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釣り人×理科教師 魚釣りという遊びを理科でもっと遊ぶ。気づけば理科の授業が魚だらけに……

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釣り人×理科教師 魚釣りという遊びを理科でもっと遊ぶ。気づけば理科の授業が魚だらけに…。ここでは、魚を求めて試行錯誤する釣行記や発見などをお伝えしていきます。魅力的な魚釣りをもっと楽しく広げるお手伝いができれば嬉しいです。 Instagram:gaku_1977

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  • 理科×魚釣り

  • 都会の自然を発掘せよ

  • 関東に淡水珍魚を求めて

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二枚貝とルアーのリップ その”裏”渦の検証

タナゴを守りたいならイシガイを守れ いきなりだが、イシガイ類の話から始めたい。 日本のみならず世界的に絶滅の危機に晒されているのが、淡水の二枚貝「イシガイ」の仲間。タナゴの産卵基盤になってもいるので、イシガイ類の消失はタナゴ類の消失にもつながる。 そんなこんなで、なのだが。 タナゴ好きの生徒が「イシガイの保全こそ必要だ」と始めた探究が高校生国際シンポジウムで評価をして頂いた。 発表の中で触れたのは、流れの中で殻の後方にできる渦("裏”渦)のこと。これは「カルマン渦」や

    • 都会の自然を発掘せよ〜近所の大冒険 2023〜

      日本の首都東京。 世間的?にどれだけ話題になったのか不明だが、釣り人的に2023年で最もド肝を抜かれたニュースがある。 ある若者が、国内生存率0.1%(!)と囁かれる超が100個くらいつく”幻の魚コクレン"を釣ったのだ。Yahooニュースに取り上げられなかったのが不思議なくらいだ。 日本の首都が育むポテンシャルを思い知らされた。 中国四大家魚制覇。 かつて私も齧った冒険。ご無沙汰にしているうちに激アツな若者が成し遂げた。 正直コクレンは国内達成は無理と踏んでいたから、今回の

      • 都会の自然を発掘せよ〜壊したら直して守る〜

        私としては珍しく。 11月の事だが、東京私学教育研究所の理科教員研修に参加してきた。 研修テーマは《人間が再生した海浜に棲む生き物と環境》。 要は自然の海浜(干潟)と人工の海浜を比較して、自然再生の可能性を探ろうというものだ。 奇しくも、昨年から担当学年で取り組んだ総合探究のテーマ《都会の自然は豊かといえるか?》に通じるものを感じて即参加を決めた。 研修は干潟や東京湾の保全を専門にされる大学関係の方や、自然再生に携わる企業の方によるレクチャーもあり、学びと発見の多い有意義

        • 関東に淡水珍魚を求めて#4〜トウキョウのオヤニラミ〜

          久しぶりの投稿。 勤務校で担当する水泳部の2023シーズンも終わりを告げ、ようやく私的魚釣りシーズンが到来した。 決めていた事がある。今年は日本唯一のケツギョ科であるオヤニラミCoreoperca kawamebariを釣り上げよう。 以前、ガサガサですくった経験はあるのだが、これが釣ろうと思うとうまくいかない。 今年こそ釣る! トウキョウのオヤニラミオヤニラミとケツギョ科について少し説明。 まずはオヤニラミ。 大人になっても15cm程度。西日本に分布するスズキ目ケツギョ

        二枚貝とルアーのリップ その”裏”渦の検証

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          【自由研究】遊びを本気でやればイイ【探究】

          夏休み突入。 教員にとって一番忙しいのが夏休みである。水泳部と生物部顧問を担当する私も”例外なく”のであった。プールサイドで過ごす日々に肌が焦げる。担当教科を忘れそうになる。 さて、午前中のニュース番組で夏休みの自由研究が扱われ始めたぞ。っていうことで、理科を忘れない為にネタ投下を試みる。 (冒頭の写真ですが、皆で同じ方向をみて静止していたペットショップのアカハライモリ。視線の先に何があるってことでもない…。) ①【自由研究】Seriaが凄い100円均一のお店もそれぞれ

