年収1000万ってほんとに必要?

前回:虚しき就職偏差値という物差し

2. 仕事

2-2. 年収1000万ってほんとに必要?

他にも「年収1000万円」というものがある。企業の平均年収というものが発表されていて、1,000万円をラインにして企業をわける見方だ。それをみて学生は「平均年収1000万円」の企業に入りたいとか言い始める。これも就職偏差値と同じように、ものさしに頼っている決め方だ。

平均というのは誤解を生みやすい厄介な数字だ。偏差値もそうだけど統計学の入門書くらいはやっぱり読んで学んだ方がいいんだろう。極端な話をすれば、社員2名の会社だとして、Aさんが年収1,500万円、Bさんが年収500万円だと平均年収は1,000万円だし、AさんとBさんが2人とも年収1,000万円ならこれも平均年収1,000万円だ。平均値を使うときは必ず元となるデータの散らばり具合を示す標準偏差という数字とセットじゃないとまったく意味がないんだ。急に統計学の具体的な話になっちゃって悪いけど、平均値だけを見せて無知な人を騙そうとする人もいるからこれは知っておいた方がいいと思う。

話を戻すと、年収1,000万と発表されているからといって企業の中の社長からパートタイムまでのどこまでが含まれているかもわからないし、散らばり具合がわからない。だから平均年収という数字はほとんど当てにならない。

平均年収で就職先を決めることのアホらしさはもう1つある。年収1,000万円が、君の理想の人生を実現するのに十分なのかどうかってことだ。

これは学校の話の中でもしたけれど、例えば、都内の高級住宅街に一軒家を建てて、月1回は家族で旅行をし、子どもは2人とも私立に通わせたいとしたら。たぶん年収1,000万じゃ足りないだろう。例えば、地方の緑豊かな高台に家を借りて、旅行は半年に1回、子どもは公立だとしたら。年収1,000万は十分すぎるだろう。

年収1,000万をラインに企業を選択することがおかしいのは、みんな理想の人生は違うはずなのに、同じ基準を鵜呑みにしているってことさ。


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