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「拝啓 元トモ様」に寄せて

宇多丸さんのラジオで放送されていた「疎遠になった友達〜元トモ」が本にまとめられたので購入した。

ちなみに僕はラジオのリスナーではなかったのだが、「元トモ」という響きに心惹かれて気づいたら買っていた(ごめん、気づいたらは誇張表現だ)

Twitterにも感想を放り投げたが、知らない誰かの昔友人だった相手とのエピソードは、時に切なく、青臭く、そして胸を苦しくさせた。

僕が「元トモ」という言葉から真っ先に連想するのは高校2年に出会ったAという男だ。

何をきっかけに仲良くなったのかは覚えていないが、Aが当時流行り始めていたマンガ「BECK」(多分まだ1回目のグレイトフルサウンドくらいの時)を貸してくれたことが僕ら2人の仲を深める要因だったと思う。

高校時代はやさぐれていたというか、天邪鬼だったというか、自我を拗らせていたというか、とにかくマイノリティでいたいと思っていた。世間的には見れば当時の僕もマジョリティだったのだが、生きている世界(学校)で「みんなとは違う」ことに価値を見出そうとしていた気がする。

Aは特別そういう意識があったのかは分からないが、僕らは「BECK」の影響を多分に受けて(その時点でマイノリティではないのだが、当時はそのことに全く気づいていない痛い子だったのだ)作中に出てくるバンドやアーティストを片っ端から聴き、毎月洋楽情報誌であるクロスビート(今は廃刊になったのかな…)を購読し、少ない小遣いでCDを買うような日々を送っていた。

高校時代は親からバイトを禁じられていたため、ライブやフェスには参戦できず、ただただAとハマっているバンドについて語り合うのが学生生活の楽しみだった気がする。

その頃はUSにはストロークスやホワイトストライプスがいて、UKからは若手バンドがわんさか出てきていたような時期だった。何より大きかったのは高3の頃にアークティックモンキーズがデビューしたことだと思う。それはアホのように聴きまくっていた。めっちゃ好きだったな。2ndアルバムまでは…

それはさておき、Aとは高校卒業後も定期的に遊んでいて、大学1年の時に僕らは人生初となる夏フェスへと参戦した。大トリはアークティックモンキーズだった。

確かオープニングアクトはジ・エネミー(今も活動してるのかな…)を見て、ビーチステージでカヒミカリィ(可愛かった)を見ながらカキ氷を食べ、フラテリス(今も活動してry)で暴れまくり、疲れ果ててカサビアンまでは後ろでまったりしていた記憶がある。

兎にも角にも最高の夏フェスデビューだった。なんなら翌年もAとサマソニに行った気がする。10周年かなんかのタイミングだったかな。深夜3時くらいにミドリがライブやってたような…レディーガガが来てたような…ホラーズを見ながら立ったまま寝たような…そんなフワッとした思い出。

音楽関係なく旅行もした。熊本に行って運転してた別の元トモがよそ見したせいで側溝にタイヤをはめて立ち往生したな。地元の人たちに助けられて「熊本の人めっちゃ優しい」と感動した。また行きたい。

しかし、もう8年くらいはAと会っていない気がする。Aは高校を出てから看護の専門学校に通い僕より先に社会人となったのも原因かもしれない。僕は大学卒業してからもしばらくフワフワ生きていたから。

最後に会ったのはAの一人暮らし先で宅飲みした日だろうか。高校時代に聴いていたバンドの音源をコンポからMDで流して酒を飲んでいたような気がする。

拝啓 A
いつでも連絡取れるような気持ちもあったせいで余計に連絡するタイミングを逃してしまったよ。気づけば30歳を超えてしまったね。最後に会った時に結婚するかもとか言ってたけど、もしかして子供とかいたりする? 僕は未だに独身だし変わらずヒモになりたがっているよ。来年、もしもストロークスが来日したら何がなんでもチケット取って一緒に行きませんか?ひとまず元気であることを祈ってます。

それでは最後にこの曲を。The Strokesで「Someday」


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