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星を背負った猫(詩)

君が好きな歌の話を聞いた
その夜は忘れられなくなった
一番輝く星が欲しかった
きらきらといつまでも瞬いて
遠くに流れて行くのを見た

君が悲しい歌の話をした
その夜は苦しくなった
切なく痛む胸を押さえた
ぐらぐらとめまいが始まって
何かが軋む音が聞こえた

届かない想いでいいと思っていた
今までずっとそうやってやってきた
君が連絡をくれるたびに
孤独がすうっと消えていくんだ
心の乾きが満たされて
涙になって流れていくんだ

こんな気持ちになったことがないと
君に告げたらなんていうのかな
猫を抱き上げて頬ずりしたいような
このくすぐったいような衝動を


君の隠れた弱さを見てしまった
その夜は眠れなくなった
火傷したような傷があった
ひりひりともがいているそれを
両手でそっと包んでみた

響かない言葉でいいと思っていた
今までずっと空回りしていた
君が返事をするだけでも
心がはしゃいで止まらないんだ
喉の渇きを潤して
ようやくそれを飲み込めるんだ

愛しくて砂に埋まっていくようだと
君に告げたらなんていうのかな
全部溢れたら一体どうなるの
このまどろっこしい揺らめきを


今は何もかもが理由じゃない
君を大切に思うことはもう全てなんだ
それほどの奇跡に出会ってしまった
初めて自分の未来を見た気がした
それを君が全部見せてくれたんだ


こんな気持ちになったことがないと
君に告げたらなんていうのかな
命をつなげていくだけのものに
生まれてきた意味に気付いたよ

もう一人には戻れないんだと
君なしで生きていけないのは
弱さじゃないんだってわかったよ
このふわっとしたいきものを

ずっとずっと守っていこう
君とずっと守っていこう




かつて何年か前にコピーで作った詩集で
表題作にしたのがこの作品でした。
けっこう思い入れのある詩かもしれません。

過去作の歌詞掲載シリーズはここでいったん終わりにします。
今まで読んで下さってありがとうございました。

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