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ラブコール ~あのひとに会いたい 第7回 ゲスト:小山薫堂さん①

ラブコール~あのひとに会いたいとは

RCTD(東京代官山ロータリークラブ)5周年と、ヒルサイドテラス50周年を記念して、個性的なクラブで知られるRCTDメンバーがいま会いたいあのひとをお呼びしたトークセッション。各界でご活躍のラブコールされるゲストの方々との対話イベント。

コシノジュンコさんをはじめ、面白い方々がリアルにヒルサイドテラスにお越しになり、今までのこと、今からのことなどをお話するイベントです。

今回はその7回目で、「ラブコール」としては初のオンライン開催。ゲストは放送作家の小山薫堂さんです。聞き手は遠山正道さんと天野譲滋さんです。

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1時間半があっという間でとても面白く、メモが止まりませんでした
ゆえにすごい量なので、3回に分けてお届けします
第1回は、薫堂さんと代官山、仕事、京都の料亭、熊本の病院のお話です。明日以降、薫堂さんと湯道、サウナ、食事、テレビなどの話と続きます。

薫堂さんと代官山、そして、仕事

ー遠山さん
薫堂さんとは長いお付き合い。薫堂さんがご出演されている、20年以上続くFM横浜のラジオ番組にゲストで読んでいただいたり、薫堂さんがお休みの時に代打ちをさせてもらったりもした。

ー遠山さん
薫堂さんと代官山との関係は?

ー薫堂さん
最初に来たのは、1986年。「メリークリスマスショー」の打ち合わせのために、アミューズに打ち合わせに来た時だと思う。アミューズは当時、代官山の酒屋の上に事務所があった。「メリークリスマスショー」はユーミンや桑田佳祐さんが出演され、スパイラルホールから生中継した。

代官山、といえば美容院「ビジン」のイメージもあった。周りの人でお洒落な人が髪を切る、と言えば、ビジンのイメージ。それもあって、約30年前にマンションを買おうと思って探したが、高くて買えなかった思い出もあり(遠山さんは92年からヒルサイドテラスに在住)。

ー遠山さん
薫堂さんの肩書きは?放送作家?

ー薫堂さん
放送作家は最初に始めたことでもあり、今は仕事の回数は減っているが、名乗っている。他にもいろいろあるが、たくさんあるとわかりにくくなる。

ー遠山さん
そのように増える肩書きは、自ら仕掛けているから?

ー薫堂さん
仕掛けている感覚はない目の前のミッションをやっている。頼まれたことをやっている。頼まれたことをやっていると喜ばれる。今までの人生で、これだ!と思って、突っ走ったことはない。

(どうやって選ぶのか?と問われて)面白そうか、やってみて漠然とした手応えがあるかなど。向かないものは、もっといい人がいますと言って断る。
仕事をする時に考えることは 「それは新しいか?」「それは誰を幸せにするか?」「それは自分にとって楽しいか?」の3つ。どれか一つでも当てはまっていたらやる。関わっている人たちが、幸せそうじゃない、楽しそうじゃないことは、やらない。

薫堂さんと料亭

ー遠山さん・天野さん
薫堂さんは、社員の方の誕生日にサプライズをするなど「サービス精神」が旺盛。驚かせることが好きそう。最近では、京都の料亭の亭主もなさっている。

ー薫堂さん
料亭「下鴨茶寮」も、頼まれたこと。最初は、料亭のブランディングの依頼だった。話しているうちに「あなた買いなさい」と勧められた。10ヶ月迷った。銀行にも負債などがないか調べてもらった。


その間に、(2012年1月に開催された)民主党政権下のダボス会議で、日本主催のイベントをプロデュースした。

その際に、日本食を出した。他のどの企画よりも。圧倒的に盛り上がった
その経験で、日本食はコンテンツとして近くにあると武器になることと、日本食の中の京都、中でも160年の老舗ブランドを手にすれば面白いことができると、思って引き受けた。

ー遠山さん
請負ではなく事業主体になると腹を決めた、リスクをとった、ということで開けたことは?

ー薫堂さん
個人では引き受けられない。オレンジ・アンド・パートナーズ」という会社があり、信頼する仲間がいたから、引き受けられた。

引き受けることとなり、地元の方に挨拶に行って洗礼を受けた。30分ほど、汚い部屋で待たされた。来られた方に「あんたのことは知らん」「せいぜい頑張って」「一人だけ儲けたらあかんぞ」と言われた。言われるたびに「お前もな」と思った。そんな洗礼を受けた。

料亭では、急激な変化はしなかった。積み重ねてきた文化やしきたりがあるから。効率的にとか、感覚をひけらかすのはだめ。水が染み込むように、変えた。

料亭のおかげで、フランシス・コッポラ監督と関係が深まった
コッポラ監督は、ゴッドファーザーで入ってきたお金でナパバレーを買い、ワインを生産した。

初めて会った時の自己紹介で「オスカーを取った」と話したが、全く興味を持ってもらえず。逆に、料亭について聞かれた。コッポラさんはナパバレーを育てたように、京都の料亭が価値があることがわかっていた。映画は黒澤明、勝新は好きといっていた。

コッポラさんとは、料亭で2回パーティーし、ご自宅へも行った。仕事では仲良くなれなかったと思うが、歴史ある料亭をやっていることを珍しがられた。このように、料亭をきっかけに人と仲良くなることはある。

薫堂さんと熊本の病院

ー天野さん
自分は、薫堂さん一派。今は熊本の病院を一緒に手掛けている。

ー薫堂さん
自分たちは、アイディアを考えても、デザインのセンスがないし、デザインのセンスが良くない。そこでご一緒に、ということになった。今は、事務所も同じビルにある。

今、一緒に手掛けているのは熊本の桜十字病院
ドモホルンリンクルでおなじみの再春館製薬所が運営している。

再春館製薬所の創業者の方が入って、まずやったことは「美味しいものを食べさせる」こと。オーナー自ら、まず食堂に入って美味しいものを作った。お亡くなりになったらドモホルンリンクルでお化粧して、いい玄関からお見送りしている。通常の病院であれば、目立たないところからお見送りする。このように、病院の枠にとらわれていない

ロビーもふさわしく、病院っぽくない感じにした。

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そのロビーに、「レタールーム」を作った。「待ってるポスト」と名付けたポストを置いた投函口として「未来の手紙」「普通の郵便」「お見舞いの手紙」を作った

待ってるポストの由来は、14年前に書いた絵本「まってる。」

お見舞いの手紙は、ベッド脇に吊せるようになっている

このような仕組みは、通常ない。お金持ちにセンスがあると文化が生まれる。上手な散財で文化を生み出したい。

ー遠山さん
資本主義はリターンで考えがち。

ー薫堂さん
見返りを期待しない投資が大事。桜十字病院は、働いている人へのケアがすごい。中でも、社食がすごい。

今日の感想

頼まれたことをやっていると、料亭から病院まで、さまざまな相談事が「頼まれる」ようになるのですね。

そして、対応方法はその時々に応じて変えています。料亭のように歴史があるところは「水が染み込む」ように変えたり、病院はオーナーの意向もくみつつ「病院っぽくない」感じにされるなど。

しかし、いずれにも共通するのは「その場にいる人のこと」を考えていること。料亭であれば、京都の街で以前から料亭を営む先人やそこで働く人たち(そして、そこに流れる文化)、病院は患者さん、お見舞いに来る人、そして、そこで働く人。

何かを頼まれた時に、そこにいる人を見極め、今までのあり方に囚われず、その人のためになることをやりぬく姿勢に、改めて刺激をいただきました。…続きは、また明日!

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