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ACL グループH 第2戦 ガンバ大阪VS全北現代

はじめに

昨年と同様に、セントラル方式での開催となったACL。ガンバは初戦でシンガポールのタンピネスに苦戦しながら、2-0で勝利を収めた。
第2節の相手は、韓国の絶対王者全北現代。グループ最大の敵であり、2015年ACLでも激闘を繰り広げた全北にガンバはどう立ち向かったか、試合を振り返っていこう。

開始1分の攻防

キックオフから1分で両チームに決定機が訪れる。
まずはガンバ、昌子からのロングボールをパトリック→宇佐美→藤春と繋ぎ、サイドチェンジで大外の矢島へ、矢島からのクロスはパトリックに僅かに合わず、チャンスを逃した。

一方の全北は、直後のゴールキックから得点を奪う。ロングボールのこぼれをFW14が拾うと、右SH7からFW10へとボールが繋がり、10が落ち着いてゴールに流し込んだ。

一連の攻撃からは、この試合における両チームの狙いが見えた。
ガンバは、サイドチェンジを使って相手を動かしながらクロスからのゴールを目指す。
全北は、ロングボールを主体として相手の背後を狙う。

こうした攻撃の狙いは、両チームの守備にも現れていた様に思う。
ボールを保持したいガンバは前線からプレッシャーをかけボールを奪う守備を、ロングボール主体の全北は自陣でブロックを組みガンバを引き込む守備を行っていた。
ボール保持を増やすことで無駄な体力を使わない(ガンバ)、深追いせずに走行距離を減らす(全北)という、過密日程を考慮した駆け引きも存在していただろう。

狙われ続けた背後

ここからは、ガンバの視点に立って見ていく。

まずは、守備について。ガンバのプレスのパターンは2種類だった。
①FWがサイドを限定、CBからSBへパスを出させ2シャドーがプレスをかける
②シャドー(主に宇佐美)がCBにプレス、それに連動してSBまでWBが発車

結論から言うと、ガンバのプレスはあまり機能しなかった。

9分、右SH7が落ちて作ったスペースにFW10が流れてボールを受ける
14分、FW10がロングボールを逸らし、背後へ抜けた左SH17が受ける
23分、FW14が落ちて作ったスペースに右SH7が背後に抜けてボールを受ける

全北に様々な形からWBの背後を使われ、簡単に前進を許してしまう。

原因としては、ボールの取り所がはっきりしていない事が挙げられる。
SBから中盤への縦パスを狙うのか、ロングボールを蹴らせて回収するのかが明確でない為、SBへの寄せが甘くなり相手に多くの選択肢を与えてしまう。また、SBに対してシャドーとWBが両方ともプレスに行ってしまうシーンも目立った。

2失点目に繋がった15分30秒からの全北のビルドアップでも、宇佐美の寄せが甘く、その後の藤春、奥野のプレスも遅れ、入れ替わられてしまった。

こうした3-4-2-1での守備は常に指摘されてきた事であるが、中々改善が見られないのは、昨シーズンからの積み上げに乏しいガンバの現状を表しているのではないか。

3-4-2-1の優位性

2点のリードを許す苦しい展開となったガンバだったが、前半のうちに同点に追いつくことに成功する。

全北が深さを使う攻撃を見せたのに対して、ガンバは幅を使いながら攻撃を組み立てていった。

前述したように、全北は自陣のセンターサークルまでFWが下がり、コンパクトな守備ブロックを組んでいた。

こうした全北に対して、ガンバは3CBの三浦とヨングォンが高い位置を取ってボールの前進を図る。

全北の2トップの守備意識はそこまで高くなく、三浦とヨングォンはストレスなくボールを保持することが出来た。
11分30秒には三浦から藤春へのサイドチェンジ、12分30秒にはヨングォンからSBSH間に位置取る藤春へのパスでチャンスを作る。
すると全北のSHが、ガンバのCBを意識して前に出てくるようになった。

この動きを逆手にとってガンバはチャンスを作る。26分、ヨングォンがボールを持ち運びながら、全北の左SHを引き出すとサイドの藤春へスルーパス、ダイレクトで上げたクロスをパトリックが合わせ一点を返した。
宇佐美がハーフスペースで相手SBをピン留めし、WBの優位性を活かした理想的なゴールだった。

さらに30分、相手ブロックの脇に落ちてきた宇佐美から矢島へサイドチェンジ、折り返しをパトリックが詰めて同点に追いつく。
キックオフから何度か見られたサイドチェンジが功を奏した。
全北は人は多くいるが、ペナルティエリア内のマークの受け渡しが上手っていない印象だった。
Jリーグでも宇佐美からのサイドチェンジはよく見られるが、ここまで上手く決まらない。ここからも全北の守備組織の緩さが見て取れる。

後半雑感

後半に入ると全北は、ディフェンスラインを引き上げた。前半のように簡単にゴール前までボールを運ばれるのを嫌がった変更だ。

ガンバとしては、藤春の負傷交代が痛かった。変わった黒川もボール保持では良さを発揮していたが、56分のように後ろ向きの判断が多かった印象だ。
また、前半に比べ全北のSHのプレスバックの意識が高まり、サイド攻撃は手詰まり感があった。
それでも67分にペレイラが投入されてからは、ペレイラへの縦パスから68分83分とチャンスを作った。

一方、全北のロングボールに対してのガンバのCB陣は前半より対応が良く、チャンスらしいチャンスは作らせなかった。

結局前半に取り合った2得点の同点で試合終了。
注目の対決は勝ち点を分け合う結果となった。

編集後記

前半開始から1分での失点に、その後の追加点という厳しい状況から同点に追いついたのは、グループリーグ突破に向けても収穫あるゲームだった。

特に前半45分と後半のペレイラが入って以降の攻撃は、中央を使いながらサイドを崩していくという点で、理想的な形であった。ただ、この試合の全北の守備はお世辞にも整備されていたとは言えず、今後も注視していく必要があるだろう。

また、守備に関しては課題が見えた。
松波体制になって以降、前線からプレスに行く意識は高まった反面、プレスを外され決定機を招くシーンが増えた。
チーム全体として、ボールをどこで奪いたいのか意思統一が必要だろう。

チームとしての積み上げを作り、リーグ戦に弾みをつける為にもガンバの躍進を期待したい。







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