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羽田空港のベンチで一泊した話

東京のブラック企業で働いていた頃、会社の会議で札幌に行く事になった。
いつも夜中まで仕事をしていたけど夕方に仕事を切り上げ急いで空港に向かい飛行機に乗り、私は札幌の友だちと会う約束をしていた。
札幌には専門学校に行っていたので友達が沢山いたのでみんな私に合わせて集まってくれていた。

「今から飛行機に乗るね〜」「もうみんな集まってるよ〜」とやりとりをして楽しみにしていた。
新千歳空港にもうすぐ着く。という頃事件は起こった。
飛行機がウロウロモタモタしてなかなか降りようとしない。
さっさと降りてくれよもう真下は札幌だぞ…。と思っていてもずっとグルグルしてしっぽを追いかけている犬と化した。

「只今、霧がものっすごくてモタモタしております。」とアナウンスが流れた。

しばらくモタモタして「やっぱ降りれないので東京に戻りますわ」とアナウンスが流れ飛行機に乗ってる全員が「えぇぇー?!」と叫んだ。
笑っていいとものタモさんに返す「そーですね!」くらい全員揃った「えぇぇー?」だった。

そのまま羽田に戻り「札幌行きたいならチケットを新しく取り直して下さい」と言われ解散となった。
札幌からトンボ帰りしたので羽田に着く頃には終電もなく羽田に泊まる事になった。
夜中の羽田!ワクワクする!温泉もあった気がするし楽しい所が沢山あった気がする!と私の心の拠り所の先輩と一緒に温泉があると噂がある所にいくと本日の営業は終了しました。と書かれていた。
なぜか24時間営業だと思っていた私はガッカリしたがまだまだ行ける所はある!と自信があり5m進むごとに記念写真を撮りながらキャッキャッ進んでいった。
その時の写真はどれを見ても楽しそう。
提灯の前で両手を広げたり滑走路を指差して笑ったりなんでもない壁でイェーイ!とやったり。

だが24時間やってる所はどこもなくそんなに楽しくない事に気がついた。

ローソンでご飯やメイク落としを買ってトイレの洗面台で洗った。タオルがないので雑な顔を拭った記憶がある。
よし!寝れるぞ!となった所で宿探し。
だがホテルは無い。
夏の私も先輩もワンピースでパンツがベロ剥けになる危機があり人気の無い所を探した。
だが人の来ない所には眠れそうな所はない。

結局その辺のベンチで寝る事になり夜中に何度も目が覚めた。
朝になり人が増えてきてうるさいなぁと思いつつ寝ていたが肩をトントンをされて目が覚めた。
世界一空気の読めない上司店長だった。
私は寝不足でメガネで雑にメイクを落とした顔で会いたくなかったが店長はお構いない。
「おはよう!こんな所でよく寝れたね!」とそれ以外言えなかったのかクソと思う言葉のチョイス。ここでしか寝れなかったと言い返せる程目が覚めていない。
その頃の私は寝起きがとても悪かった。

飛行機に乗れなかった事は会社のみんなに知らせていたが、なんでこんな広い空港で見つけられるんだ。名探偵かよ。

「じゃあ僕は予定の朝の便で行くから後でね」と去っていった。
後でねと言われても私たちはまだチケットを取っていないので会えない可能性が高いなと思っていたが受付に行くと会議には少し遅れるがチケットがあっさり取れた。

取れるなよ。

せめて大幅に遅れる便にしてくれよ。と心から思った。

#ブラック企業 #羽田空港  

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