Q洋画などで、お風呂の中で身体を洗うシーンがありますが、理解できません。HYさん(2年)


F先生のインテリアデザイン講義にたいして学生から聞かれた質問についてF・Y+Wがダイアローグ形式で答えていきます。答えになっているかはちょっと疑問ですが、しばらくシリーズ化出来たらいいなと思います。

HYさん(2年)の質問
Q洋画などを観ていると、実際にお風呂の中で身体を洗うシーンを見ますが、あれは理解できません。

F 欧米のお風呂に洗い場がないということね。

W お風呂の中で身体を洗いますか?僕はお風呂の中で身体を洗う事はないかな~。

F 僕も、家では、浴槽の中で体を洗うということはないな。西洋では風呂に洗い場がないけど、日本のたいていの浴室には洗い場がついているので、そこでで身体を洗うね。

Y 20年も前の話ですけど、INAXのデザインコンサルをしていたときですが、その頃はまだ木造の2階にお風呂を造ることがあまり普通ではなくて、どうしたら木造の二階にお風呂を造る事が普及するだろうかという課題を話しあっていました。

F ユニットバスの2階用が普及していなかった?

Y それもありますが、SUITE ROOMというタイルを使った浴室工法を商品化するプロジェクトが進んでいる時期だったと思います。そこで浴室全体を大きな防水パンの様なもので防水してその上にタイルを施工して、さらにその上に浴槽を設置しようという事になったのです。ところが、ヨーロッパなどの浴室の事例を参照していて、ふと誰かが「浴槽って防水パンなのでは?」西洋では、浴槽そのものが洗い場の用途であり風呂につかるという概念がもともとないのではと言うことです。

F なるほどね。西洋の浴槽は防水パンの変形である。ところで、日本でも最近若い人は風呂につからないでシャワーだけですませる人が多いよね。実は僕もシャワーだけで済ませることがほとんどです。若い人みたいに!(笑)。それはともかく、ヨーロッパと日本の違いは、お湯の供給の仕方の違いではないのかしら。つまり、彼の国では元から給湯式、すなわちメイドがお湯を運んで上からかけたの対し、我が国では湯船の中のお湯を沸かしたという…。

Y 林昌二・雅子夫妻の自邸の風呂は大きな丸い浴槽がありそのまわりが浴槽の縁までシャギーカーペットで引き詰めてありますよね(確認しましたが、これは屋根裏のサウナで、1回の寝室に通じる浴室はタイルが貼ってあるようです)。浴槽のそとにはお湯をこぼせません。シャギーカーペットを濡らしながら風呂から出て来るのが西洋的でオシャレなのかもしれませんが・・・。

F 日本人はお風呂のデザインに凝ると露天、すなわち外部化というか自然を取り込む方向に向かうのに、西洋人はインテリア化、またはリビングの用な方向に向かうと言われるようだよね。

W 小嶋一浩の自邸の浴槽は、リビングの一角に唐突に浴槽が置かれています。間仕切りもカーテンもなくてまる見え。家具のような扱いです。

F ちょっと似ているけれど、バリアフリーの建築家の自邸で、バスタブやら何やらの設備がリビングからフラットにつながっていて、見えるように計画を見たことがある。あれは、ちょっとと思ったけれど…。ところで、誰かさんのように洗面器をわざと見せるように唐突に配置する建築家がいますが、それはどんな理由がある?

Y 僕がというより、コルビュジェの事だと思いますが、やはり、「住宅は住むための機械」という言葉を思い出します。洗面や便器など住宅設備がもつ工業製品的な質感や形態が住むための機械には相応しいく、積極的に使いたい欲求があるのではと思います。

F コルビュジェが言う「住宅は住むための機械」とは、時計の歯車が一つでも欠けてしまうと機能しなくなるという様な意味で、一つでも部分を損なうと全体が機能しなくなる、つまり生活がうまく回らなくなると言いたかったのではないかいう説もあるようだけれどね。それはともかくとして、建築的な仕掛け・操作で、その場の使い方を想像させるってこと?

W 日本語では「機械」ですが、原文では何と書かれているんでしょう?

F さてね。調べてみよう。「Machines à hqbiter」。

W 英語のmachineと同じ見たいですね。

Y 住宅設計とはビヘイビアのデザインであると考えていて、洗面器等の住宅設備はビヘイビアを表現するのにもってこいのアイテムなんです。

F 住宅設備といえば、is-house のキッチンも同じ?

Y 当然そうだと思います。静岡・今村邸が完成して家の真ん中に大きな吹き抜けを持つ通り土間をもうけたとき、そこに住む人のライフスタイルの問題でもあるのですが、あまりそこにビヘイビアが発生していないように感じた時がありました。そこで、似た様な土間空間を後に設計したときに何か仕掛けとなる機械が必要だと思い、洗面器を置いてみたのが、TOM HOUSEです。ついでK HOUSEではキッチンを配置しました。後にIS HOUSEへとつづくオープンキッチンへ展開していきました。

W マシーンといえば、シャワートイレ使いますか?僕はあれがどうも苦手なんですよ。

Y 少し前は僕も苦手だったのだけれど、今では無しでは生きていけません(笑)。

F 同感。ただ、手を入れるタイプのエアータオルはいやだね。何だか余計に汚れるような気がする。デザインがまずいよね!。

Y何だか尾籠な話になってきましたので今日はこのへんで。

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