過酷な条件で地力が試されたレースだったと。

パリオリンピック男女マラソン選考会、第2回マラソングランドチャンピオンシップ。

国立競技場発着の都心周回コースで行われました。
今回はパリのコースを考慮して中央通りをメインに折り返しを6ヶ所設けて、同じ箇所を何度も通るという、国内でのレースでは珍しいトリッキーなコースで行われました。
男子が先にスタートして、女子がその10分後にスタートする時差スタートで行われました。

朝からの降雨に寒さも加わるという過酷な条件下で男女とも上位2名にパリオリンピックの代表が内定するという戦いとなりました。

男子は川内優輝選手(AD損保)が大逃げを打つ展開で、1位小山直城選手(Honda)と2位赤﨑暁選手(九電工)が代表内定を決めました。
そして3位は大迫傑(Nike)となり、前回同様3位に終わりました。
さらに川内選手も4位に残るという展開でした。
ある意味今回一番男子のレースを盛り上げたことは間違えないでしょう。

女子は大集団の中レースが進み、中盤に一山麻緒選手(資生堂)が逃げを打つ格好で飛び出して、それを細田あい選手(エディオン)が付く展開となり、3位集団として鈴木優花選手(第一生命グループ)と加世田梨世選手(ダイハツ)が追う展開で進んでいき、終盤の水道橋付近で、4人がテレビのワンフレームに入る展開になり、鈴木優花選手がまず細田選手を抜いてそのあと一山選手を抜いて先頭に立ち、そのままトップで国立競技場のゴールテープに飛び込みました。
2位には一山選手が入り、一度は4位に落ちた細田選手が3位までも盛り返して目の前に一山選手が視える位置まで来ましたが届かずそのまま3位でゴールとなりました。

10月の冷雨の中で行われるというこの手のレースでも中々ない過酷な条件下で色々なアクシデントが発生していました。
男子では転倒したまま起き上がれずにリタイアした選手もいましたし、日本記録保持者もコンディションが万全ではなくリタイアしていました。
ただ国立競技場に戻ってはいたので、大事を取ってかな・・・とは思いましたが。
女子では2回通った内幸町の折り返し点で2選手が転倒しました。
ちょうど選手が曲がる位置に点検蓋らしいのがあったみたいで、2選手ともそれに足を滑らせていました。
このコースを第3回で使う可能性は低いかも知れませんが、重大インシデントとして運営側は考えてほしいものです。
女子の中継では鈴木亜由子選手がゴール後に呆然と遠くを見ている画が印象的でした。
中盤から明らかに顔が苦しくなり、国立に戻ってきたときは「跛行」気味(競馬用語ですが)になっていましたので、レース中に何らかのアクシデントはあったのでしょうが、それでもゴールまでは行こうと決めていたのでしょう。
あとはリカバリーをしてファイナルチャレンジにかけてほしいものです。
それは3位の細田選手もそうかもしれません。
レース後に笑顔もありましたが、フラッシュインタビューでは涙を拭いながら健気に答えていました。
レース途中には先頭に立つシーンもありましたので、もしかしたら・・・と当人も感じられたと思いますし。
悔しさもあるでしょうが、逆に割り切ってファイナルチャレンジに臨めるかも知れません。
とはいえあの走っている姿を視てキュンときたヒトは多いでしょうから検索数も瞬間的に増えたでしょうし、ファンレターも増えるのではないかと思います。
中にはアイドルの推しみたいに応援するのも発生するでしょうね。
プリンセス駅伝やクイーンズ駅伝あたりにいたらゾッとしますが。


このレースではラビット・・・もといペースメーカーが居ないガチンコ勝負の中で近年の国内大会ではないドラマティックな展開でした。
恐らく記録ではなく順位が重要なレースはこれしかありませんし、輪をかけるような劣悪なコンディションも相まって凄まじい展開になりましたし。
とどのつまりは速さではなく強い選手が勝ったということなのでしょう。

ただ世界は記録だけを見ればとんでもないところまで進んでいます。
先日のベルリンでは2時間0分での女子世界最高が出てしまいました。
メダルというのはもしかすると厳しいかも知れません。
ただ今日みたいなコンディションだったらワンチャンあるかな・・・とは思いました。
何より女子で優勝した鈴木優花選手のコメントが今までに無く力強く感じました。
お師匠である山下佐知子監督から話を頻繁に聴いていたそうですし。
山下さんご自身も1991年の東京での世界陸上で2位、翌年のバルセロナ五輪も4位に入っている経験をお持ちですし、こういう選手が自分のチームから出てきて嬉しく思っているとは思います。
第一生命グループからまたオリンピアンが出るわけですし、それもそれで凄いとは思います。
明日は本社へ出勤して報告をするのでしょうが。


この後はファイナルチャレンジが男子が3レース、女子が2レース設定されてその中で基準記録を突破した最上位の選手が代表内定となり、それが突破できなかった場合は今日のレースで3位になった選手が代表内定になります。
男子は12月の福岡、来年2月の大阪、来年3月の東京となり、女子は来年1月の大阪、来年3月の名古屋となります。
だいたい男女とも最後のレースから3番目の代表内定選手が出ている印象はありますが。


さて、今日のレースで中継車の位置取りについて中継の中でコメンタリーが苦言を呈していましたが、これは難しい問題だなとは思いました。
テレビとしては何とか選手を正面から捉えたいのでトップの後に第2中継車を挟み込みたいのでしょうが、選手からすれば前が視えん!となるわけですし。
そう考えると第2中継車以降は日テレの小型中継車くらいがちょうど良いのかも知れません。
あと雨の中きちんと事故なくレースを伝えたバイクのドライバーとカメラマンには賞賛の拍手を送りたいものです。
雨中のレースでかつ都心の交差点を何度も曲がるという、スリップ事故が起きてもおかしくないコンディションでしたし、事故なくタスクを完遂する本当の意味でのプロフェッショナルのスキルを見せつけられましたので。

それにつけても、男子(TBS制作)の第2中継車は系列のRKB毎日放送のクルマだったのが驚きましたが。

ちなみに私は主に女子(NHK制作)の方をテレビで観て、男子はTBSラジオで聴いていて、時折ザッピングをしていました。
しかもテレビは副音声の方をメインで。
藤川球児さんをゲストに迎えて、増田さんと小林祐梨子さんの解説、進行はベテラン冨坂さんと松山局の宮本さんが入っていました。
やはり増田明美さんは副音声向きだわ・・・と改めて痛感しました。
この方を主音声に持っていったらうるさいと思う方は多いでしょうからね。
小ネタはいいから目の前のことだけを喋れ!っていう。
(増田さんも誰か実況の方に指摘されていた事があるらしいですが)
一方で副音声の進行がユルユルで、良くも悪しくもNHKらしくないなと思いましたが。

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