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天丼のお約束

男性二人。
 
「いいか。
 これからお前が覚えないといけない常識、
 大事な基礎の部分を教えるぞ。
 問題形式で出すから、
 あまり考えずにパッパと答えろ。
 いいな」
「はい!
 問題ないっす!」
 
水場みずばがあったら?
「う~ん…洗う?」
 
「洗ってどうすんだ!
 正解は落とすだ。
 落とさないと意味ないだろ?
 わかったか?」
 
「はい、OKっす!
 大丈夫っす!
 次、お願いします!」
 
「じゃあ…
 穴があったら?
「落とす!」
 
「正解!
 いいよ、いいよ!
 お前、わかってんな!
 じゃあ、次!
 パイがあったら?
 
「落とす!」
「落としちゃダメ!
 床汚れるから!
 なんだろうなあ。
 根本的なところがわかってないんだな。
 正解は投げるだ」
 
「あ~投げる、投げる。
 はいはい、わかりました。
 多分、大丈夫っす」
 
「多分って何だ?
 お前、適当っぽいんだよなあ。
 本当に大丈夫か?」
「そこはかとなく、大丈夫っす!」
 
「頭が良いのか悪いのかも、
 わからん言葉遣いだな、お前。
 まあいいや。
 じゃあ、次行くぞ!
 タライがあったら?
「投げる!」
 
「危ねえだろうが!
 いや、でもそれも正解か?
 ん~今の問題は保留だ。
 今のは忘れろ」
「はい、忘れます」
 
「よし!
 次行くぞ!
 二度やったことは?
「忘れます!」
 
「忘れんなよ!
 お前、さっきから答えがわからないと、
 前の問題の答え言ってるだろ!」
「忘れました」
 
「忘れるな!
 いいか。
 二度やったことは、
 三度目もやるんだよ。

 それがお笑いの、
 三段落ちってやつだ。
 天丼とも言うけどな。
 これは定番でよく使う手法だから、
 しっかり覚えておけよ!」

「忘れました!」
 
それ!
 それが天丼!

 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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