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第5話:彼岸桜

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モガの葬列』毎週月曜日に更新中

連載5話目についての感想と補足。
大正時代のお花見の様子、謎に残っている酔っ払い分析データ、モガの葬列食いしん坊ランキングを発表。


花見の名所、どっちにする?

花見の起源は奈良時代ということですが、当時は桜ではなく梅が主流でした。そのため現代のような“桜の名所”が誕生したのは江戸時代となります。
大正時代では上野と飛鳥山が有名ですが、趣が異なるので舞台設定をどちらにするかで少々悩みました。端的に言えば上野は上流階級・ご年配の方々が歩きながら花を楽しむ『団子より花』タイプ、飛鳥山は敷物を敷いてお酒やお弁当を囲む私たちがイメージしやすい『花より団子』タイプのお花見です。

熟考の末、私は飛鳥山を選択しました。今回は物語全体のバランス上インターバル回としてお送りしたかった、そしてあまり描いてこなかった屋敷の人々について触れたかったというのがその理由です。

お花見弁当の話

今回の執筆目標は『飯テロに挑戦する』でした。そこで大正時代のお花見弁当について調べてみたのですが、意外と華やかで美味しそうだこと…!実在の料亭謹製というのもいいなあと思ったのですが、東京の老舗料亭を色々調べているうちに『当時のお弁当を詳細に書く』という点がぶれてしまう気がして控えました。メニューの調査を含め結構時間をかけた気がします。笑

彩りとしてイクラの描写をいれたいと思ったのですが、調べるとちょうど大正期にイクラを食べ始めたという記述を見つけ驚きました。今では醤油漬けが一般的ですが、当時は塩漬けだったようで「塩漬け魚卵の目新しい食べ物…キャビアみたいな?」というイメージで執筆しています。
資料に載っていた再現調理例の焼き海老がとても美味しそうでした。

謎の酔っ払い統計データ

飛鳥山のイメージを深めるべく調べていましたら、大正9年 4月8日~18日に飛鳥山を訪れた泥酔者443人の内訳を調べた謎の統計を発見しました。酔っ払いの年齢層・職種学歴・飲んでいたお酒を調べたものなのですが…15~20歳という年齢の枠があったりして非常に時代を感じます。

水銀先生は急遽駆り出されお花見を中座することとなってしまったのですが、実際のお花見会場は東京禁酒会や警視庁が救護所を設置し、医師や事務員が待機していたという厳重ぶりだったようです。
それでも400人以上が運ばれてきたと考えると……ということで「どなたかお医者様はいらっしゃいませんか」のくだりを思いつきました。

▼参考URL:https://akabane-shinbun.com/archives/13544

新しく登場した使用人・書生たち

今回は新しい登場人物がたくさんいるので、箇条書きで振り返ります。こうしてみてみるとあらためて男所帯な小説ですね…!お園さんの登場で一気に華やいだ印象の第5話でした。
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お園 モデル系美人の女中さん。(30代後半)
   竹を割ったような性格。何かと水銀先生を養いたがる

慈兵衛 職人気質の江戸っ子庭師。(40代後半) 唯一の通い
    下の娘と小夜が同じ年頃でたまにパパモードに入る

 慶應に通う恭と同い年の書生。小夜の父に憧れている
  柔道に秀でており外出時の警備として帯同することもある

颯太 府立一中に通う学生。実家は県外にあるため下宿
  父が小夜父の同級生との縁で屋敷に来た。素直で好奇心旺盛

モガの葬列くいしんぼうランキング

意図せず恭がくいしんぼうキャラになってきたので、他の人々についても考えてみました。朝日は欲求に忠実なので、純粋にくいしんぼうランキングを作るとちょっと変動はありそうです。
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1位 恭
ド級食べ盛り。白米と好きなおかずだけ無限おかわり

2位 朝日
お肉大好き。躊躇なく高級食材からパクパク食べる

3位 慈兵衛
好き嫌いなく何でも食べる。お酒を飲むと食べない

次点 小夜
量というより色んなものを食べる系。珍しい料理大好き

最下位 水銀先生
睡眠と食事なら睡眠をとる。お園さんの好意がつらい
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さて次回6話目でモガの葬列も折り返し地点、少しずつ物語の核心に迫ってゆきます。小夜の人生を揺るがす七人の男──あれ、いま何人目…?
ご精読ありがとうございました!


▼過去のまとめはコチラ

https://note.com/fybys1_ayu/n/n952e20315ea7

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