辞める、という漢字を使ってしまうと何か辞表めいた動向を想起させるため平仮名の「やめる」が適当かもしれません。

と書かせて頂いたこの一文で、今回のnoteのすべてをほぼ語るに落ちているに足るようにも思えます。

ゲームの引退とは、コンシューマゲームの場合

自分が好きで遊んでいるゲームがあったとします。据え置きゲーム、コンシューマゲームでないほうが説明に都合がいいため何らかのプラットフォームに登録必須であるようなアプリゲームを想像して下さい。

アプリゲームは現在普及しているような携帯電話=スマートフォンがゲームハードとなっているため(遊ぶ側の)参入障壁が低い。友達が遊んでると知った次の瞬間から遊び始めることが可能。店でハードウェアを買って無数のソフトの中から該当の一本を見つける必要がない。

例に出したようにもともとそのゲームで遊んでいる友達がいる場合ならある程度有利かもしれませんが、大抵はひとりで始めるものです。広い意味でネット越しの知人を友人と呼称するのであれば、「Twitterで流行ってたから始めた」という動機も友人が遊んでいるから始めたと理解することが出来なくもないかも知れませんが一旦ペンディングとします。

平均的なアプリゲーマー像を崩さないようにしながら、ある程度主観で話を進めます。

ゲームを始めたらチュートリアルなんかですべきことが案内されます。ユーザの離脱を防ぐため、単にサービス過多な現代として割とありふれたこと、どのようにも解釈できるとは思いますが、とりわけいきなりフィールドに放り出されて自由に過ごしなさい、というゲームはあまりないのではないでしょうか。

Minecraftあたりはゲームを始めた瞬間、文字通り裸一貫で知らない地平に立っているというイメージがあります。遊んだことはないですが、数多のYouTuberがはじめからMinecraftで遊ぶストリームを見ていて大体そのように理解しています。おそらく珍しいことですね。

ぼくはファミコン世代ではないため伝え聞く知識等を参考にするだけですが、古いコンシューマゲームはかなりそのようなほっぽりだされて裸一貫で始める然としたサバイバル力、独学力が試される仕様が多かったイメージです。

広い意味ではマリオもそうです。誰の城かわかりませんがそこから出てきたと思ったらこっちに向かって歩いてくる亀と茸の大群と戦う羽目になる。ただ前を向いて走らされる。説明が充分にされているようには客観的に見えないと言われても強い反論は思いつきません。

つまり自分で攻略する必要があった。そもそもゲームで遊ぶことすなわち攻略であるため、好きで買った娯楽に大して攻略という単語を持ち出すのはこの時点で些か大げさです。

攻略って別にゲームなんだし、敵性勢力の将軍が立てこもった砦に大砲を打ち込んで降伏させるかどうかを決めるようなことではない。と言ってしまうと実際に三国志モチーフのゲームがあったとしてかような状況となることは山程あるため、それならば攻略と称したっていいじゃないかと言われてしまっては返す言葉もありません。考えさせて頂きたい。

ただそこで相対したゲーム内の困難と向き合い、ああ自分にはこれ以上無理だと思って一旦ゲームから離れたとして、それを引退と呼称することはありません。コンシューマゲームには引退という概念がないように思えます。

クリアできなかった当該ゲームを古本屋に売っぱらったとして、それは引退ではなく「自分にとって難しかったゲームを金銭に変換した」だけ。引退という単語に含まれるようなネガティブさなど一切なく、勝ちも負けもない。

職業ゲーマーの場合

娯楽としてゲームを遊んでいるわけではないから引退という単語は相応しくないという結論めいたものが得られましたが、ゲームを運動競技のように食い扶持を稼ぐ手段として利用している層はどうなるでしょうか。

定期的に開催されるSplatoonか何かの大会に常に出場し、常に上位の結果を叩き出し賞金を獲得できていた(そんな大会が実際にあるかどうかは今段では関係ありません)、しかしながらある時から負けが続いた。Splatoonのソフトを売っぱらっていっときの飢えを凌ぐことにした。Splatoonの大会に継続して出場できなくなった(出場者は大会会場に自分が所有しているSplatoonのソフトを持ち込まなければならないなどという規約なんて無いとは思いますが、自発的に継続的な鍛錬ができなくなれば大会に出場する意味はあまりなくなる)。

この場合は、「Splatoonの職業ゲーマーをやめた」つまり引退したと表現しなければそれまで築き上げてきた輝かしい実績(特に輝かしくある必要はなさそうに思いますが)を尊重できていないように感じる層が存在するかも知れなくなる。個人的にはどちらでも良いです。どちらでも立派な成績を残されましたねということに変わりはないため。

続きます。お読みくださりありがとうございました。