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073.『空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる 「がもよんモデル」の秘密』和田欣也・中川寛子 著

本書には、不動産業界で四十年近いキャリアがある中川寛子による取材・構成で、誰でも空き家再生に取り組めるようになるべく具体的なノウハウをまとめました。すべて私だけで成し遂げた仕事であるように見えるところがあるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。いつも私たちの活動を理解し、ご協力くださっている地域の方々や、店主の皆さんの力あっての「がもよんモデル」です。

☞書籍詳細

築百年以上の古民家が数多く残る大阪市城東区蒲生4丁目、通称「がもよん」。ここ10余年で30軒超が次々と再生され、空き家活用の先進地として注目を集めてきた。適度な耐震改修、有望な店舗の誘致、飲食業態による収益確保、地主との協働、競合せず共存できる関係づくりなど、皆が稼げるまちの仕組みを仕掛け人が明かす。

●はじめに

最初にご挨拶を。
大阪市城東区蒲生四丁目(がもよん)で三十軒以上の古民家を飲食店などに再生してきた和田欣也です。

この本は「古民家のお金の話」をまとめたものです。

全国には古民家再生による地域活性化を目指す団体がいくつも存在しています。しかし、補助金が尽きて活動できなくなるなどして、大体は数年で立ち消えているのが実情です。

一方、がもよんでの古民家再生モデルは、事業として定着しています。建物の持ち主・貸主と借主のつなぎ役である私の会社の売上も、年間で億を超えています。
古民家再生ビジネスは、仕入も在庫もないので倉庫費用がかかりません。また、仕事は受注・発注で成り立つのでリスクもありません。注文を獲得するための営業経費はある程度当初にかかるものの、軌道に乗ればほとんどの案件が紹介や問い合わせから成立するようになるので、長い目で見ればわずかで済みます。売上から出ていく経費はほんの少しなので、事業として儲からないほうがおかしいのです。

これからますます人口が減少していく中で、新築の着工数は減ります。ハウスメーカーはどうするのでしょう。営業できない工務店は、新築の受注からリフォームにはすぐにシフトできません。古民家再生ビジネスには、大手のデベロッパーやメーカーは参入しないし、マーケットは大きいのにライバルが少ない。ここまで挙げた状況を踏まえた上で本書を読まれ、そこでビビッと来なければ、ビジネスセンスはないと思ったほうがいいかもしれませんよ。

本書には、不動産業界で四十年近いキャリアがある中川寛子による取材・構成で、誰でも空き家再生に取り組めるようになるべく具体的なノウハウをまとめました。すべて私だけで成し遂げた仕事であるように見えるところがあるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。いつも私たちの活動を理解し、ご協力くださっている地域の方々や、店主の皆さんの力あっての「がもよんモデル」です。
建物を貸す人、建物を借りる人、そして建物のまわりで暮らす地域の人に喜ばれ、自分の稼ぎになり、まちも変わる。ぜひ、この本で「がもよんモデル」のエッセンスを得ていただき、地域の活性化に取り組んでください!

二〇二一年一月
和田欣也

●書籍目次

まえがき

第一章 十余年で三十余軒が出店、撤退ゼロ。蒲生四丁目で何が起きているのか

・蒲生四丁目というまち
・誰が蒲生四丁目を変えたのか

コラム「がもよんを語る」
①田中創大氏「任せたら口は出さない、結果を見ても叱らない」
②納島輝久氏「責任感と当事者意識ががもよんを面白くしてきた」

第二章 空き家再生を稼ぐビジネスにする「がもよんモデル」とは?

・外から見た「がもよんモデル」の独自性
・地域内のネットワークを作る
・自ら責任を背負う
・「がもよんモデル」の特徴① 質の高い飲食を核にした稼げるまちづくり
・「がもよんモデル」の特徴② 飲食店を含むまち全体を巻き込んだマネジメント
・「がもよんモデル」の特徴③ 耐震改修から始まる空き家再生スキーム

コラム「がもよんを語る」
③久田一男氏「行政の均質なまちづくりとは一味違う『和田ワンダーランド』」

第三章 真似て稼げ。「がもよんモデル」を徹底解説!

・まちのスケールを見定める ~歩き回れるエリアを集中的に~
・空き家を見極める ~耐震改修から始めるスキームづくり~
・大家を口説く ~周到な準備でお金の話も曖昧にしない~
・まちに必要な店子を選ぶ ~飲食中心で確実に稼げるまちに~
・事業リソースをシェアする ~ノウハウを共有しみんなで儲かる仕組みに~
・仲介役の収益源を確保する ~もちろん、つなぎ役も儲かる仕組みに~
・自前の事業にこだわる ~行政とはつかず離れず、補助金は受け取らない~
・存在をアピールする ~定期的に地域を巻き込み、仲間を増やす~

コラム「がもよんを語る」
④草薙匠氏「がもよんドリームが意欲を刺激する」

第四章 これからの「がもよん」が目指すこと

・「がもよん」のコロナ対応
・自分の店を持ちたい人を応援するまちへ
・まちの暮らしと結び付けた拠点づくり
・川を越える「がもよん」拡大計画
・「がもよんモデル」を大阪に、日本中に

コラム「がもよんを語る」
⑤スギタグループ代表取締役「地元の人間にはできないことがある」

対談 大島芳彦×和田欣也「定石と違うから「がもよん」は面白い」

☟本書の詳細はこちら
『空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる 「がもよんモデル」の秘密』和田欣也・中川寛子 著

体 裁  四六判・192頁・本体2000円+税
ISBN   978-4-7615-2761-7
発行日  2021-02-01
装 丁 美馬智

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