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はじめましての図像考

こんにちは。やってきました図像ずぞうのはなし。
温め続けて練り上げるあまりに、ぐるぐる煮詰まる飴のようです。
答えがないんだろうなとわかってはいながらも、ああでもないこうでもない、あれってこれなの、これって、え…それなの?と更にぐるぐる。

永遠に自分の中で粘らせていてはなんのためにnoteを始めたのか。
えいやとnoteに載せていきたいと思います。

まずは「図像考」って何でしょうのご紹介から。

TOP画像はイラストACさんより

1.図像考ってなに

読んで字のとおり「図像」について考えていることを載せていきます。
図像とは ”何らかの主題・象徴を担う画像”です。

恰好よく言い切りましたが、「図像」ってなんなのさと説明するにあたり、岩波さんの国語辞典と新明解国語辞典をあたってみたらば「図像」がそもそも載っておらず、動揺を押し殺しながらコトバンクさんに助けてもらいました。

コトバンクさん曰く、主には諸仏や曼荼羅の図のことを指すようですが、そちらは横においといて、私が興味深くのめりこんでいるのは「形」が意味するもの・その起源やうつりかわりです。

「この形はなんなのか」「なんでこんな形なのか」「どこから始まったのか」「これとあれは同じものなのか」…
こういうことに考えをめぐらす分野って、何か良い名称ないのかなぁと思っていたら「図像学・iconography」というかっこいいものがあったので拝借しております。

社寺建築の仕事に携わっていた折は、修復するだけではなく「なぜこの彫刻が取り付けられているのか」「なぜこの文様が描かれているのか」という問いかけを施主さんや業者の方から頂きました。
仕事として彫刻の画題や由来を調べてまとめたりもしましたが、自分が気になって勝手に調べて神社さんにプレゼントしたりなどなど。
こんなにのめりこんだきっかけの1つは、皆さんからの問いかけの多さだったように思います。

2.図像考の内容

そんな私の「図像考」、主には以下に端を発して行います。

①日本の社寺彫刻における装飾彫刻
②日本の文様

結局はシルクロードをつたって、世界各地の図像にまでとんでいってしまうのですが、そこがまた面白く、とはいえ、端を発する社寺彫刻のなかをぐるぐる動きまわることが多いかと思います。
日本から中国、アジア、世界各地の共通項も興味津々ではありますが、実際に見ている図像を比べながら、より狭くより深く「これってなんなの」を展開していく所存です。

①の図像考は「社寺彫刻」の紹介も兼ねながらになるかなと思いますので、社寺巡りのお好きな方に+αの楽しみをご提供できれば嬉しいです。


3.例えばこんな風に

いまいちよくわからないかと思いますので、例えばこんな風に。


私は今、たくさんの社寺建築の装飾彫刻画像を持っています。
分類が大好物の私は、早速フォルダー分けにいそしむことにしました。

「トラ」、「ウシ」、「ネコ」…と気分よくフォルダーを作りながら、空想上の生き物である霊獣にもとりかかります。

これは「〇〇」だろうなとあたりをつけ、その空想上の生き物について調べてみると以下の特徴が出てきました。

・ツノが1本生えている
・馬みたいな体に甲羅がある
・波の上を走っている

「そうよね、これが〇〇の特徴よねー」と思いながら、「〇〇」という名前のフォルダーを作成し、該当する画像を機嫌よく入れていきます。

その最中、ふと、手が止まります。

「ツノが1本生えている」「馬みたいな体に甲羅がある」「波の上を走っている」、この3拍子そろったものを集めたつもりが、なんだか統率がとれていないのです。これは作り手の個性とかそういうにおいではない・・・

その違和感をつきとめるべく辺りを見渡すと、わかりました。

顔が違うのです。

「馬みたいな体に甲羅がある」のに、
「馬の顔」「あきらかに馬ではない顔」があるのです。

これではいかん…とたじろぎながら、尊敬する社寺彫刻・図像学の先達方の名著や、インターネットの海の中をもぐるものの、「〇〇」の顔の形に関してははっきりと言及されてはおらず、なんなら各地の社寺でおんなじような特徴なのに名称がばらけている実態に直面します。

これ方言とか言葉の移り変わりとか、そんな細かいことにこだわらないでみんな生きてきたんだよとか色々思いながらも、いやいや、初心に戻って現場百遍、社寺ごとに見てみようと思い直します。

まずは落ち着いて、「3拍子そろった特徴をもちながらも顔が違う」ことについて大ざっぱに理由を考えると
①「馬の顔かそうでないかは問題ない=どちらも〇〇だよ」 説
②「いや、顔が違うってことは別モンよ」 説
この2つが考えられます。

「顔が違う=別モン」説をビビッと立証するには、同じ社寺で同じ時代で同じ人による装飾彫刻で「馬の顔」と「馬ではない顔」の3拍子そろった〇〇2種が共存している例を探しだせば良い。

そんな私に都合の良いものないんだろうなぁと思いながら探す日々。

あったんですね。しかも3社寺。

すごく嬉しくて気分は一等賞!なものですが、喜びも束の間。
じゃあ、どちらを「〇〇」と呼べばいいのでしょうか?

苦労して突き止めた気分に浸ったものの、話は振り出しに戻ります。
ここから長い「〇〇」図像考の旅が始まるのでした。


ということを常々やっております。

薄々お察しの方もいらっしゃるかと思いますが、答えのないものが多くなる気配濃厚。楽しんでお付き合いください。

こんなにぐるぐるするのは空想上の生き物あるあるなので、実在の動植物はあっさりめ+意味や伝承やこんなに親しまれてきた図像なんですよ、という雰囲気でお送りします。安心してお付き合いください。


考え出したらキリはないようなことなのですが、調べて自分なりの筋道をたててみたい性分。
黄金糖みたいな綺麗な飴になれるかどうかはわかりませんが、ご興味ある方はぜひ一緒にぐるぐる図像について巡ってみて下さい。
お題提供なども喜んでお受け致します。


最後まで読んでくださいましてありがとうございました。

図像考の1回目は「ミヅチ」か「サイ」の予定です。お楽しみに。
それではまた次の記事で。


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