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2021年は、エンタメ買い元年。エンタメ買いを制するものは、次世代ECを制す。

みなさん、こうみくです!

いきなりですが…、みなさんは、コロナ禍にはいってから、オンラインでモノを買う機会が増えましたか?

わたし自身振り返ってみると、意外とそうでもないなぁ、という実感です。外に出掛ける機会が物理的に減ったので、化粧品や洋服を百貨店で買わなくなった…という変化はあるものの、百貨店の代わりにオンラインでばんばん買うようになったのかと言われるとそうでもないなぁ…という実感です。

外に出辛くなった分、生協や食べチョクといったネットスーパーを使う機会が増えたという身の回りの友人はたくさんいるのすが…。皆さんは、物を買うという購買行動に大きな変化はありましたでしょうか?

実は、世界規模でに見ると、BtoCの購買行動はコロナ禍によって、大きく変化しました。

上記記事で書いてあるように、2020年のECの売り上げは28%近く上昇し、新型コロナウイルス流行前にeコマースの普及率が低かった国でも、メキシコを筆頭にオンラインショッピングへの移行が大幅に進んだのです。

そんなことを踏まえながら、今日は、これからの日本のオンラインショッピング、ECの一歩先の未来に関して、お話をしていきたいと思います。

1.日本のEC化比率は諸外国と比べると低く、まだまだ伸びしろが大きい

まず、世界の中でみると、日本のBtoC市場におけるEC化率はどのくらいでしょうか。

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(経済産業省/電子商取引に関する市場調査(2019度)

こちら、経済産業省が発表したコロナ前のデータとなりますが、2019年時点で日本国内のBtoCのEC市場における小売市場全体に占める割合はおよそ6.76%。では、他の世界各国はどうなっているのでしょうか。

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(アメリカにおけるBtoC市場のEC化率 2019年時点で11.0%)

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(中国におけるBtoC市場のEC化率 2019年時点で44.0%)

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(世界におけるBtoC市場のEC化率 2019年時点で14.1%)

アメリカは同じ2019年時点にて11.0%、中国においては36.6%。更に、世界平均のBtoCのEC化率は14.1%なので、中国、アメリカ限らず、日本は世界全体と比べてもBtoCのEC化率が低く、大差が開いている状況です。

その理由として、日本ではオフライン実店舗の商品サービスともにクオリティが高く、アクセスも便利、物流費が高い…などいろいろありますが、日本のEC化率は世界的に低く、まだまだ伸び代があるというのも事実です。次章では、そのことに関して、詳しく説明していきたいと思います。

2.買い物は、【目的買い】と【エンタメ買い】の二種類ある。日本では、エンタメ買いのオンライン化が遅れている

買い物をする際のじぶんの姿を想像して見て下さい。

「今日は、カレーを作るから、じゃがいもをスーパーに買いに行こう!」「嫌われる力という本が話題になっているから、Amazonで買った」

こういった風に、「これを買おう!」と予め予定されていたり、目的を持って買い物を出掛けることがありますよね。これを、【目的買い】と呼びましょう。

「ウインドーショッピングしてたら、かわいいTシャツを買っちゃった」「コストコに行ったら、ついつい楽しくなって、いつも爆買いしてしまう」「ディズニーランドで、テンションが上がってミッキーの被り物を買った」「指原莉乃さんのファンなので、彼女がプロヂュースしていたカラコンを買った」

このように、予め目的や予定がなかったけれども、楽しい気持ちになって、ついつい買い物をしてしまった。こんな経験もありますよね。これを【エンタメ買い】と定義します。

✔︎目的買い:予め対象物や目的があってから、買う行為
✔︎エンタメ買い:予め目的や予定がなかったけど、楽しい気持ちになって、ついつい買ってしまう行為

皆さん、いまECで物を買うときは、「目的買い」、「エンタメ買い」どちらをすることが多いでしょうか?

恐らく、欲しい電気製品を価格.comで最安値を探してかったり、毎月決まったコンタクトレンズやトイレットペーパーをAmazonで定期購入したり、気になっていた本をメルカリで探したりはするけれども、

ECサイトで衝動買いしてしまった!楽天でウィンドーショッピングしていたら、1日がすぎてしまった、という経験はまだまだ少ないのではないでしょうか?

