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心理士、不治の病を自覚する。

3月。
タイに来て約2週間の間、
私は家族以外と喋っていなかった。

日本にいた頃は、
ほぼ毎日誰かに会って、もしくはオンラインで話していたのに。
夫以外の大人とは全く喋っていなかった。

今振り返ると、
そりゃあ、こころの調子を崩して当然だよな。と思う。

友だちも知り合いも、誰もいない国。

どこに何があるのかもわからない。
自分が安心できる空間がどこにあるのかわからない。
そして、
そんなちょっとした気持ちを話せる友だちもいない。

この時に気づいたのは、
私は「人と関わっていないと死んじゃう病」という
不治の病を抱えているということ。

きっと根本的な治療はなくて、
対処療法は「人と関わること」。


子どもを介して、
心理士という経験を介して、
少しずつ人との関わりが増えて、
もうすぐ3ヶ月を迎えようとするタイでの生活で、
いまのところ、不治の病は悪化していない。


そして、
最初の頃のような
「誰でも良いから人と関わりたい!」
「とりあえずイベントに行って知り合いを増やそう!」

という気持ちが薄れてきた。

今は、
今いる友だちや仲間との関係を大切にしたい。
もっと深めたい。

そういう想いを抱いている。

学生時代、「親友とは」という問いをずっと抱えていた私は、
「自分は広く浅く人と関わるタイプなんだ」と思おうとしていたが、
きっとそれはただの合理化で。
本当は狭く深く、密な関係を築きたかったのだろう。

いつの間にか「親友とは」という問いを持たなくなったのは、
そんな問いを持つ必要がないぐらい。
「親友」というラベルに捉われなくてもいい関係の友だちに
出逢えたからなんだと思う。


もちろん。
だからといって、今から出逢う人たちを拒否するつもりはまったくない。
ただ、数撃ちゃ当たる戦法ではなく、
私と出逢ってくれた人たちと、じっくり付き合っていきたい。
そう感じているのだ。

#創作大賞2023
#エッセイ部門


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