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大学をマンガ喫茶に!!早稲田図書館で読めるマンガ5選

早大生のみなさん、大学図書館には行っていますか?

レポートを書くときだけ利用するという人も多いかもしれません。
でもそれだけじゃもったいない!

例えば、Kindle Unlimitedで読めるのは12万冊。
それに対して早稲田大学の蔵書数は508万冊。

これだけたくさんの本を自由に借りられるのは、まさに大学生の特権だといえます。 
しかも、その中にはマンガの蔵書も多いのです。

ということで今回は、早稲田大学図書館で読めるマンガを5冊紹介します。
「え!こんなのもあったんだ!」と喜んでいただけたら嬉しいです。



①大友克洋『童夢』

ーー超能力、大量破壊、秀逸なカット、これが『AKIRA』の原点


『AKIRA』というアニメを知っている人は多いのではないでしょうか。

↑このシーンが有名ですね 
(Yahoo!知恵袋より引用https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14107015209)

国内外で高く評価されている大友克洋が『AKIRA』の前身として描いたのが、今回紹介する『童夢』です。

物語の主人公、「エッちゃん」は超能力を持った少女。
彼女が引っ越してきた郊外のマンモス団地では、住民たちが謎の不審死を遂げています。
その犯人は「エッちゃん」と同様、超能力で人を操ることができる老人の「チョウさん」。
二人のエスパーの対決は、過剰なまでに建物を破壊し尽くします。

この作品、ストーリーらしいストーリーが実はありません。
上に述べたことがほぼ物語の全てです。

それに対して、異様なまでに緻密に描かれるのが、「エッちゃん」と「チョウさん」の対決場面。
超能力を持った二人が、まさしく子供の夢の中のように暴れ回る様子が約80ページにわたって描写されます。
そのスピード感や緊張感は、現代の読者にもなお新しさを感じさせるものだと思います。

『童夢』が描かれたのは、1980から1981年。
その一年後に『AKIRA』の連載が始まります。

『AKIRA』では、舞台が郊外の団地から戦後の「ネオ東京」に移り、子供たちの超能力は政治や宗教の干渉に晒されています。
『AKIRA』に興味がある人は、ぜひ『童夢』も読んでみてください。
二つの作品を読み比べて、大友ワールドに浸りましょう!

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②士郎正宗『攻殻機動隊』

ーー「そうしろとささやくのよ、私のゴーストが」


『攻殻機動隊』もアニメが有名な作品です。

舞台は第四次核戦争後の世界。
科学技術が飛躍的に発展した日本では、脳神経にデバイスを直接接続する電脳化技術、身体の一部を義体化するサイボーグ技術が普及しています。
そんな社会で起こる新たな犯罪、例えば、電脳のハッキングやアンドロイドを利用したテロに立ち向かうのが公安9課、通称「攻殻機動隊」です。

この作品の魅力は、やはり「電脳化」や「サイボーグ」といった多彩なガジェットと、主人公である草薙素子のかっこよさだといえます。

草薙素子は、公安9課の指揮官。
先に引用したセリフ、「そうしろとささやくのよ、私のゴーストが」というのも彼女の言葉です。

ここでいう「ゴースト」は幽霊のことではありません。
サイボーグ化によって、生まれ持った身体ではなく、機械の身体で生きる世界。
電脳化によって、自分の思考と他人の思考が混ざり合う世界。
そんな世界では誰もが「私は本当に私なのか」という問いを抱えています。
そこで「ゴースト」は、生体組織をどれだけ機械と入れ替えても、なお人間が人間である条件を意味する言葉として使われます。

草薙素子の戦いは、社会を脅かす犯罪との戦いであると同時に、「ゴーストとは何か」「人間とは何か」の探求でもあります。
それがこの主人公の深みであり、単なるSFアクションマンガを超えた奥行きを作品全体にも与えているのです。

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③萩尾望都『残酷な神が支配する』

ーー「愛」にまつわる人間心理の探究、ジャンルを超えた少女マンガの傑作

萩尾望都は、『ポーの一族』『トーマの心臓』など、少女マンガの傑作を数多く残しています。
いわゆる「耽美系BL」の元祖と呼べるマンガ家です。
でも、「BLはちょっと……」「少女マンガはあまり興味ないな」という人にも、『残酷な神が支配する』はおすすめです!

