リールのギアを”理科”してみた〜The Another Story〜
”リールチューン”に踏み切れない。
白状すると、リールという装置が好きで性能には詳しいが、内部構造(ギアの組み方など)までは理解しきれていなかった。何となく恥ずかしい。
ルアーフィッシングを趣味とするアングラー達に”リールチューン”は人気の分野だ。私も使用に伴う簡単なメンテナンスはやる。しかし、強者方はカスタマイズやベアリング交換に始まり、ギアの交換や移植まで。時には雑誌で特集が組まれることもある。
自分の好みに仕上げる楽しみは格別…だろう。
そんなリールのチューンアップに興味はあるが一歩踏み出せない。なぜなら、何かあったらリールが使えなくなるのが怖い。
※分解後はメーカー保証が効かなくなる為、全て自己責任となる。
でもやっぱりいじりたい。
そんな気持ちをモチベーションにして授業づくりに至った。同業者の方なら何となく伝わるかもしれないが、「授業」となると違うスイッチが入る。
一度スイッチが入ったら無双状態だ。気づけば頭の中に「ギアの授業」の流れが決まっていた。出来るから思いつくのではなく、動くから出来るのだと思う。にしても、ネットで見つけたダンボールでギアを作るアイディアには恐れ入った。
この過程を綴った記事はnote公式マガジンの「#学問への愛を語ろう」に取り上げていただいたおかげで一番読まれている記事になっている。感謝。
いざ分解メンテナンスに挑戦!
昨年末の大掃除で、懐かしい機体が発掘された。
【01カルカッタコンクエスト51(シマノ)】
かつての愛機である。今見てもカッコイイではないか。また使いたくなった。
使わなくなった経緯は忘れたが、もうちょい高性能の機種を導入したことでかなりの間使っていなかったのは間違いない。
この機種は2001年に発売。シマノが仕掛けた丸型リールシリーズ「カルカッタ」に「Conpuesut(征服・勝利)」の冠を有するハイエンド機種だ。
当時もそうだが、今でも超のつく人気シリーズ。分かりやすく価格でお伝えすると販売当時は50,000円超え。発売から22年をも過ぎたいまでも人気は衰えず中古市場で値段が30,000円を割らない。ヤフオクではプレ値が付いていることもある。
さて、何気なくハンドルを回すと「あれ、こんなだったっけ?」という違和感。スプールを弾いても回転数が伸びない。使わなくなっていた理由が少し思い出された気もする。
分解する理由ができた。
とにかく順番に。重ねる時の向きも間違えないように丁寧に。ネジを外し、未知の領域、ギアBOXも開く。
予想はしていたが、内部はまあまあの悲惨な状態であった。至る所に錆や細かい砂汚れの混ざったグリスがこびりつく。ずっと放置していてごめんなさい。
結構時間はかかったが、各ギアパーツを洗浄し、綺麗なグリスを塗布して完了。もっと細部まで分解できそうだが、余計なことはするまい。
…でもここまでバラしたからにはやり切りたい。まて、目の前のリールは数万円の価値のあるものだ…。ここは我慢…。
心中悶絶。
良かった。理性が効いた。何とか踏みとどまる。
それにしても、今の私はギアの配置やそれぞれの機能を理解できる。改めてよくできた装置だと感心。
さて、組み上げる。
気分の問題だが、TVも消して緊張感を持って臨む。慎重に逆の手順で作業を進めた。ハンドルまで組み終わり、回す瞬間(変わってなかったら嫌だな…。)は怖かったが、明らかに滑らかな巻き感覚が蘇っていた。しかも、劇的に。思わず、「うっし」と声が漏れる。”うっし”に意味はない。
ところが、スプールを弾いても回転数があまり変わっていなかった。回転数を担うのはベアリングである。分解の工程で念入り洗浄と注油はしたのだが、改善はされなかった。もう一度洗浄→注油もかんがえたが、新調することにした。
そこで、専門店ヘッジホッグスタジオにてベアリングセットを購入。ここはあえてノーマルではなく、かっとびチューニング用のベアリングを選ぶ。
組み込んだところ、気持ちのいいくらいの回転数が戻ってきた。
これで正真正銘、分解メンテナンス完了。ほぼオーバーホールといえるレベルまでやった。
終わってみれば何のことはない作業なのだが、大人のアングラーとして随分と大きな一歩を踏み出せた気がする。
その後、ネットで軽量ブレーキシステムや軽量スプールを発見。現在、搭載も検討。しかし、ハイギア用のチューンナップギアは残念ながらいくら探してもSOLD OUT。これが一番欲しいんだよな。
往年の愛機01カルコン復帰!
生まれ変わったこのリール。今シーズンどこで使おうかと思案中。今のところ、ハイギアではないから渓流には向かないけれど、ハクという稚ボラの群についたシーバスを狙うミノーイングには有効だろう。琵琶湖のケタバス釣りも楽しそうだ。
ということで、胸が高鳴る新たなシーズンインに向けて鋭意準備中になったのだった。
理科の授業をつくる楽しみ
2022年度も間も無く終わる。
先日、勤務校では学年末考査を終え成績処理の段階に入った。今は、担当した授業の総括を作成する毎日だ。
それにしても、理科を教え始めて20年を超えるが、ようやく自分が楽しむ授業をする余裕ができてきたと思う。予備校の先生や先輩教員の真似事に始まり、随分と時間がかかった。学力をあげるためには、最初に必要なことは、ひたすら勉強をさせることではない。
「勉強したい気持ちにさせること。」
それが教員の仕事だと気づいてから、舵を切った。「理科を知っていると、日常がもっと魅力的になるよ。」近年はそれを伝えることに全てを注いでいる。
題材はあくまでも教科書だが、エピソードを盛り付けられる得意分野に全力で寄せる。まあ、私の場合は水辺の話が多い。
ここに「授業をつくる」という実感がある。
あとは、授業をしていて自分がいかに楽しめるか。これも大切にしている。
もうすぐ来年の教科書が回ってくるから、また考える楽しみが増えるな。
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