          【自由研究】遊びを本気でやればイイ【探究】

          【釣り場凸】東京→琵琶湖400km【実地踏査】

          ようやく一学期が終わる模様。 学校の仕事が忙しいのはいつものことだが、私は自分から体力を削りがちなのが良くない。 5月。  区の水泳大会へのエントリーを踏みとどまったあたりで、成長が垣間見えた。 6月。  体育祭では1000m走に駆け出してしまいエライ目にあった…。最近は歳のせいか回復が遅い。 さらに6月。  またしても身を削ることに。突如として、ややキツい出張計画を立てざるを得なくなる。教育実習生を抱え、次週に所属学年の保護者会を控えるという馬鹿なタイミングなのだが、宿泊地

          【釣り場凸】東京→琵琶湖400km【実地踏査】

          都会の自然を発掘せよ〜カワムツからのドブガイ〜

          私的カワムツ回想 大学時代を過ごした高知県。 国道を挟んだ向かい側には鏡川という川が流れていた。 初めて一人暮らし。初めての街。 ワクワクしながら渓流っぽい支流で釣ったのがカワムツという魚だった。ここら辺の記憶が曖昧なのだが、おそらく、カワムツを釣ったのがこの時が初めてだった。  カワムツNipponocypris temminckiiは日本の在来種。ただし、西日本地域の自然分布となる。だから、高知県では普通に泳いでいる在来種で、大学の周辺や構内を流れる水路にも泳いでいた

          都会の自然を発掘せよ〜カワムツからのドブガイ〜

          テナガエビ用!?ロッドメイキングに挑戦した。【一号機 実釣編】

          前回の振り返りっぽい話  前回。  竹箒を利用してテナガエビ用のロッドを作った記事がこれ。  GW中に実戦投入しようと目論んでいたが、タイミングに恵まれずに5月も下旬になってしまった。とはいえ、テナガエビにはちょうど良い季節になったと思う。そんなわけで作り上げた1号機のロッド”TNG1号”を持って多摩川に出かける。  このTNG1号を作るにあたって、必要に応じて道糸を延長できる機能を搭載した。  理由は、経験上、テナガエビ釣りは糸を送り込むことが必要である。そこで、道糸

          テナガエビ用!?ロッドメイキングに挑戦した。【一号機 実釣編】

          Bivalvia Quest〜タナゴが先か 二枚貝が先か

           タナゴの聖地”霞ヶ浦”。  そんなイメージが怪しくなっている。近年の霞ヶ浦で釣れるタナゴのメインはオオタナゴ。他にはオカメタナゴ(タイリクバラタナゴ)も水路では釣れているらしいが…いずれも外来種である。私は外来種には特殊な寛容的立場をとっているが、在来種のヤリタナゴやアカヒレタビラ、カネヒラ、タナゴなどが風前の灯火では困る。  なお、オオタナゴは中国からの外来魚。移入経路は真珠養殖用の二枚貝(ヒレイケチョウガイなど)と言われるが、証拠なし。産卵に関係している二枚貝も不明と

          Bivalvia Quest〜タナゴが先か 二枚貝が先か

          テナガエビ用!?ロッドメイキングに挑戦した。

          #1 いろいろ”理科”してきたから そろそろロッド(釣り竿)を作る。  のだが、このタイミングで4月を迎えた。そう、新学年が始まる。  にも関わらずロッド作りとは、「まだ春休み気分か!」と言われそうな後ろめたさはある…ものの、ここは”理科”実験の延長という私的見解をもちだす。  それでも、一人でやっていると誤解を招きそうなので、サイエンス部水棲班の中学生エースを誘うのだった。  目標は部員たちにも人気のタナゴやテナガエビを釣るための1m程度の竿に設定。  ブランクスの素材は

