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行事・催事の俳句 4月(季節を味わう#0054)

世界で一番短い詩、俳句。
2024年度からは毎月第3水曜日の「季節を味わう」で その月の行事をピックアップ、関連する俳句をご紹介します。
さまざまな行事・催しの中から私の好みで選びました。


【都をどり】

「都をどり」は毎年4月1日から30日まで、京都祇園甲部歌舞練場で開催される舞踊公演のこと。明治5年、勧業博覧会の催しとして開催されたのが始まりで、現在では京都に春を告げる行事として定着しています。
都をどりでは、踊る人はもちろん、楽器演奏、謡もすべて女性が担当します。京都ならではの衣装の素晴らしさも相まって、華やかさ、艶やかさに溢れており、観劇中は日常を全て忘れてしまうほどです。

春の夜や都踊はよういやさ   日野草城

都をどりでは、毎年オリジナルの演目が考案されていますが、幕開きは毎年同じ。「みーやーこー おどりはァ」と声が上がると、次に一斉に「よーいやさー」と皆で高らかに唱和する、そこで柝の音(拍子木の音)が小気味よくチョーンと鳴り響く、舞台の照明がパッとつく、いわゆる「チョンパ」での開幕です。
私はこの句の「春の夜や」に若干の違和感を覚えます。都をどりは一日三公演。開演時間は年によって変わりますが、2024年の場合、最終の講演は16:30からです。公演時間は1時間ですから、終演してもまだ「夜」というには早いのではないかと感じたのです。
私は都をどりの観客目線でこの句を解釈していますが、もしかしたら舞台を見に来たのではなく、祇園界隈を歩いていて、歌舞練場の前を通りかかった人の目線で詠んだ句だと考えればいいのかもしれません。

都踊の紅提灯に灯が入りぬ   宇田零雨

4月1日から30日まで開催される都をどり。期間中は会場である京都祇園歌舞練場だけではなく、祇園の町中に「都をどり」と書かれた赤い提灯が飾られています。夜になるとその提灯に灯りがともり、なんともいえない風情を醸し出します。桜が咲き、風もそう冷たくなくなった春の夜、華やかな祇園の夜です。



「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
パソコン・スマホで全国から聴取可能。下記QRコードからお聞きください。

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