そうなのです。日本の有力ECサイトは総じて、目的買いをするのには適しているのですが、エンタメ買いをするのにはやや魅力が欠けるのが現状です。

3.中国で勢いがあるECプラットフォームは総じて、【エンタメ買い】の仕掛けが上手

このツイートで紹介した2019年の講演で、ジャックマーは、このように語った。

Taobao(アリババが運営する中国最大のECサイト)では毎晩1700万人のユーザーが何を買うわけでもなく、毎晩アプリを観に来る。彼らはなんにも買わないけど、それでも毎晩毎晩くるんだ。何をしにきているかって?俺にもわからないよ」

「だけどそれでいいんだ。我々は、買い物するときにしか立ち上げないネットショップを目指しているわけじゃない。物を買うだけなら、近所のスーパーに行ってもらったらいい。我々は、体験の場、楽しむ場、友人と語り合う経験を創造する場をユーザーに届けているのだ。

「すると、いつのまにか、皆、我々のプラットフォームですべての買い物をしてくれるようになる」

EC大国の中国では、エンタメ買いを促すための仕組みが盛んです。いいかえると、ユーザーを楽しまさせることによって、過処分時間、過処分精神を最大化させるために全力を注いでおり、それが中長期的な売上最大化を図る上での最適解だと信じているのです 。

具体的なエンタメ買いの仕掛けの実例として、ソーシャルコマースの中の「コンテンツ型ソーシャルコマース」、「KOL型ソーシャルコマース」の事例がもっともわかりやすいかと思うので、詳しくはZVCの大久保さんが書かれたこちらのNoteを読んでみて下さい。

(↑ZVCの大久保さんのソーシャルコマースの概念をまとめたnote)

4.なぜ、日本ではいままでエンタメ買いが、広まっていなかったのか?

では、なぜ、いままでの日本のEC業界の中ではエンタメ買いが浸透していなかったのか?その理由は、3つあると考えています。

(1)『楽しい、コスパがいい、良品質』のどれかのピースが欠けていた

いま、中国で大流行しているPinduoduoモデルでお馴染みの、数人で共同購入すると割引を受けられるという形式の共同クーポンサービスは、2011年前後にグルーポンを筆頭に日本でも大きく盛り上げっていた時期がありました。

当時学生だったわたしも、友人で居酒屋チェーンでのチケットや旅館の宿泊券を共同購入して皆でワイワイ楽しんでいた記憶があります。そんなふうに一時、日本を風靡した共同クーポンサービスですが、おせち料理のチケットを買ってみたら、すかすかだった…という「スカスカおせち騒動」によって、グルーポン=安かれ悪かれというイメージがどんどん広まってしまいました。

そんな影響もあって、グルーポン社はついに2020年に日本撤退したのですが、このように、いくら、楽しくて安くても、低品質だと、一時的にサービスに注目を浴びることがあってもその人気は続きません。

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同様に、中国で大流行しているライブコマース事業に着目して、メルカリや楽天をはじめとする様々な会社がライブ配信事業に乗り出したりもしましたが、どれも鳴かず飛ばずで撤退となりました。

このライブコマースが日本で今まで大きく流行らなかったいちばんの理由は、楽しさと安さ(安く見せる演出)が足りていなかったことにあるでしょう。

みなさん、ジャパネットたかたを思い出してみてください。見たことがないよという若い方は、こちらの公式HPを見てもわかりますが、極限まで、価格が安い、あるいは、安く見せる演出を非常に工夫されていることが分かりますよね。

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ここに、テレビ前で物を販売するためのトークを磨き上げた高田社長をはじめとする出演者を掛け合わせることで、『楽しい、コスパがいい、良品質』の三拍子がきれいに揃っているのです。その結果、あのようなエンターテイメント性が高いコンテンツとなり、結果、2020年に売上過去最高 2405億円、8年連続増収といった素晴らしい販売力が実現されているのです。

これに対して、楽天やメルカリがはじめたライブ配信サービスで、コマーストークに慣れていない普通のインフルエンサーが、画面の前で特段コスパが高いわけでもない商品を売るとなったら…、

いくら知名度がある方だとしても、長く売れないだろうということは容易に想像できますよね。


(2)日本では、【エンタメ買い】領域で、目立った成功プレイヤーがいなかった

これは鶏卵の問題でもあるのですが、ひとつの領域が大きく成長するための手順としては、目立った成功事例が現れることが必要不可欠です。

例えば、今年一気に話題となったNFT、概念としては2017年と4年ほど前からありましたが、今年3月にBeepleの作品が75億円もの大金で落札されたというニュースによって、はじめて知った方も多いのではないでしょうか。

