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公共輸送における迷惑行為を考える

 お久し振りです。ユウこばやしです。だいぶ期間が空いてしまいましたが、今回のブログのタイトルは「公共輸送における迷惑行為を考える」です。
 今から私がネット上で見付けて選んだ2つのニュースをを観ていきましょう。
 今年の夏、利用客が山手線を止めた事がSNSで上がり話題になりました。

そしてつい最近ですが、私の本業であるバス業界においても同業他社で似たような事案も発生しております。

 この2つのニュースの共通点ですが、駅員も運転士も激昂されていますが、間違ったことは言っておりません。
 しかし、駅員と揉めた客や路駐をしてバスの進行を妨げたドライバーはその様子を動画に撮っては相手を侮辱しつつ「自分は悪くない」と擁護しているのが分かると思います。
 それに対し、会社は従業員が正しい事を言ったにもかかわらず「従業員が悪い」と鉄道営業法や道路交通法を犯した客やドライバーに謝罪させる。
 これが現在の公共輸送業界の実情と言ってもいいでしょう。
 さて、これより私の乗務中の体験を元にした「公共輸送における迷惑行為」を考えていきましょう。

   自分が乗れればそれでいいという乗客

(私の営業エリアのイメージ1)
(私の営業エリアのイメージ2)

 上の2枚は私の営業エリアをイメージした画像です(実際の私の営業エリアは別)。このように私の営業エリアではバス停でこれだけのお客様が並び、前ドアから1番奥まで満員になります。

(私が実際に運転する都市型ラッシュ仕様の
ノンステップバス)

 バリアフリー法の施行以来、1990年代後半から導入され始めた「ノンステップバス」ですが、その頃は中扉から後ろが2列シートの「都市型標準仕様」のレイアウトのみのラインナップだったため私の営業エリアにおいては途中のバス停での積み残しによる満員通過が度々発生していましたが、2000年代後半以降「都市型ラッシュ仕様」が新たにラインナップとして加わり途中バス停での積み残し率は多少の改善が見られてきました。
 しかし車内スペースが広くなった反面、スマホ等の普及によりその車内スペースを自分の物のように専有する乗客も現れ始めて、車内マイクで注意喚起しないと乗客が奥に行かなくなりました。
 また、車内マイクでしつこく注意喚起すると「もうこれ以上乗せるな!!」「うるせぇな!!車内環境考えろよ!!」という暴言まで出るように。
 そして、乗客の吐く暴言により車内マイクで運転士が萎縮してしまい注意喚起できず、前ドアから中扉までは乗客が混雑して固まり中扉から後ろが空白という状態でお客様が待っている途中のバスを通過してしまい「後ろが空白なのに乗れない」というあり得ない苦情が発生するようになりました。

数年前にクローズアップされたバス運転士      に対する「カスタマーハラスメント」 


 私は4年前の組合定期大会の時から、乗客を含む運転士に対する「迷惑行為」の対策を主張してきました。
 そして定期大会おいて「日本人は感情労働者を搾取し過ぎている」という「東洋経済」のネット記事を用いて意見を述べました。

 記事でも触れられていますが、この年は千葉のバス運転士や京都のバス運転士が「客に暴言を吐いた」として処分される事案がありました。
 その背景にバス業界の現場において一部の乗客が必要以上のレベルのサービスを求めてクレーマー化し、運転士に対し「隷属的」「主従的」な関係性を押し付けることにより疲弊する運転士が増えたことがクローズアップされていたので、大会時に意見として述べました。いわゆる「カスタマーハラスメント」であるからです。
 「バス運転士の精神的なストレス」についてアメリカでは運転士78人に調査を行った結果、愛想笑いを自らの意思に反して行った運転手は不眠症や、抑うつ的な症状や家族との諍いなどが増えたという結果が出ています。
 安全最優先のバス運転士が「お客様は神様」的なマルチタスクのサービスを求められるにも限界があるのです。 

(交運労協による悪質クレーム迷惑行為アンケート)

 こうした中、昨年の夏に「迷惑行為」に対しての新たな動きが。「交運労協」が公共輸送従業員向けに「悪質クレーム迷惑行為アンケート」を実施。私もアンケートに協力しました。

コロナで一時、乗客が減少するも再び輸送人員が戻ると一部の乗客の暴言による迷惑行為も復活。そして迷惑行為に対しての私の今後の対策。

 2年前のコロナ禍で輸送人員が減ったものの、今年度は輸送人員も戻ってきて満員通過をする機会が増えました。
 そして、今月初めの出来事。途中のバス停で前ドア付近が混み合ってきたため車なマイクで「奥へお進み下さい」と、数回案内したところ「うるせせぇな!!車内環境考えろよ!!」と暴言が。
 ここで言い返さなければ「次に乗ったときに調子に乗ってつけあがるな」と思い、すかさず私も「こちらもキチンと車内環境考えてますよ!!」と、反論。
 終点に着いて、暴言を吐いた乗客が「こちらに来て因縁付けてくるのかな?」と思いきや、途中のバス停から乗車したいです高校生がこちらに来て「さっき暴言吐いた人、運転士もさんに対して失礼ですよね。」と、一言。
 私は「ありがとう。色んな人がいるけど、あんな大人になっちゃだめだよ。」と。
 本当にあの高校生には救われました。そして、事の状況を上司に報告。午後に暴言を吐いた乗客から本社にクレームが入ったものの「ドライブレコーダー」で確認したところ、対応は問題無いものの上司からは「あまりしつこく言い過ぎないで」との事でクレーム案件として成立はしませんでした。
 後日、この件を支部長に報告。そして「迷惑行為」の対策としてその行為と思われる物を受けた場合「何時何分頃に発生したか?」を紙に記入して目安箱に入れる案を上げました。この件は、職場委員会において取り上げられる予定です。
 そして、私自身もその場で「迷惑行為に該当する行為」を受けた場合は「あなたのやっている行為は迷惑行為で車内カメラに映ってますよと」反論することを支部長から了承を得ました。
 これは私だけではなく、公共交通で働く全ての従事者が「迷惑行為」に怯えることなく安心して働けるための行動です。
 会社が動かないなら、我々が日々の業務の中で知恵を出して動くしかありません。
 これを行動に移すことでいい方向に持っていければと考えています。この文章をお読みになった皆様。公共輸送業界の現状をどう思いますか?

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