良い大学に入れば人生上がり?

前回:勉強ってなんだろう

1. 学校

1-2. 良い大学に入れば人生上がり?

大人のおかしな常識1つ目は、「良い大学に入れば人生上がり」ってやつだ。日本だと東京大学(東大)って大学に入るのが1番難しいとされてる。で、多くの大人が自分の子どもを東大、最近だと海外のハーバードやらケンブリッジなんかに入れようと躍起になってるんだ。そのために小学生、ひどいと幼稚園の頃から子どもを塾という場所に通わせて勉強を強制する。実際、世の中には東大合格を掲げた塾や本、雑誌があふれてる。

これがどうなのかって話をするために、大学っていうものについてまずは考えてみよう。

大学には実に色んな人がいる。自分の好きな学問を学ぶ人、スポーツに精を出す人、サークルを楽しむ人、飲み会に明け暮れる人、バイトをがんばって小遣いを稼ぐ人。こうした色々な過ごし方ができるのは、大学の時間的ゆとりのおかげだ。実際、大学は人生の夏休みとかモラトリアムなんて呼ばれたりする。大学っていうのはどうやら、人生に時間的なゆとりをくれる場所みたいだ。

時間的ゆとりによって人は、それまでの人生で出会ったことのない色々なことを体験する。うまくいけば自分の人生を考えたりするようになるけれど、そういう人はあまり多くないみたいだ。時間的ゆとりを与える場として大学を捉えることは間違いではないけれど、それは大学の本質ではない。だって別に大学生じゃなくたってできることだから。社会人だって会社をやめて時間を作ることはできるんだ。

じゃあ大学ってなんなんだろうか。俺が思うに大きく2つの顔があるけど、簡単に言ってしまえば学問をする場だ。学問ってのは字の通り、学び、問うことだ。アルファベットは格好良いけれど、漢字にだってアルファベットにない良さはやっぱりあるよなあ。

大学の1つ目の顔は、学問を通して教養を育てる場としての大学だ。現代では、多くの人がこの意味での大学にお世話になっている。教養ってのはよくわからない言葉だけど、いまは人生の自由度を高める知識あるいは視点としておこう。教養については後々また触れるつもりだから、いまは気にしないで。で、その教養を高めるための大学での活動を広く捉えると、さっき紹介したサークル活動とか飲み会とかバイトとかが入ってくる。教養ってのは別に学問だけから学べるものじゃない。とは言え、教養を育てるのに学問は優れた素材であることは間違いない。大学は学問をするのに素晴らしい場所なんだ。本が豊富で夜遅くまで開いている図書館から、ある学問領域に生涯を捧げた教授と呼ばれる良い意味で変な大人たち。それに、バックグラウンドも興味関心も、考え方も異なる学生仲間が集まってる。

大学の2つ目の顔は、学問を究める場としての大学だ。学問を究めようと思うとそのための環境が必要になることが多い。例えば、生命科学系の研究であれば実験環境から大掛かりな解析装置まで必要になることが多いんだ。これらが十分に揃う環境はそんな簡単には見つからない。そして、より重要なのが、社会の要求や商業性から切り離されていることだ。残念なことに最近は近視眼的な圧力のせいで難しくなってきているけれど。これは学問を純粋に研究していくうえで重要だ。そういうわけで、大学には狭い研究領域に魅せられた学生が9年くらい通ったりすることになる。

さて、これで大学についてある程度の共有はできた。なぜ大学を紹介したかと言えば、「良い大学に入れば人生上がり」っていう常識について考えるためだった。

じゃあ良い大学ってなんなんだろうか。大学の1つ目の顔から考えれば、教養を育てるのにより良い場所ということになる。そうすると、図書館が充実してるとか、教え上手な教授が多いとか、周りの学生が多様な大学は、良い大学と言えそうだ。2つ目の顔から考えれば、研究環境の充実と、ビジネスとの距離の大きさ、つまり研究予算の大きさと、研究者として優秀な教授だろう。

じゃあ、そういう良い大学に入るとなんで人生上がりになるんだろう。ちょっと考えみてほしい。


どうだろう。正直、俺は意味がわからない。なぜかと言えば、おかしな大人は大学を違う見方で捉えてるからだ。

実は、おかしな大人にとっての大学は、「良い就職をするための資格」なんだ。大学の良さっていうのは単純に、大学の試験に合格するのがどれくらい難しいかを意味しているんだ。具体的には偏差値というもので判断されている。それで、例えば東大に入ったらA社かB社に就職して一生高給安泰!って考えてる。それで人生上がりというわけだ。おまけに大学には文系で入るより理系で入る方が偉いとか、そもそも文系はいらないなんて言う人もいる。

俺からすれば、この考え方には5つもおかしいところがある。大切なことだから、1つ1つ説明させてもらうよ。

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まだ生まれていない未来の赤ちゃんにメッセージを書いています。
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