるものがひとつだけある。 それは朝の掃き掃除と雑巾がけだ。 なんだ掃除か。当たり前のことじゃないかと思われるかもしれない。そう、当たり前のことなのだけれど、想像したよりもこれが良かった。 それまでは、汚れが気になった時にその都度床に掃除機をかけていた。 数年前に人からいただいたコードレスの掃除機が驚くほど便利で、コードを引っ張りまた引っ

        「一緒に楽しめる人」になりたい

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          9本

        記事

          夫婦関係は美しいダンスのような関係を築くこと

          レストランや喫茶店で近くに若い男女が座っていると、不躾ながらついそっと観察して、彼らの交際歴を想像してしまう。 丁寧な言葉遣いと仕草。互いに意識していることがヒシヒシと伝わってくる交際前。 互いのことしか見えていない付き合いたて。 どこかリラックスしつつも、楽しそうな交際歴数年といったカップル。 的外れかもしれない彼らの交際歴を考えては一人で勝手に楽しんでいる。 ところで付き合いたてのカップルというのは、誰が見てもそうとわかるような雰囲気を醸し出しているものだ。 2人だ

          夫婦関係は美しいダンスのような関係を築くこと

          低温殺菌牛乳を飲んで、驚いた

          低温殺菌牛乳をご存知でしょうか? それはひときわ値段が高いがゆえにか、なかなか手を伸ばしづらく、たいていのスーパーでは陳列棚の片隅に追いやられている牛乳のこと。 話は変わり、とある友人が我が家に遊びに来てくれたときのことだ。 食事も終わり、何かデザートをというときになって、夫がびわの実を取り出した。 だいだい色をしていて、ピンポンボールよりもやや小さい丸い形をしている、あのびわの実だ。 友人は「びわの実なんて食べたことがない」と目を丸くした。 決してスーパーでは並ばない

          低温殺菌牛乳を飲んで、驚いた

          人は「苦しみ」に複雑な理由をつけようとするけれど

          現在生後4ヶ月になった息子は、生まれたときから母乳をよく飲んだ。 2人目とあって乳腺の開通がよいお陰もあるかもしれないが、毎度授乳の度に「もうお腹いっぱい。これ以上飲めねえや」という感じになるまで飲んでいる。 生まれたときには2500gそこそこしかなかったのに、1ヶ月を過ぎた頃には2倍の5キロを超えていた。大人も同じように体重が増えたら…と考えると恐ろしい成長スピードである。 そんな健康優良児の息子に試練が訪れたことがある。 ある夜、泣いているのでいつものように授乳を

          人は「苦しみ」に複雑な理由をつけようとするけれど

          涙を乗り越えたバレンタインデー

          バレンタインデーは我が家で最も期待されていないイベントのひとつかもしれない。 「今年のバレンタインは欲しいものある?」と夫に聞くと 「何かくれるの?」と意外そうな声が返ってきた。 そういえば去年はチョコをあげただろうか? なにもしないことはなかっただろうけれど、記憶には残っていない(だいたい私は物覚えが悪いのだ)。 一昨年は、有名ブランドのチョコを、チョコ好きの姉に教えてもらい、ネットで取り寄せた。 全部でこの値段だから、一粒は、えーっとこの値段だね、などと言いながら

          涙を乗り越えたバレンタインデー

          2泊3日の入院生活を終えて、SNSを手放した

          「明日から入院しましょう」 助産師さんにそう言われたのは、出産まであといくばくもないという日のことだった。 「入院」 突然の宣告に驚いて、おうむ返しになってしまう。 「入院と言っても、3日間だけですよ」 こういう事態は日常茶飯事なのだろう。こともなげに助産師さんは告げた。 なぜ急遽入院することになったかというと、血液検査の結果、血糖値が高かったためだ。 いわゆる、妊娠糖尿病である。 妊娠糖尿病とは、妊娠中に発見された糖尿病に至っていない糖代謝異常のこと。 つまり私は、

          2泊3日の入院生活を終えて、SNSを手放した

          我が家で毎日食卓にのぼるもの

          結婚してから初めて食べたものがある。 ひきわり納豆だ。 いや、初めてというのは嘘だ。納豆巻きを食べたときにそれと意識することなく口にしていたはずだから。 ともかく、これがひきわり納豆なのだとはっきりと自覚して食べたのは、結婚後のことだった。 結婚する前は納豆を好んで食べてはいなかった、と思う。 出されれば食べるけれど、自ら積極的に納豆を手に取ったりはしない。 ちなみに、納豆に対して中間的な立場は存在しない。そう思っている。 私が知る限り、納豆が好きな人はとことん好きだ

