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生成AIと大学教育

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生成AIと大学教育、高等教育についての研究メモです。 お問い合わせはweb(http://fxyma.net)に記載のメールからお願いいたします。
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国立大学の生成AI指針をデータベースにした

国立大学の生成AI指針をデータベースにした

国立大学が2023年に発表した生成AIの指針をデータベースにしました。
(最終更新:2023年11月末)

データベースは自由に利用していただいて結構です。
(コピペしてだけなので整形、クリーニングが未完です)
引用していただける場合は下記の書誌情報をお願いします。

データベースの内容ウェブ上で公開されている指針のテキストデータを収集しました。

国立大学86校のうち、60校から約80件の文書を

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生成AIを教育評価に使用する危険性

生成AIを教育評価に使用する危険性

「教員に対して生成 AI の理解を深める FD」前回は学生の情報リテラシーについて論じましたが、今回からは教員のFDがテーマです。

私大連ガイドラインで言及されている
「教員に対して生成AIの理解を深めるFD」
とはどういった内容を含むかについてのシリーズです。

FDといえば授業運営の工夫かなというところです。
授業運営での工夫は、国立大の生成AI指針をあつめたデータベースを見てみると
・ブレ

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生成AIに対応した情報リテラシー教育

生成AIに対応した情報リテラシー教育

私大連の「大学教育における生成 AI の活用に向けたチェックリスト 〔第1版〕」では、大学が組織的に検討すべき内容として、「学生に対して生成AIの理解を深める情報リテラシー教育」が必要とされている。

2023年11月現在では、生成AIの活用に対して多くの大学が指針やガイドラインを提示しているが、具体的に情報リテラシー科目として生成AIの理解を深めるような講義は十分に展開されていない。
2024年

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大学が文書の機密性を定義して標示する方法|生成AI

大学が文書の機密性を定義して標示する方法|生成AI

2023年にChatGPTをはじめとする生成AIがひろまり、各大学はそれぞれの基本的な考え方を指針として発表した。
データベースで使われている語を分析すると、その内容や指摘している項目、語彙のバリエーションは大学ごとに大きな差はないが、内容の詳しさ(文書ごとの単語の量)には大きな差がある。

教員向けと学生向けを分けた上で活用事例を上げつつ詳細な注意喚起をおこなう大学(たとえば東北大学は教員向けの

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EdGPTで教育支援|教育×GPT

EdGPTで教育支援|教育×GPT

近年、AI(人工知能)技術は教育分野でも大きな変革をもたらしています。
その中でも、EdGPT(エドジーピーティー)は注目すべき存在となっています。

参考資料:Guidance for generative AI in education and research | UNESCO

EdGPTモデルとは

EdGPTは、OpenAIが開発したGPT-3.5アーキテクチャをベースにした言語モデル

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大学が「生成AIを導入する」4つのパターン

大学が「生成AIを導入する」4つのパターン

大学が「生成AIを導入する」とは、具体的に何をすることなのでしょうか。もしもある大学が何も指針を出していない状況で、学生(組織の構成員)が生成AIを使用して卒論の章立てを整理すると、その大学が「生成AIを導入した」ことになるのでしょうか。

例えば、2023年8月23日に東京都庁が「生成AIを都庁内の全局で導入、業務活用を開始」したと報じられました。ここでいう生成AIの導入とは具体的に何を指すので

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2章|生成AIに関する論争と教育への影響|ユネスコガイダンス要約

2章|生成AIに関する論争と教育への影響|ユネスコガイダンス要約

2.1 デジタル貧困の悪化

(補足)これまでもデジタル貧困は指摘されてきたが、ワード、エクセルなどのオフィスソフトをやめて、無料のオープンオフィスソフトにするといったレベルの対応では済まない。エルゼビアなどが途上国の論文投稿料を下げているように、生成AIの企業がデジタル貧困と格差にどこまで配慮するのか?

(補足)先進国、グローバルノースの価値観:先進国や経済的に発展した国々に特有の価値観や文化

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3章|教育目的での生成AI使用の規制|ユネスコガイダンス要約

3章|教育目的での生成AI使用の規制|ユネスコガイダンス要約

3.1 人間中心アプローチ

3.2 教育における生成AIの規制

ガイドでは、国レベルから教育機関まで、生成AIを規制していくステップが示されている。

ここまでは国レベルの対応で、以下が教育機関の対応となる。

(補足)ここでのキャパシティcapacityは教員がAIツールを受け入れ、活用していく能力。

3.3 生成AIに関する規制:重要な要素

3.3では、国レベル(3.3.1)から生成A

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4章|教育・研究における生成AI活用のための政策的枠組みに向けて|UNESCOガイド抄訳

4章|教育・研究における生成AI活用のための政策的枠組みに向けて|UNESCOガイド抄訳

4.1 インクルージョン、公平性、言語的・文化的多様性を促進する

4.2 人間の主体性を守る

4.3 教育用生成AIシステムの監視と検証

4.4 学習者向けに生成AI関連スキルを含むAIコンピテンシーを開発する

4.4 教員や研究者がGenAIを適切に活用できる能力を構築する。

4.5 教師のトレーニング

4.6 複数の意見と複数のアイデア

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生成AIと高等教育に関する動向の概要(2023年末まで)

生成AIと高等教育に関する動向の概要(2023年末まで)

2018年に初めて公開されたGPT-1は、Generative Pre-trained Transformer(事前トレーニング済みトランスフォーマー)として知られ、その後2019年にはGPT-2が登場しました。
2021年には、画像生成モデルであるDALL-Eがリリースされ、MidjourneyやStable Diffusionなど、さまざまな生成AIシステムが続々と発表されました。

Goog

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