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12 バーたかはし

京都の左官建築家・森田一弥さんが、トウキョウの建築家・塚本由晴さんを案内する『京都土壁案内』(学芸出版社)。
歴史や様式だけじゃない、多様な表情をみせる土壁の魅力が満載です!
2日にわたる、京都での取材の模様をレポートします。

訪れる人

塚本由晴さん
建築家。アトリエ・ワン主宰
東京工業大学大学院准教授(当時)

案内する人

森田一弥さん
建築家+左官職人
森田一弥建築設計事務所主宰

前回のようす


さて、そろそろ日も沈んでまいりました。

森田さんの設計による日本酒・焼酎バーにご案内いただきました。
実はこの店、知る人ぞ知る、日本酒にこだわったお店なんですが、土壁にもこだわってます。鉄粉入りの中塗り仕上げで、粗い表情を出しつつ、継ぎ目なしで一気に塗り上げられています。
腰イタには波型のトタンが用いられていて、これまた異素材の組み合わせ。床にはこれまた素焼きのレンガが敷かれています。
洞窟のような空間で、まさに酒蔵といった感じです。

しっとりとした雰囲気でお酒を愉しめる室内空間。

このお店、入ったときに、とても芳醇な香りがするんです。
日本酒の酵母のせいでしょうか。それに加えて、呼吸する土壁が香りを吸って、放っているような気がします。
竣工から10年を経て、より深みが増しているようです。
それも土壁の良さだと思います。

土も日本酒やパンと一緒で、発酵させることで粘り強い素材となります。
じっくり育てる素材なんですね。そして、ゆっくり作るからこそ、時間が経っても味わいが増していく気がします。

蕎麦ちょこでいただく日本酒はもちろん、ご主人手打ちの〆蕎麦も最高でございました。
粉モノツアーの最後を締めるのに相応しいおもてなしでございました。

そして、さらに夜は続く…。

(完)

京都土壁案内

塚本由晴・森田一弥 著

寺社や茶室はもとより、お茶屋や洋館、蔵や土塀まで、時を経て町に滲み出た土壁の魅力を紐解き、巡る、今日の京都の建築・街歩きガイド。京都の若手建築家で左官職人でもある森田一弥の案内は初心者にも優しく、塚本由晴(アトリエ・ワン)の撮り下ろし写真は町の日常に潜む土壁の迫力を見事に切り取った。素人も愛好家も必見。

詳細|https://goo.gl/eK3Z3S
Amazon|https://goo.gl/CdWmmU

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