FY+W, Design Studio

藤本・横山デザインスタジオ(関東学院大/人間共生学部/共生デザイン学科)+渡辺のノート…

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藤本・横山デザインスタジオ(関東学院大/人間共生学部/共生デザイン学科)+渡辺のノートです.

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最近の記事

Q. 椅子は座るだけじゃなくて、眺めるための椅子、思想を表現するためのものもあるということでした。別の先生から、「ただ自分の内面や意思を表現した作品はアートだ」、と言われました。座るためじゃない椅子はデザインではなく、アートに含まれてしまうのでしょうか? HYさん(1年)

W うーむ。アートとデザインは明確に異なるという他に、アートよりもデザインの方がえらい、という言い方にも聞こえますね。 F たしかにね。これまた、いろいろなことが含まれているようで、一筋縄じゃいかない問題だよね。                           で、お二人は、自身のことをデザイナーと思っている?それともアーティストだと? Y デザイナー、だと思っています。 W 僕は、いままで自分を、アーティストともデザイナーとも考えたことがありませんでした。 F 

    • Q. 創造性を発揮していないデザイナーはどのように生活しているのですか? サラリーマンやアルバイトをしているのでしょうか?(HTさん3年)

      F おっ。3回目にして早くも厳しい質問がきましたねえ。どうです? Y 山に農作業に行ったり、古民家カフェなんかして凌いでいるのですよ。とほほ。 F 身につまされるなあ。その点、ワタナベクン、ここは、ちょっと偉そうに。そしてジェラシーも含めてワタナベクンとしたい気がする、はあんまり関係なさそう。このところずっと、大忙しみたいのようだしね。 W 仕事がたくさんあることと、そこで想像性を発揮できているかはまったく別の問題だと思いますが。この質問は、創造性がないデザイナーなのか

      • Q.家具のなかで、これだけは必要だと思う家具は何ですか?NMさん(3年)

        W 僕は畳の部屋で過ごす事が多くて、何もないところがくつろげる空間なんです。 F 家具は、できればない方がいいってこと?質問をいきなり危うくしてしまうような意見ですねえ。 W ヨコヤマサンの自宅だったガーデン山のリビングの続き間の畳の部屋がいつも片付いていて何もない空間だったのが印象的でした。 Y あれはワタナベサン、要するにお客さんが来るときだけ片付いているんですよ、当然。 W 普段はどんな使い方をしていたんですか? Y その部屋には押し入れがありますから、夜にな

        • 知っているつもり

          舌の根の乾かぬうちに、また*。ま、「つもり」繋がりということで、勘弁してください。 先日(と言ってもかなり前のことです。書き始めてからも随分経つ)、何人かで、かつて世話になった人のお見舞いに出かけてきた時のこと。 一緒に行ったうちの一人が近況を尋ねられて、琵琶湖周辺に旅行に出かけた折に近江八幡に立ち寄った時の話しをすると、先方の故郷だということが判明し、しかも彼が学んだ学校はヴォーリーズの設計だという。そして、ヴォーリーズ**は知っているかと訊かれたので、建築はもともと素

        Q. 椅子は座るだけじゃなくて、眺めるための椅子、思想を表現するためのものもあるということでした。別の先生から、「ただ自分の内面や意思を表現した作品はアートだ」、と言われました。座るためじゃない椅子はデザインではなく、アートに含まれてしまうのでしょうか? HYさん(1年)

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        • インテリアデザイン 学生からの質問にお答えします。
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        • 本屋に聞こえてきた食器の音
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        記事

          Q洋画などで、お風呂の中で身体を洗うシーンがありますが、理解できません。HYさん(2年)

          F先生のインテリアデザイン講義にたいして学生から聞かれた質問についてF・Y+Wがダイアローグ形式で答えていきます。答えになっているかはちょっと疑問ですが、しばらくシリーズ化出来たらいいなと思います。 HYさん(2年)の質問 Q洋画などを観ていると、実際にお風呂の中で身体を洗うシーンを見ますが、あれは理解できません。 F 欧米のお風呂に洗い場がないということね。 W お風呂の中で身体を洗いますか?僕はお風呂の中で身体を洗う事はないかな~。 F 僕も、家では、浴槽の中で体

          Q洋画などで、お風呂の中で身体を洗うシーンがありますが、理解できません。HYさん(2年)

          読んでいたつもりが……

          なぜだったか、丸谷才一の古いエッセイ集を取り出してパラパラとめくっていたら、ピーター・メイルの『贅沢の探求』*が紹介されている文があった。メイルは、リドリー・スコットの映画『プロヴァンスの贈り物**』の原作者ですね。 Note に「デザイン」と「映画(に見るデザイン)」に関連することについて書くようにするつもりと書いたばかりでしたが、「本」や「絵」も入れていいような気がしたのです。僕は、彼、つまりメイルの本は何冊か読んだことがあるはずなのに、これは?と思ったのだけれど、全然

          読んでいたつもりが……

          二種類の人間 - 補遺

          前回の文で書き忘れていたことがあるので、書くことにします。 『ジャズジャイアンツ 名盤は……』を図書館で読んだ際に思いついて、手帳にメモしていた大事なこと(と言っても、僕自身にとってというだけのことです)を失念していた。簡単なダイアグラムまでまで書きつけていたのに。ま、ただの思いつきですが……。 それは、アメリカのポストモダンの建築家のロバート・A・M・スターンが、街を自身とその追随者が高層ビルでアメリカの都市を埋め尽くす事になる20世紀最大の建築家ミース(彼は、建築こそ

