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犀の角を綴る

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長野県上田市にある劇場兼ゲストハウス・犀の角。犀の角で観た作品の感想をまとめました。
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月の影にわたしを見る-「『夜明けに、月の手触りを』から、展」-

月の影にわたしを見る-「『夜明けに、月の手触りを』から、展」-

「あ、わたしだ」「わたしかもしれない」「これはわたしとすこし距離がある」「わたしとは全然違う」

耳に入る他者の言葉とわたしを重ねる。ときどき、ずらしたり、ひっくり返してみたり、手触りを確かめるように、言葉を噛み締める。

「『夜明けに、月の手触りを』から、展」とは「『夜明けに、月の手触りを』から、展」は、松本市在住の演劇家・藤原佳奈さんが10年前に書いた戯曲『夜明けに、月の手触りを』を中心に据え

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荒削りな情熱と未来に乾杯。

荒削りな情熱と未来に乾杯。

犀の角のスタッフをしている瀧本くんがひとり芝居をやるというので観に行った。結論から言うと「まだまだ荒削り」というのが率直な感想。でも、きらりと光るものがあったので、言語化してみる。

瀧本将太ひとり芝居「Imagine イマジン」

このnoteでは、敬意を込めて瀧本くんと呼ぶ。

瀧本くんは、声がいい。
明るさがあってよく通る声をしている。
瀧本くんは、身体表現に光るものがある。
コミカルであり

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眼福ならぬ耳福。犀の角の藤村ナイトに行ってきた。

8月27日(土)、犀の角で行われていた『藤村と出会う朗読と音楽のひととき〜藤村ナイト〜』へ行ってきたので感想を綴ろうと思います。と言っても、Twitterにあげたものの再編集です。ご了承ください。

一言で表すと「眼福」ならぬ「耳福」(そんな言葉ないけど)。パフォーマーがみんな違って、みんないい声で朗読するもんだから、耳が幸せ。島崎藤村はほとんど読んだことがない。好きな漫画に「初恋」が載ってて、気

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ほとばしる汗と大きな窓(寺下メロス に寄せて)

ほとばしる汗と大きな窓(寺下メロス に寄せて)

百景社with犀の角 トライアル公演 ひとり芝居『走れメロス』初日初回を鑑賞しました。

寺ちゃんこと寺下雅二(てらしたもとかず)さんが、太宰治の『走れメロス』を演じる、しかも、ひとり芝居。そのメインビジュアルがこちら。

もうこれ、絶対楽しいやつでしょ!!!!

と、即予約したわたしです。
鑑賞してみての感想はというと…

めちゃくちゃ楽しかった!!!
表情筋が痛くなるくらい笑った!!!
よくわ

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僕らは夜明けの夢を見る

僕らは夜明けの夢を見る

「え? 3時間もあるの?」

脚本家と出演者だけで観ることを決めた舞台は、上演時間がまさかの約3時間だという。何も知らずに犀の角のゲストハウスの予約を取った過去の私えらい、えらすぎる。しかし「3時間もあるの?」と思った私に教えてあげたい。「3時間もあったけど、もう1回観たくなるよ!」と。

「Before the Dawn 夜明け前 第一部」
島崎藤村の長編歴史小説「夜明け前」を原作に犀の角(長野

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