授業をサボって観に行く映画は格別である。


#映画にまつわる思い出

去年の秋頃、午前中にバイトを終え、午後からの授業に出るためバスに揺られて大学に向かっていた。
大学について教室に向かっていたらゼミの同期2人が目の前から歩いてきて
「よし、今から映画観に行くぞ」といってさっき降りたはずのバスに乗せられ、拉致された。まぁ、特に抵抗する理由もなかったためそのまま席に座り、バスは駅に向かって走り出した。
「いや、まぁいいんだけど、何の映画観るの?」
「決めてない、というか何の映画やってるの?」
「いつもの映画館だよね?調べるわ」と言ったら、「いや、そこじゃない。えーと、どこだっけ」「えーっとね、先輩から聞いたんだけど、なんだったっけ……確か……××みたいな名前の映画館」
はじめて聞く映画館で,調べてみたらザ・レトロな映画館で昭和の古き良き映画館だった。(ちなみに僕ら3人は他の大学生より映画を観ていると思っている)
上映作品を観てみるとどの作品も聞いたことが無いもので、「どれ観る?」って聞いたら「まぁ、着いた時の次の映画でよくね?」「うん」というだいぶ適当な男3人で行く旅が始まった。

バスと電車に揺られて目的の映画館に着くと、昭和を舞台とした映画で出てくる映画館が目の前にあって,そこだけタイムスリップした感じだった。
とりあえず、次に上演する映画のチケットを買った。上演まで時間があったので煙草を吸ったり、物販で昔のパンフレットを漁ったりしていた。
時間になり、入場すると係の人から食事をとることはできませんがアルコールを含む飲み物は可能ですという言われた。
「映画館で映画を観ながら酒が飲める」というワクワクに満ちた気持ちになったが誰も酒などは買っておらず、その楽しみはお預けとなった。
※ちなみに、全員成人をしているのでご心配なく
上演時間になっても僕ら以外の客はおらず貸し切り状態だった。

映画は面白いことに白黒無声映画だった。邦画で撮影自体も1年前に撮影されたもので、映画をよく見る人なら使っている「Filmarks」というアプリにも載っていないほどのマイナーな映画だった。無声映画ならではの大袈裟な演技や過去の白黒無声映画のオマージュなどをふんだんに使っていて、終わった後に3人で「クソ映画だったわ」と笑いながら楽しんだ。「あのシーンはさぁ,あの映画のオマージュだよね」「昔の白黒無声映画ならではのグラスを鳴らしてからの唐突のプロポーズはやっぱりおもろいよね」「上映時間良かったね、あれ以上長かったらくどいよね」など笑いながら語り合った。

今も大学生だが、これ以上のバカみたいな大学生活は送れないだろうし、あれ以上の最高な映画には今後出会えないと思う。

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