振り返るから青春

青春とは、過去の物事を指す言葉である。今まさに青春してると感じている諸兄、それは青春ではなく、周りと自分との状況を比べて感じる優越感である。
何かを頑張っているから青春、楽しんでいるから青春。というのはそれが終わって初めて純粋な青春となる。全て終わって、「あの時ああしたなあ、ああすれば良かったなあ」と青い自分を思い出してはじめてそれが青春と呼べるものとなる。

逆を言えば、過去を慈しむ言葉として、青春という単語はこの上なく便利に用いることができる。
いい記憶も嫌な記憶も大体青春で片付けられる。

夕焼けの放課後、特に何するでもなく友人と喋っているのも青春。1人の帰り道、ふと見つけた虫を追いかけた記憶も青春。好きな子に構ってほしくて奇行をしてドン引きされるのも青春である。
青春という言葉は良いことも、悪いことも全てやや良かった事象として紹介することができる魔法の言葉なのだ。

ではその基準はなんなのだろう。流石に会社行って、怒られて、帰ってくるあの日を青春とは言えない。今の俺は。
どこからどこまで、何がキーとなって青春と呼べるのだろう。自分の記憶を引っ張り出して考えてみる。流石に量が多くなるので小中学校の記憶に限定する。

【青春と呼べるもの】 
・好きな女の子がいて、その子は隣の席になった男の子を好きになるという話を聞いて席替えの時に本気で神に祈ったこと
・友達同士でミニ四駆がブームになり、最速を目指して切磋琢磨したこと
・用水路のエビをひたすら眺め、飼育したこと
・学年で鉄棒が流行り、俺が最初にグライダーを成功させて一躍ヒーローになったこと。
・部活動で先輩と仲良くなり、先輩たちと一緒にゴールデンアイしたこと
・好きな女の子と近い席になるために学級委員の職権を濫用したこと
・卒業式の日に同じ委員だった女の子が俺に向かって泣きながらお礼を言ってくれたこと

【青春とは呼べないもの】
・隣の席になった男を好きになる女の子が、俺と隣の席になったのに俺のことだけ好きにならなかったこと
・ミニ四駆ブームが速攻で廃れて、俺だけが自転車で30分かかるホビーショップに足繁く通い、1人でミニ四駆で遊んでいたこと
・用水路のエビを眺めてたら、用水路に落ちてめちゃめちゃ臭い水を頭から被ったこと
・鉄棒のグライダーを1番最初に成功させたが、その後イケメンたちが続々とかっこいい技を成功させていき、女の子にキャーキャー言われてるところを見て、「でもグライダーを最初にやったの俺だしw」と見栄を張ったこと
・部活で先輩と仲良くなりすぎで先輩が引退した後同期と孤立したこと
・好きな女の子の近くの席になるために職権濫用をしたが、普通にバレていたこと。しかもバレていたことに卒業しても気づかなかったこと。
・卒業式の日に泣きながらお礼を言ってくれた女の子とそれっきり会っていないこと


以上のことから導き出されるのは、客観的に自分の記憶を思い出して、ピエロだったなあと思うか思わないかで青春かどうかが決まると思う。

以上。青春という言葉にかこつけて、ただお前らに俺の思い出を共有したかっただけの文章でした。

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