「ちくわ部」(棒アイドル)
僕は無類のちくわ好きだ。
お食い初めでちくわだけ完食したのをはじめ、食卓にちくわが出てこない日には泣きじゃくり、学校給食でちくわが出てくる日には多少熱があっても登校して食べた。
隣のクラスの輪子ちゃんを見るときは特製のちくわ望遠鏡で覗き、運動会のリレーではバトンをちくわのデザインにしようと提案し、天婦羅風、磯辺揚げ風等のデザインを施し大会を盛り上げた。優勝したチームをちくわ砲で祝い、ちくわを模したメダルを選手の首にかけた。
僕にとってちくわは永遠に追いかけていたいアイドルそのものだった。
そんな僕が目指した高校はちくわ部で有名な名門校。
無事に合格を果たし、いよいよちくわ部の門を叩くときがやって来た。
緊張しているとガラッとドアが開き、中から先輩たちが出てきた。
早速挨拶しようと思ったが、部屋の中を覗くと皆真っ白な胴着を纏い小麦粉を使ってギザギザのついた白い筒状のものを錬成している。
これは……!?
いま一度改めて部室の札を確認するとそこには
『ちくわぶ部』と書かれていた──。
(了)
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