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【日記】共感百景と岡本太郎、そして深川ガールズ。

人間、意識的な休息が大切なのだ。そう気づかされた今年のゴールデンウイークでした。

仕事にまみれて、気づいたら終わっていた去年のゴールデンウイークの反省を胸に、今年の連休は私なりに遊び倒したつもり。

せっかくなので、日記のようなものを書いてみた。

はっきり言って読みづらいです。でも、俯瞰視点でまとめてしまうと、隙がなくなって元の伝えたいこと(伝えたいことなどない!という主旨)を損なう気がする。
「書いた日バラバラ、気力にムラあり」のため、文体も不揃いですが、どうぞお付き合いください。

【ゴールデンウイークのできごと】
●4/29 草月ホールにて「共感百景」に出演。顧問の東直子さん曰く、詩人は初登場だそうです。第一局「車」で優秀共感詩に。貴重な体験でした。

その後、打ち上げのお店に向かったものの、辛酸なめ子さんをタクシーで拾いそこねる、すれ違い事件発生。慌ててTwitterでリプライを送る。ご一緒できなくて残念でした。。

打ち上げの写真が、主催のスラッシュパイルさんのインスタに載ってますが、東さんナチュラルにピースしてておりますな……震える。

●4/30 俊読2018@渋谷クロコダイル へ。久々に朗読イベントに純粋な客として参加。黒川さんに一杯ご馳走になる。

楽しいが、別件で忙しい。バタバタと帰る。眠れない。

●5/1 某紙連載のための撮影。試着。お唯さんこと女優の細川唯とお茶。何気なく話していたら、「普通に話してるけど、それ結構ひどいよー」と心配される。図書館。ガストで辻村深月『かがみの孤城』を読み返す。

●5/2 体調悪い。こんこんと眠り続ける。眠ったら前日の落ち込みようをきれいに忘れていた。地元の友人の結婚式で着る服を迷いに迷いながら予約(ネットレンタルです。便利な時代だ)。

●5/3 キュイ主宰の綾門優季(平成あやふやラジオでおなじみ)と、大槻香奈展、岡本美術館をはしごする。
大槻香奈展の前に、清澄白河で有名らしい「深川めし」の店へ。和室にふすま、靴脱ぎスペース……完全に「よその家」だった(深川めしは美味しかった)。
レジの横にあるエアコンの調整パネルに、推定15年前のプリクラが貼ってあった。ラメのマーカーの文字が躍る「深川ガールズ!」。

大槻香奈画集「#その赤色は少女の瞳」出版記念展@ondo_gallery (清澄白河)へ。新井素子の星へ行く船シリーズなど、本の装画やCDジャケットに描き下ろした作品が中心。原画を観た後に、画集をめくってみるとまた違う体験として感じられる。印刷物になると、良くも悪くも絵が物に吸収される(単純に色が全然違う)。

連休なので足を延ばした、川崎市岡本太郎美術館「岡本太郎の写真」展。自然豊かすぎて辿り着くのに骨が折れたが、行った甲斐があった。
常設展が充実している。表現のエネルギーに圧迫感すら感じる。立体作品が面白い。特に、太陽の塔の地下に展示された作品「樹霊」は前に立つだけで、震えてしまうほど。畏れや祈りといった人間の根源的な感情を具現化した神像らしい。畏怖を感じるほどの作品に出会えてよかった。

企画展「岡本太郎の写真」。ウネウネと手足を伸ばしていくような大木の写真(撮影地:沖縄)を見つけて、ギョッとする。立体作品を見ながら「こんなお化けみたいな木があるわけない…」と思っていたが実在したのだ。岡本太郎の目には常に自分の生とこういうものが結びついていたんだろう。沖縄でのフィールドワークや縄文土器など、日本の土着的な要素を取り入れた表現が、今まで岡本作品を知らなかった分、新鮮に感じられた。

しかし、あの美術館の構造、人を迷わせようとしているとしか思えない。
帰り道、庭園に犬たち(天敵)が放たれていて元気。「ここ通るの?本当にここ通るの~?」と涙目になり、終いに無言になり、綾門を困惑させる。