事実、2020年後半NBA TOPSHOTの成功、そして2021年3月のBeepleの高額落札あとにNFTの市場は見違えるほど大きく成長しています。

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同様に、YouTubeが大きく広まったタイミングとしても、GoogleがHIKAKINさんやはじめしゃちょーを例に「好きなことで、生きていく」といったキャンペーンを大きく打ち出したことによって、YouTuberをやれば儲かるらしいという認知がクレエイター界で広がり、多くのコンテンツ提供者であるYouTuber、そして芸能人の引きつけることに成功しました。

こういった業界内での目立った成功事例が、「コンテンツ型ソーシャルコマース」、「KOL型ソーシャルコマース」といったエンタメ買い領域でまだ生まれていなかった…ということが、日本でエンタメ買い市場が下拡大できなかった大きな理由となっていました。

5.2021年がエンタメ買い元年となる理由。それは、プレイヤーの成功事例が生まれつつあるため

では、2021年がエンタメ買い元年となる理由は何か、と言いますと、ズバリ、エンタメ買いの成功プレイヤーの例がいくつか生まれつつあるためです。

1)Instagramライブを活用して自社ECに流入させたアパレルブランド

COHINAは自社のECサイトにて、155cm未満の小柄女性に特化したアパレルブランドを販売しているのですが、その集客手法として、フォロワーが1000人ほどのときから(2021年8月現在は20万フォロワー)コツコツとInstagramのライブ配信を活用していきました。

その配信の特徴として、

✔︎ モデルよりも等身大のライバー(お客さんと近い方)を起用
✔︎ ライブ配信から期限付き限定クーポンを発行
✔︎ 口コミで検索経由の顧客も増えてきている
✔︎ ほぼ毎日配信(お正月やクリスマスも)
✔︎ ライバーの幅を大事にしていて若い子だと大学生、一番年上だと39,40歳くらい
✔︎ ライバーさんとのファンイベントも開催(ケーキを食べる会など)

といったように、徹底的にお客さんと対話して、熱狂的なファンを増やし続けた結果、リピート率50%、創業3年にて月商1億円のブランドまで育ちました。

日本ではライブコマースが流行らない…、なんて言われ続けていた中で、COHINAの成功は他のプレイヤーが参入する際に参考するモデル事例となったでしょう。

2)TikTokライブ・Instagramを活用して集客したフルーツ大福屋

こちらは、Instagramでの商品選定、そしてTikTokでのマーケティング・採用を実施することによって、コロナ禍であるにもかかわらず、2020年11月にオープンしてから9ヶ月で、19店舗年商8億円を実現したフルーツ大福屋さん、金沢フルーツ凜々堂です。

金沢フルーツ凜々堂では、

✔︎ Instagramのグルメアカウントにて商品候補を投稿しながら、ユーザーの反応を元に、開発する商品を選定

✔︎ TikTokを活用をして、店舗オープン日から列を作るほど集客を実施

✔︎ 営業時間中に、制作現場を常時TikTokライブを実況することによって、オンライン上で「チラシを配り続ける」状態を実現→集客に活かす

✔︎ TikTok/Instagram経由にて、販売スタッフを採用し、看板娘2.0として接客とともにライブ配信を実施。すると、TikTok経由で月給に匹敵するほどのギフティングを獲得し、販売スタッフに還元させることで接客/配信モチベーションが好循環で回る仕組みを創造

✔︎ 上記のシステムを再現性を持ってパッケージ化し、フランチャイズ化に成功

といった、正にエンタメ買いのお手本のように、SNSやインフルエンサー、コンテンツを上手にフル活かしている姿が伺えます。

このように、エンタメ買いの成功事例が、2021年になって少しずつ顕在化しはじめています。

成功事例が世の中に広まっていくことが、業界成長の兆しとなるので、今後が本当に楽しみですね!

6.8月28日に金沢フルーツ大福凜々堂代表の鈴木智哉さんを招いで、イベント【これからのECを語る会】を行います!

さて、このnoteを読んで「よりエンタメ買いについて知りたい!」という方々に対して、今後、ECプラットフォーマーとして、そしてECでモノを売る事業者としてどのようなサービス設計をすればいいのか?といった観点にて、イベントを行います!(先着20名限定)

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鈴木さん、そして黄とともに、これからの日本のECがどうなっていくのか、エンタメ買いがどのように広まっていくのか、ぜひ一緒にお話ししていきましょう。

*こちらに参加希望の方は、下記ツイートを引用RTもしくはRTの上、わたしのTwitterアカウントまで「8月28日のイベント参加希望」とDMください。こちら参加費無料ですが、先着20名限定のためご希望の方はお早めに。↓

↓本noteの感想などを引用RTいただけると嬉しいです!返信します。


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