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大学生は書店として生協を活かそう ~書店の良さである情報密度+専門性~

 大学生の方、大学を経験された方は「大学生協」にどんな印象をお持ちでしょうか。組織としての大学生協は様々な事業をしていますから、人によって生協からバイトを斡旋を受けたとか、生協の公務員試験講座を受けた、生協の物件に入居していた等もあるでしょう。
 ただ、店舗としての生協は飲み物や軽食を買う、教科書を買う場所くらいの人が多いと思います。私にとっても大学生協は学部生時代まで飲み物を買う場に過ぎませんでした。
 しかし、院生時代に書店としても有用なことに気がつき、ちょくちょく通っていました。

実店舗書店の良さの1つ 情報密度の高さ

 様々な情報がネットで手に入る、本を買うにしてもネットで事足りる、なんならネットの方が安い…。実際、私も何を買うか決まっている場合はネットで購入することが多いです。しかし、未知の本を見つける際には実店舗の書店が優れていると思います。
 よくネットでは「おすすめ」等で欲しいものしか目に入らない、実店舗には偶然の出会いがあると言われます。ネットでも偶然の出会いはゼロではないのですが、「出会い」と大げさに言わずとも、単純に一目した際の視覚情報は圧倒的に実店舗が優れています。ネットでは膨大にスクロールしてページを移って得られる情報量が、大量の背表紙や平積みを一目すれば得られます。コーナーごとに今の話題もわかります。そして、すぐに手に取って読めます。また、ネット書店では試し読みの多くは冒頭一部で、全体をパラパラ試し読みは難しいです。
 視覚情報では図書館も優れており、この本を借りにいこうと行くと同ジャンルの様々な本が見え、これも借りようということはよくあります。OPAC段階ではわからない実際に並べてある良さです。しかし、良くも悪くも古い本も含めて大量にあります。今を知ることや、様々なものを広く知ることにおいては、新刊書店の方が優れているでしょう。

大学生協は書店の良さを凝縮+専門性

 大学生協の本コーナーは、新刊書店の良さに加え、質の面でもそれなりに精選してあります。書店の新刊も玉石混交ですが、大学生協にとんでもない本が置かれる確率は通常の書店よりは下がるでしょう。一般教養はもちろん、研究法・学術業界関係など研究世界の教養とも言える内容は一般書店では中々置いていません。学術の世界は今なお徒弟制度のような教育法が根強いので(共有財にされないものの多さに対する憤りは本筋でないので置きます)、ゼミや授業、交流する人々といった環境によってはあまり情報が入らないこともあります。同じ環境でも、「そうかこういうこと知っておかないと」と気づいて、積極的に行動を起こせば得られる情報もあります。生協の本という意外なきっかけで、そういった気づきを得られることもあります。
 そして、大学生協には自大学の教授の著書をはじめとした専門書も多数あります。教科書として採用されている、あるいはかつて採用されていた本、その専門分野で話題になっている本などを一目で把握できます。他の分野を知ることもですが、自分の専門分野でも意外と知らないことが沢山あります。

院生時代の休憩場所だった大学生協

 私が大学生協の本コーナーを定期的に見るようになったのは、大学院修士課程の時です。それまで所属ゼミの最寄の生協は軽食と文具くらいしかない狭い店舗だったこともあり、あまり利用しませんでした。しかし、大学院に入り大学で事務員としても働くことになった際、職場が広めの店舗の近くになりました。休憩時間にそこで飲み物を買うことで本も目に付き、次第にその充実ぶりに気づきました。ラインナップが頻繁に激変はしませんが、研究や日常の中でひっかかったことがあった後に見ると、「これそのことがテーマだな」など今まで目に留まらなかったものが留まることもありました。

大学の施設を活かそう

 大学の施設はしっかり活用すべき、できるものが沢山ある。このことに気づいたのは大学院生になってからで、学部生から活用しておけばと沢山思いました。今回の大学生協もその1つです。(厳密にどの組織に属しているか細かい話は置き、学生が大学構内で活用できる施設という意味で話しています)
 もちろん大学の規模によって生協の規模も異なるので、今回の話が全大学生に適用できるわけではありません。ただ、現役またはこれから入学される学生さんで、それなりの本が置いてある生協があればぜひご活用ください。生協は大学の一施設でもありますから、情報源としても大いに活用しましょう。

#このお店が好きなわけ

専門である教育学を中心に、学びを深く・分かりやすく広めることを目指しています。ゲーム・アニメなど媒体を限らず、広く学びを大切にしています。 サポートは文献購入等、活動の充実に使わせて頂きます。 Youtube: https://www.youtube.com/@gakunoba