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冬の食べ物の俳句(季節を味わう#0043)

「季節を味わう」では、第5水曜日にその季節の食材を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【鰤】【大根】

譲りあひ席の生まるる鰤大根   照井翠

冬の料理「鰤大根」。冬の食材である鰤と大根を甘辛く煮た料理です。大まかに西日本では塩ぶりが、東日本では塩鮭(荒巻鮭)が年越しのご馳走とされています。
昔はぶりを日持ちさせるために塩漬けしていました。この塩漬けしたぶりを年末に丸々1匹買って、切り分けたものを歳神様にお供えしたり、おせちに入れたりしていました。(関東のお節料理には鰤が入っていないらしいです!)
残った身を少しずつ食べていって残った骨やアラがを根菜などと一緒に煮て食べ尽くしたのが鰤大根の始まり。正月祝いを締めくくる料理というわけです。

「譲りあひ席の生まるる鰤大根」は居酒屋の風景でしょうか。
満席に見えたカウンター席、並んで座っているお客さんが少しずつずれて、一人分の席ができました。
外は寒いけれど、人情は暖かい。照りっとして美味しそうな鰤大根とお酒、いい夜です。

ところで、鰤大根の「鰤」も「大根」も冬の季語ですが、「鰤大根」は季語には採用されていません。「鰤」と「大根」のどちらの傍題にしてもいいようです。

(2024年1月31日)


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