          我が家で毎日食卓にのぼるもの

          夕方4時にお風呂に入ること

          悠々自適な生活とは何かと聞かれたら、好きなときにお風呂に入る生活と答える。 できれば午前中じゃなくて、夕方あたりが好ましい。 一日の活動を終えて、あとはもう夕食を食べて寝るだけ、というタイミングでお風呂に入ると、こんなに優雅な暮らしはないという気がしてくる。 せっかくお風呂に入るのだから、カラスの行水ではなく1時間近く湯船に浸かっていたい。それでも何もなくて1時間いるのは辛いから、つい本を持って浴室に入る。 いつから本を読みながら入浴するという習慣がついたのかは忘れて

          夕方4時にお風呂に入ること

          産後のウレシイこと

          昨年10月末に2人目の子どもを出産した。 産後1ヶ月間は実家でゆっくりと過ごし、いざ12月に始まった家族4人での生活。 「子どもがいる生活って大変だよ」と1人目の出産のときはあちこちで耳にしたし、実際大変なことも多かった。 2人になったらいよいよ大変さも増すだろうと戦々恐々としていたのだけれど、蓋を開けてみると「意外にも楽」。そう感じることが多い。 そもそも子育てにおける大変さなんて主観によるものだし、大変さを感じるポイントは人によって違う。 私の場合、子どもと向き合

          産後のウレシイこと

          君の弟が生まれた日

          病室の白い天井を見つめていると、思い出すのは娘のことだった。 破水したのはまだ夜の明けない午前3時。 異変を感じて布団から飛び起き、トイレで確認すると案の定、下着がぐっしょりと濡れていた。 慌てて病院に電話すると、朗らかなスタッフさんの声が受話器越しに聞こえてきて少しほっとする。予想通り、すぐに病院に来て欲しいとのこと。 玄関を開けると、外は暗闇だ。 夫の運転で病院に向かう。彼が出産予定の病院に行くのはその日が初めてのことだった。というのも、出産予定日はまだ2週間先。夫が

          君の弟が生まれた日

          こだわりを捨てたら、家族と過ごすのが楽しくなった

           良かれと思ってやっていることが、実は家族には負担になっているんじゃないか。  そう気付いたきっかけは、娘への「ちょっと待ってね」という言葉。 「遊ぼうよ」とまとわりつく娘に対して、台所で野菜を刻みながら「ちょっと待ってね」。娘と積み木で遊んでいるときでも、洗濯の終了を知らせる音が聞こえると「ちょっと待ってね」。  今は子どもと遊ぶ時間!と決意しても、頭の中は次にやるべきことがぐるぐる回っていて、そろそろ限界だと思うと乱暴に遊びを切り上げてしまう。  そんなことが続くと、

          こだわりを捨てたら、家族と過ごすのが楽しくなった

          街角の教会で食べるコングクスが美味し過ぎた

          日本でも、多くの異なる宗教を持つ人々、あるいは異なる文化、国籍の人々が暮らしている。普段はことさらに意識することのないその事実が、ふとした瞬間に可視化されることがある。 その日はJR山手線、大塚駅で下車した。 駅前広場に入った瞬間、目を奪われたのは壁のように積み上げられた桃色の提灯。どうやら前日行われた東京大塚阿波踊りの飾りらしい。 見上げるほど高いその提灯の壁を通り過ぎて広場に入ると、多くの人が思い思いの時間を過ごしている。ベンチに座ってスマホを眺めるサラリーマン。車椅子

          街角の教会で食べるコングクスが美味し過ぎた

          母の洗った白いカーテン(日々のたわごと 8/11)

          茅ヶ崎のアパートに母が来た。 今年の夏は暑い。新聞記事を読むと、7月の平均気温は観測を始めた1898年以降と比べて過去最高だと言う。 家の中にいる分にはさして問題ないが、ずっと引きこもっているわけにも行かない。決死の覚悟で外に出て、今すぐにでも倒れるんじゃないかと思いながら家に帰ってはエアコンをフル稼働させている。 そうこうしている内に、夫婦共に体調を崩してしまった。 二人とも咳が止まらない。加えて、夫はある日急に坐骨の痛みを訴えて、立つにも座るにもうめき声をあげている。

          母の洗った白いカーテン(日々のたわごと 8/11)