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妄想を世に問いかける。人を巻き込むにたるか自分に問いかける|佐宗 邦威さん

4月17日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第2回の授業内にて、 佐宗 邦威さんのお話を聴講しました。

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とても魅力的なお話、自分の心にしっくりくるお話が多く、一文字も聞き逃したくないという気持ちで前のめっていたこともあり、俯瞰的に聴ききれなかったと終わってから内省するほどでした。

その中でも心に残った点は、何かを実現しようとした場合において、妄想駆動そして自己効力感というのが大事であること。自分自身にとってモチベーションが湧くものに焦点をあてて頑張れる力。それが何かの役に立って初めて自己肯定感に繋がり、継続的に実現できるという状態になると。創造はつまりエコな自己効力感であるとおっしゃっておられました。誰かの役に立ちたいという気持ちはとても良いことである一方、その気持ちを強く持てば持つほど、Issueーdrivenとなり、結果的に課題解決に終始してしまい、それ自体の楽しさが失われ自分として何が好きなのか何をしたいのかということを脇に置いてしまうことがあります。これを自分の好きなことに没頭する、Visionーdrivenに切り替えた思考が大事なのではないかということでした。

お話を伺っている中で、1−2年ほど前に観た「あいのり」という恋愛バラエティ番組でのワンシーンを思い出しました。真実の愛を求めて各国を旅する男女の姿を映している番組なのですが、ところどころ過ごしている国の文化や実情などを生々しく報道し、考えさせられるようなテーマを投げかけてくれたることがあります。あるミャンマーでの回に、無償で働く日本人医師として吉岡秀人さんが出演されました。NPO法人「ジャパンハート」を設立し、ミャンマーやカンボジアなどで貧しい子どもたちの手術や治療などを無償で続けている小児科医の方です。

ほぼ睡眠時間や休憩時間もなく、国中から集まる小児患者の手術を行っている姿を拝見しました。とても大変な仕事であり、さらに無償で行っていることからも、子供たちを助けたいという意欲や社会貢献をされたいという気持ちが大きな方なんだなと、達観されている方だと思いながら観ていました。そんな中で、あいのりメンバーに語った吉岡さんの言葉がとても印象的だったのです。

「僕は僕の人生を豊かにするために生きている。だからやってる。続いてる。だって、自分のためじゃないことなんて続くか。親のためにとか、子どものために苦労なんかし続けることはできへんで。でも自分のためだけに生きれんねん。人間は。苦労し続けることができるねん。僕が最も幸せだと思う瞬間、君たちが多分思うのは、患者が治ったりして喜んでるところでしょ。全然違うねん。全然違うんだよ。
例えば、一流のアスリートが絶対打てない球もあるわけや。それでも打たなあかんわけ。バッターボックス立った限りは。でもな、ヒットになるとか、ホームランになるとか、三振するとか、結果の問題やねん。興味はそこにないねん。僕がベストのものを、その中でできたかどうか、最高のスイングができたかどうかや。ここだけなんよ、僕にとって幸せかどうかの基準は。だから、みんなもそういう風に生きたらいいねや。自分の人生が最も豊かになるように。」

お言葉がぐっと心に響き感動。という感情と、誰かのために貢献活動をしていると思いこんで観ていたこともあり、頭で理解をしようとするとハテナが灯るという不思議な感覚に至りました。私はリーダーシップを発揮している人の夢を実現できる手助けをしたいという想いがあり、日々の意思決定のベースになっていました。その対象の人が夢を実現できて喜んでくれたかが自分の喜びの基準になっていたこともあり、はてなが灯った原因としては、自分の人生を豊かにするために生きるということは私に照らし合わせるとどういうことなのか、本当に自分のために生きていいのか、自分のために生きていると堂々と表現しても良いものなのか、利己的になってしまわないか、と問いを持ったためです。

1−2年の月日を経て、佐宗さんのお話を伺ったことで、その問いをもう一度再認識し、どのように考えるべきか整理がつきました。

ここからは私の意見です。まずは自分の立ち位置、どのような状況なのかしっかり内省して見極めることが重要です。その上でVisonーdrivenで物事を考え推進できる立ち位置や環境にいるのであれば、実現にむけて精一杯走る。一方で、自分を客観視した時にまだまだ未熟であると認識した場合は、Issue-drivenで誰かの課題、会社から任された仕事を一生懸命やる。やっているうちに、スキルが向上し、力がついて認められるようになり、そのうち多くの難しい仕事を任されるようになり、そういう過程で皆から一目置かれるようになる、そうするとVisonーdrivenで発信することに賛同が得られるようになる。と言った形で物事の起こる順序をしっかり意識する必要が現実世界は必要となるのではないかと思います。

周りの人とのインタラクションが重要であり共創しながら実施するためにが自分がそのように巻き込めるような人物になっていることが重要です。自分が果たして共創を生みうる人間なのかを意識しながらも、もちろんアンダーグラウンドでは自分のやりたいことを妄想するを続けていくとよいのではないかと感じました。いつかトランポリンで地上に上がってくる日を楽しみに。

少なくとも、妄想を続け、やりたいことを世に語りかけ、世に問う勇気を持ち続けることはどのような状況でも実施できる人でありたいと思います。それが実現への近道ではないでしょうか。

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