          テナガエビ用!?ロッドメイキングに挑戦した。

          関東に淡水珍魚を求めて#3〜「びる」な魚〜

          バス釣り三大外道 何かと日本人は「三大〇〇」を作るが、一昔前のバス釣りの三大外道は、「ら〜」「びる」「ひげ」で決まりだということになる。雷魚・ニゴイ・ナマズだ。雷魚の「ら」、ナマズの「ひげ」は想像できるがニゴイについては「くちびる」の「びる」。もはや悪口…。  ちなみに、前からでっかいカマツカだと思っていたら、実際の分類上もカマツカ亜科だった。 一昔前のバス釣り!? 日本のルアーフィッシングは本当に進歩している。昔のメジャーな対象魚といえば、「淡水ならばブラックバスで海はシ

          関東に淡水珍魚を求めて#3〜「びる」な魚〜

          ロッドとキャスティングの関係をガチで”理科”してみた

          多様な竿がショップに並ぶ。 のべ竿、投げ竿、ルアーロッド、フライロッドetc. さらに対象魚に合わせて。使う仕掛けに合わせて。千差万別と言ってもいい。 それらは実際に何がどのように違うのか? これは理科の出番である。 しくみを整理しながらルアーキャスティングを題材に理科することにした。 #素材は同じでも長さ次第で…。  まずはロッドの曲がりについて。条件をシンプルにする為に、「ロッド→竹ひごφ1.8mm」「ルアー→錘(鉛) 26g」に置き換えてみる。 【実験1】竹ひご

          ロッドとキャスティングの関係をガチで”理科”してみた

          タックルバランスを”理科”してみた

           春だ。  気づけば都内の暖かい気候に桜も開花し、まとまった雨も降った。マルタウグイ釣りの本格的なシーズンも始まった…と思う。※行っていない。  さて、タックルのバランスを考えてみることにした。というのも、スポーツでは、ストレスの少ないバランスを取ることがパフォーマンスの向上につながる。故にタックルバランスは釣りのパフォーマンスを考える上で欠かすことのできない要素だ。  そこで、ロッドにリールを乗せた時のバランス…「重心」の位置に注目した。  パフォーマンス向上を目指し、

          タックルバランスを”理科”してみた

          都会の自然を発掘せよ〜スモールマウスバス〜

           スモールマウスバス。  日本では今から30年位前から耳にするようになった。裏磐梯や野尻湖で釣れると聞いて、裏磐梯に行き、初めて釣った時は嬉しかった。伝説のルアー&フライ雑誌『Tackle Box』の読者コーナーに投稿したのを覚えている。  時代は過ぎ、今では国内の様々な場所で釣ることのできる魚になった。都内を流れる一級河川もその例外ではない。AR川やTM川水系などでは四季を通じてアングラーの姿が絶えない。 私的なスモールマウスブームは定期的に  思い返せば私的スモールブ

          都会の自然を発掘せよ〜スモールマウスバス〜

          リールのギアを”理科”してみた〜The Another Story〜 

           ”リールチューン”に踏み切れない。  白状すると、リールという装置が好きで性能には詳しいが、内部構造(ギアの組み方など)までは理解しきれていなかった。何となく恥ずかしい。  ルアーフィッシングを趣味とするアングラー達に”リールチューン”は人気の分野だ。私も使用に伴う簡単なメンテナンスはやる。しかし、強者方はカスタマイズやベアリング交換に始まり、ギアの交換や移植まで。時には雑誌で特集が組まれることもある。  自分の好みに仕上げる楽しみは格別…だろう。  そんなリールのチ

          リールのギアを”理科”してみた〜The Another Story〜 

          関東に淡水珍魚を求めて#2 〜鬼顔のクセノキプルス〜

          クセノキプルス類ってどんな魚? 聞き慣れないが日本の淡水魚としてよく知られた「オイカワ」という魚もその一味。東アジア全域に分布するコイ科クセノキプルス亜科の魚だ。産卵期には非常に綺麗な婚姻色を身にまとう。  そんなクセノキプルス類の”鬼顔”との出会いは、中学時代に誕生日プレゼントで買ってもらった「日本の淡水魚」(山と渓谷カラー名鑑)という図鑑だ。この図鑑には熱中した。読み過ぎてボロボロになってしまい、生物部の部室に寄贈したらもっとボロボロになってしまった。すでに絶版となって

          関東に淡水珍魚を求めて#2 〜鬼顔のクセノキプルス〜