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別れた翌日に現れたヤツ

女性二人。
 
「ねえ、聞いて」
「どうしたの?」
 
一昨日おととい、別れた…。
 5年付き合ったけど…
「急に?
 どうして?」
 
「もう…疲れちゃった…私。
 
 5年も経つと、
 関係はマンネリ化。
 
 遊んでてもさ、全然楽しくないの…
 ただ苦痛なだけで…」
「そうなっちゃうと、つらいね…。
 何ともならなかったんだ?」
 
「私、色々言ったんだよ。
 でも、話聞いてくれないの。
 だから私から…さよならした
「人の話聞かないのって最低!
 こっちがこうしてって言ってるのに、
 聞く耳持たないってダメだよね!
 
「うん。
 でも、別れる時、迷った…。
 
 やっぱり、5年の歳月って長い…。
 私も間際まぎわまで色々考えちゃった。
 
 思い出だって…たくさんあったし、
 何ていうか…愛着っていうの?
 
 いざ別れようって時に、
 それが決心を邪魔じゃまするの…。
 
 そういう感傷的なの…
 私にもあったんだって…思った」
「でも、やっぱりそれはないよ。
 相手はわかってない!
 こっちの気持ちに気付かなんて、
 鈍感どんかんにもほどがあるでしょ!
 
「それでね。
 昨日、気晴らしにと遊んだの。
 
 そしたら急にアイツが、
 私の前に現れたの!
 
 何コイツって思っちゃった!
 
 そしたら未練みれんタラタラに、
 もう一回どう?だって!
 
 笑わせないで!
 って、感じでしょ?!
 
 別れた、次の日だよ!
 
 あなたはそう!
 いつも自分の都合ばっかり!って、
 言ってやったわよ!」
「何なの、そいつ!!
 ありえないんだけど!!」
 
「だから、さらに言ったの。
 
 人が別のゲームで楽しんでる時に、
 思い出させるようなことしないでよ。
 
 もう二度と、
 あなたとは遊ばない。
 
 絶対に…って」
「ん、ん、ん?
 こめん、それ何の話?
 
「え?!
 ゲームの話よ。

 5年間も毎日、コツコツ遊んでたのに、
 急に課金かきんしないと、
 ゲーム進められないって…酷いでしょ?
 
 頭にこない?!
 
 無料うたっておいて、
 新キャラを絶対当てないと、
 このボスは倒すことは不可能ですって!
 
 それはゲームバランスの問題でしょ?
 作り手のさじ加減じゃない。
 
 この1年は、改悪…改悪…改悪。
 
 そして今回の最悪イベント。
 
 ほんとにない!
 これはない!
 
 だから5年間、苦楽を共にしたキャラ…
 名残惜なごりおしい気持ちはあったけど、
 泣く泣く退会したの。
 
 なのに昨日、
 他のゲームの広告に、
 アイツがいけしゃあしゃあと現れて、
 また遊ばない?だって!
 
 私を馬鹿にしないで!
 
 まだ関係を続けて欲しいなら、
 もっと必死に引き止めなさいよ!
 
 戻って欲しいなら、
 10万ポイントとかSSRスーパースペシャルレア3体とか、
 やり方ってものがあるでしょ!
 
 女心のわからないゲームねって、
 心底思ったわ!
 
 5年よ!

 私がついやした時間は、
 安くないんだから!


「言ってもいい?」
 
「なに?」
 
私の気持ちと時間を返して。
 あと将来、熟年離婚しないでね


このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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