見出し画像

大相撲 九月場所 見どころ・展望

久々の地方場所を終え、大相撲が両国へ戻ってきました。
新しい横綱の誕生を経て迎える九月場所、見どころ・展望を見ていきましょう!

新横綱は1人横綱

今場所の最注目は、新横綱の照ノ富士でしょう。
綱取りとなった先場所は、堂々の14勝1敗で横綱の地位を掴み取りました。
一方千秋楽では激闘の末白鵬に敗れ、土俵で悔しさを押し殺す表情が印象的でした。

場所後には「自分が弱かっただけ」横綱昇進後も「勝って恩返しをしたい」と語っており、九月場所では「リベンジを」と考えていたはずです。
しかし、白鵬は所属の宮城野部屋力士のコロナ陽性によりまさかの休場。
照ノ富士はライバルを1人失っただけでなく、新横綱となる場所を1人横綱で迎えることになりました。

ここで新横綱の場所の成績を見てみると

朝青龍 10勝5敗
日馬富士 9勝6敗
鶴竜 9勝6敗
白鵬 11勝4敗

このように多くの力士が苦戦を強いられています。
(※直近では稀勢の里が新横綱の場所に13勝2敗で優勝、当時優勝を争ったのが怪我で番付を下げる前の照ノ富士でした)

さらに、新横綱の場所で1人横綱として優勝した力士は過去1人も居ないそうです。

ただ、こうした過去の前例をことごとく覆してきたのが今の照ノ富士、何せ彼は序二段から大関復帰、横綱昇進を成し遂げた男なのです。

因みに、師匠の伊勢ケ浜親方(旭富士)は新横綱の場所で13勝2敗と好成績ながら優勝を逃しています。

照ノ富士には師匠の無念を晴らすと共に、幕内通算優勝回数でも師匠越えを果たす5度目の優勝(旭富士は優勝4回)を目指して、場所を引っ張って欲しいです。

そんな照ノ富士の初日は逸ノ城との一番が組まれました。
過去対戦を見る限り、照ノ富士は相四つの大型力士を得意にしており、この一番も立ち合いから一気に寄っていく展開が予想されます。
一方で、立ち合いで組み止められ、左上手を取られると怖さがあります。
照ノ富士のコンディションやメンタルを測る上でも、結びの一番に注目しましょう。

崖っぷちの大関

1年前の九月場所、正代は13勝2敗で優勝と大関昇進を決めました。
当時、貴景勝・朝乃山・正代の三大関のうち誰が横綱昇進を果たすかという話題で盛り上がっていたのを懐かしく感じます。
そこから一年の時が経ち、3人の状況は一変しました。

朝乃山は、規約違反で大関陥落。

貴景勝は、度重なる怪我に悩まされカド番で九月場所へ。

正代は、得意の立ち合いで当たり負ける場面が目立ち、合同稽古では「なめてんのか」と叱責される始末。

ただ、彼らは腐っても大関なのです。(朝乃山は論外ですが)
恵まれた体格と猛練習を経て、角界の最上位に上り詰めた彼らには優勝争いに絡む力が必ずあるはずです。

貴景勝の初日は北勝富士との一番。
怪我した場所が頚椎なだけにコンディション面だけでなく、ぶちかましてくる相手にメンタル面で立ち向かっていけるのかに注目です。
途中休場からカド番で迎えた昨年9月場所も優勝争いに絡んでいたので、序盤戦で波に乗れればチャンスはあるでしょう。

正代はメンタル面の脆さが指摘されますが、最も重要なのは立ち合いと感じます。
立ち合いで圧力をかけて右を差せれば、そう負けることはない筈です。
実際に、先場所の照ノ富士との一番も左を差して攻め込む場面がありました。横綱にも勝つチャンスはあるだけの実力を持っているのだから、慌てず自分の相撲を取ってもらいたいと思います。

世代交代の波〜彼らは本物なのか〜

そんな正代と初日にぶつかるのが、前頭筆頭22歳の豊昇龍です。
先場所は、幕内上位挑戦2場所目で10勝を挙げて技能賞を獲得し、満を辞して三役挑戦の場所となります。
先々場所までの豊昇龍は、立ち合いで押し込まれながらも持ち前の足腰の強さや強引な投げで逆転勝ちする取組が多かった印象でしたが、先場所はそこに立ち合いの鋭さが加わり、勝ち星も大きく伸ばしました。

今場所は序盤戦から上位との対戦が続く中で勝ち星を伸ばせるのか、初挑戦となる横綱戦にも注目です。

もう1人注目の若手が豊昇龍の1つ上23歳の琴ノ若です。
先場所は前頭11枚目で12勝、敢闘賞を獲得し今場所は初めての上位挑戦となります。

琴ノ若の強みは体の柔らかさ、相手の攻めをいなしながら前に出たり、突き落としたりなど多彩な攻めが特徴です。
そうした強みが上位でどの程度通用するのでしょうか。

豊昇龍と琴ノ若どちらも親類が元力士という共通点を持つ2人、彼らの巻き起こす世代交代の波は本物なのか、楽しみに見ていきましょう。

個人的注目ポイントまとめ

①実績十分の小結
高安、逸ノ城は実力、経験ともに十分だ。
是非二ケタ勝利ではなく、優勝を狙って欲しい。

②小兵の彩り
幕内中位には、石浦・翔猿・照強・宇良と小兵が並ぶ。
上位陣をかき乱す活躍や小兵同士のスピーディーな攻防に期待したい。

③ベテランの意地
昭和61年生まれの魁聖と徳勝龍、62年生まれの栃ノ心は、幕内下位に沈む。
意地を見せて踏み止まれるか、それとも十両陥落となってしまうのか、最後まで見届けたい。

④九重三人衆
千代ノ皇(前頭15枚目)・千代丸(16枚目)・千代の国(17枚目、幕尻)と九重勢3人が幕内残留を目指す。
恐らく3人が立て続けに土俵に上がる事もあるだろう。相乗効果で価値を拾えるのか注目したい。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?