岡本太郎作品のお膝元で、犬たちが戯れている光景、異様すぎる。

夕方から下北沢に移動。B&Bで赤瀬川原平を読む。
夜は6/23開催の下北沢でのライブの打ち合わせで、片山さゆ里さんに初対面。コラボレーションさせて頂くことに。詩の話を聞き、元気になる。

●5/4 ひたすら部屋の掃除。小説家の中島桃果子さんと5ヶ月ぶりに来た神田のレバノン料理。桃果子さんもちょうど「家」に関することで忙しくしていたらしく親近感。創作の話。ベリーダンスのショー。良い夜。

ちなみに桃果子さん、この日の会話をきっかけにnoteをスタートしたみたい! 毎週月曜更新のエッセイ連載〈月モカ〉を、Facebookページからnoteにお引越しされるとのこと。私も毎回愛読しています。
▶︎小説家・中島桃果子さんのnoteはこちらです。

ここのホムスは美味しい。休日はコースだけだが、ビリヤニもお願いした。

別れた後、微妙に飲み足りなくて、缶チューハイを二本買った。人と飲んだ後に酒を買うという私なりの蛮行。と、言い聞かせて慰める。本当は、ひとりでお店に入る勇気がなかっただけ。中途半端に徘徊してしまった。

●5/5 私にとっての連休最終日。
石井僚一歌集『死ぬほど好きだから死なねーよ』批評会に参加。平岡直子さん、西崎憲さんなど久々に挨拶。
石井さんは確か五年前に短歌会の合宿でご一緒したぶり。ずいぶん落ち着いていて、歌集を出すとやっぱり変わるのかなと思ったけれど、中身はひょうひょうとしていた。年輩者たちの期待や、同じ轍を踏ませようとする強制力、絡め取られると危険なので、うまい具合に避けていってほしい。

「レトリックが本当を動かすことを信じてる」と歌に寄り添った評を展開する服部真里子さんと、「言葉」vs「人間」の対立軸が有効か検証しつつ、肯定ペンギンを例に挙げ、生の切迫感を読み解かれた小原奈実さんの評が印象に残った。

第2部は歌会。谷川由里子さんの歌が好きでした。あれはマザー・テレサの返歌?と直接聞いたら当たってて嬉しい。

マザー・テレサ、どれだけ人を愛したら布団はふっとんでくれるでしょう/石井僚一

ラブ・イズ・ブラインド なんてなまけもの太陽におふとんを任せきり/谷川由里子

(ちなみに、石井僚一歌集『死ぬほど好きだから死なねーよ』批評会は、7/7(土)に札幌・北海学園大学でも開催。パネリストとして出演予定です。山田航さんとご一緒します。詳細・お申込みはこちら
前日7/6(金)の夜は、俊カフェで詩のイベントをさせて頂くので、宜しければ両日遊びにいらしてください☺️)

だいぶ慣れてはきたが、歌人たちの仲が良いことに繰り返し驚く。いちいちマイクを握って挨拶する。その挨拶が一人芝居レベルに面白い。振られたけど、びっくりするほど喋れなかった。出版おめでとう、すら言えなかった。廣野翔一さんに「皆、場数踏んでるからなあ」と慰められる。

19時半に2次会が終わる。帰宅後、少し仕事して、掃除で出た不要な本を売りに出す。繰り出すなら今日しかない! と思ったものの、目当ての店が入りづらくて、断念。その後も踵を返すこと数回。断念続き。

でも、夜道をこんなにゆったりした気持ちで歩くのはいつぶりだろう。ミニバッグ一つで、文字通り身軽だ。普段気に留めていなかったものの解像度が上がってくる。春のぬるい夜風はデジャヴを運ぶ。

ようやく飛び込んだバーがとても良かった。古い音楽が空間に馴染む。
平野啓一郎を読みながら、とびきりのアイリッシュコーヒーを飲んだ。

(机に本と、いつものノートを出していたら、店主から「お勉強ですか?」と突っ込まれた)

ひとりでゆっくり考える時間を持てた、良い連休でした。
またこんな心地よい夜を過ごせるように、日々に尽くしたい。

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