          二種類の人間 - 補遺

          二種類の人間

          人間には二種類ある。とは、しばしば耳にすることである。この他にもいろいろな二つについて、よく言われていることに違いない。 例えば、成功した人間と、そうでない人間。与える人間と与えられる人間。勝ち組と負組、等々。もしかしたら、デザインする人間としてもらう人間という言い方もあるかもしれない。大抵、自信のある立場からの言い方が多いようなのだけれど……。嬉しくないですね。第一、単純な二元論というのもどうかと思う。ま、とりあえずわかりやすくする効果はあるけれど。 ところで、常に新し

          新しいスピーカーとオーディオアンプ

          新しいスピーカー、おまけにオーディオアンプとCDプレイヤーがやってきた。嬉しいけれど、やや残念な気がしなくもない…。というのも、新しく購入したというわけではないのだ。少し前に書いた後輩がオーディオ装置を一新した際のお下り。ちょうど買い替えも覚悟しつつあった*ので、大いに助かった。以前にも書いたように、LPプレイヤーもオーディオアンプも30年超なのだ。プレイヤーはある時レコードを聴きたくなって再び使い始めたのだし、アンプはそのために必要なフォノイコライザーが付いていたので復活さ

          新しいスピーカーとオーディオアンプ

          テレヴィジョン嫌い

          というタイトルは借り物で、しかも嘘になるかもしれないのだけれど(というか、正確ではない)。 本当は、テレビが嫌いというのではない、むしろ案外好きなような気がするのだ(うーむ)。『女たちよ!』の中で先のタイトルの文を書いた伊丹十三によれば、ニューヨークに事務所を構える美食家で太っちょの探偵ネロは、1分間だけつけたら満足そうに、すぐに消したらしい*。この他、武満徹や著者の友人たちテレヴィジョン嫌いの楽しみ方が記されている。僕は、それとは違うのだ(ちょっと残念)。 実家に帰った

          テレヴィジョン嫌い

          I Don't Want To Talk About It

          かつて、ロッド・スチュワートが歌って、ヒットさせた。邦題は、『もう話したくない』。 元は、なんとニール・ヤングのバック・バンド、クレイジー・ホースのメンバーが作った歌だという。ニール・ヤングもその才能を買っていたというから、期待してその歌詞を眺めてみた。ちょっと残念。女に去られた男がその思いを吐露したような歌、のよう。 そして、その歌詞は少々ストレートすぎるというか、ちょっとばかり女々しいような気がする(うんと若い時に聴いたら、共感したかもしれない)。ロッド・スチュワート

          I Don't Want To Talk About It

          恥づかしい話し、素朴な疑問

          たとえば、noteに投稿しようとしていて、ふいに、あることが気になり始めた。 それは、恥づかしながら、胸を張って言えるようなことではないのだ。 何かというと、僕自身の気づき方の不可思議さ。 こう書くと、ちょっと思わせぶりだけれど、こういうことがしばしば、というか毎回のようにある。 僕は、ブログの原稿は、必ず下書きをつくり、推敲した上で投稿する(せいぜいこの程度のものさえも)。ブログに限らず、初めて視覚化したもの、紙の上に定着したものがそのまま読めるというふうにはならな

          恥づかしい話し、素朴な疑問

          超大型台風、隔絶された空間

          数十年に一度というくらいの最大級の超大型台風の襲来の予報。 学校も、早々と土曜日の休校を決めていた。 当日の土曜の午前中は、どんよりと暑い雲に覆われているものの、雨も風もそんな気配はなかった。 午後になっても、時折強い風が吹くくらいで、特に変わるところはない。 3時を過ぎ、4時を回る頃になると、俄然、風と雨が強くなった。 そして、7時頃には、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの熱気が滾るようなサックスとドラムスの間に冷たい雨と風の音が割り込んでくるようになっ

          超大型台風、隔絶された空間

          もう一度、ジャズ− 批評を読む楽しみ

          ここ何年か、ジャズをまた聴くようになった。周辺でジャズの話の出ることが多いことや、ミースの即興性についての話を時々思い出す等々の影響だろうか。あるいは、しばらく前にそれまで遠ざけていたCDを聴こうとして探したけれど見つからず、LPレコードで聴いてから、案外とジャズのレコードも持っていたことに気づいたせいかもしれない(LPレコードとジャズは、色々な意味で好相性ではあるまいか)。 夏の間は、夕方食事時前後に聴くことが多かった。できるだけ大きい音量で(と、言ってもたかが知れている

          もう一度、ジャズ− 批評を読む楽しみ

          服装をめぐる問題

          以前にも取り上げた丸谷才一のエッセイ集をめくっていたら、ちょっと気になることが。 「服装の問題」と題した一文*。 歌舞伎といふ特殊な演劇は〈中略〉まるでファッション・ショウみたいな一面がある。日本人はそれを三百年も見てゐるせいで、ひどく服装にこだはるやうになつた。みんなが住まひのことはいい加減にして、衣服に金をかけるのはこのせいか。学校の先生が、知育をおろそかにして、服装のことに熱心なのもこのせいか。 以前、このnote でも「形から入る」、「マイ・ルール」とか書いた

          服装をめぐる問題

          悲しき願い

          順番に言えば、まずマフラーが落下し、次にLPプレイヤーが不調になって、さらには洗濯機がおかしくなったのだ(その前に「あなたが……」、という冷やかしは無し)。 踏んだり蹴ったり。 最後の洗濯機は、ドアを閉めても、洗濯が始まらず「ドアが閉まっていません」というアラートが出るのだ。メーカーのサポート窓口に電話すると、原因も明らかで、比較的安価に修理できそうだったので来てもらうことにした。 来てくれたのは修理を請け負う契約会社の人だったが、ちょっと点検したあと、修理はできるけど