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【9/100】濁りの中で踊る言葉


心が濁っている。

どろりという言葉がぴったりの濁りっぷりだ。原因はわかってる。心を休ませることなく、次から次へと予定を入れすぎたのだ。自業自得。さらには妙に湿度が高い日が続いたことで、体力もゴリっと削られた。端的に言えば、わたしは疲れている。それだけなのに、いやだからこそ、思考がぐるぐるとした。

「誰かに話を聞いてほしい」と心が叫ぶ。
「誰に?何を聞いてほしいの?」と脳が問いかける。

わたしは誰に話を聞いてほしいのだろう。
知り合いの顔を思い浮かべるも、皆、黒く塗りつぶされる。
わたしは何の話を聞いてほしいのだろう。
話したいようなことが泡のように浮かんでは消えていく。

思考がぐるりと一周したところで、「わたしは疲れている」という結論が吐き出された。

疲れた。疲れた。疲れた。

自覚すればするほど濁りゆく心。
「しばらくこの状態が続くだろうな」と思った。

ぴこん。ぴこん。ぴこん。

普段は物静かなスマホが突然賑やかになった。友人からエナジードリンクのような言葉が届く。きらきらと踊る言葉。ウユニ塩湖よろしく爽やかな風景が心の中に広がる。

疲れてるのに、心が晴れてる。
そんな日もあるのだと思わず筆を執った六月の夜。

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