この作品の主人公は、ジェルミという青年です。父親に先立たれ、長い間母親と二人きりで暮らしてきました。
そんな彼の生活は、母の再婚によって一変します。
新しい父親となったグレッグという男は一見完璧な英国紳士ですが、夜はまさしく「残酷な神」のようにジェルミを暴力で支配します。
何も知らない母の幸福を願えばこそ、ジェルミは自分の受けた仕打ちを誰にも話すことができません。

そして、ジェルミはついにグレッグの殺害を試みます。
自家用車の中で炎につつまれるグレッグ。しかし、その車には最愛の母も乗っていたことを、彼は後になって知るのです。

この物語にはもう一人、重要人物が登場します。
グレッグの息子であるイアンです。

結果として二人の人間の命を奪ってしまったジェルミと、その遺族であるイアンが傷つけ合いながら互いに唯一の理解者になっていく心理描写は圧巻です。

『残酷な神が支配する』には、「BL」や「少女マンガ」といったジャンルを超えた普遍的な魅力があります。
それはこの作品が「愛情」というものが陥る暴力性を克明に描き切っているからだと思います。

恋人を想う気持ちが嫉妬に変わり、家族への愛が束縛になる。
一方で、グレッグを殺したジェルミとその息子であるイアンの関係が、憎しみから愛へと変わっていく。
そんな矛盾した人間心理の探究に、この作品のおもしろさがあります。

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④アラン・ムーア、デイブ・ギボンズ『ウォッチメン』

ーーヒーローの正しさは誰が証明するのか、最高の「アンチヒーロー」アメコミ

『ウォッチメン』は、いわゆる「ヒーローもの」を皮肉ったアメコミです。

物語の舞台はベトナム戦争に勝利した世界線のアメリカ。
ソ連との関係は第三次世界大戦目前までに冷え込み、国内は犯罪と暴動の嵐が吹き荒れています。

そんな中、コスチュームをまとって犯罪者と戦うスーパーヒーローと呼ばれる者たちが登場します。
しかし、彼らのほとんどは「キャプテンアメリカ」のような超人的な能力を持っておらず、政府による認可もありません。
つまり、ヒーローのコスプレをした一般人、私人逮捕YouTuberと大して変わらない存在なのです。

作中に登場する主要なスーパーヒーローは6人。
そのいずれも、英雄的とは言い難い、一癖ある人物です。

例えば、自称ヒーローロールシャッハは異常な正義感に基づき少なくとも7件の殺人を犯しています。

ロールシャッハは極端な右翼主義者であり、幼少期の経験から女性に対する嫌悪感をもっています。
無職で、風呂に入らないため体臭がきつく、普段は「The End is Nigh(終末は近い)」と書かれた看板を持って街中を徘徊しています。

そんな彼がある殺人事件の捜査をする場面から、物語は始まります。
殺されたのは、政府公認の数少ないヒーローである「コメディアン」でした。
ロールシャッハはこれを「ヒーローを狙った犯行」だと捉え、かつてのヒーロー仲間たちに忠告しに行きます。
仲間のほとんどが取り合わない中、ロールシャッハは事件の独自調査を強行します。

本作はヒーロー殺しの犯人を追うミステリーであると同時に、アメリカン・ヒーローのパロディです。
真実を決めるのは誰か、正義を決めるのは誰か。その問いは、『ウォッチメン』というタイトルにも現れています。

作中では「誰が、見張りを見張るのか?」というローマ詩人の風刺詩が印象的に引用されています。
誰の正義を良しとするかは、実は私たち読者にも委ねられているのです。

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⑤楳図かずお『わたしは真悟』

ーー機械に意思は宿るのか?今こそ読みたい傑作ホラー

楳図かずおといえばこの「ギャーッ」がまず思い浮かぶかもしれません。

Yahoo!知恵より引用(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13251212428)

恐怖マンガの第一人者である楳図がホラーテイストを抑えめに、意識とは何か、人間と機械の狭間は何かといったテーマに挑んだ意欲作、それが『わたしは真悟』です。

1982年、とある町工場の産業用ロボットに意識が生まれます。
自分を遊び相手にしていた小学生の男女「さとる」と「まりん」を親と認識し、2人の名前を取って「真悟」と名乗るようになったロボット。
世界中のコンピューターと繋がり進化していく真悟は、自分の親を探し求めて旅をします。
しかし、そこで直面するのは過酷な人間の世界。

父親の転勤に伴いイギリスへ連れて行かれたまりんは、反日本人デモの標的にされたり、現地の少年に付きまとわれたりして疲弊していきます。
また、日本に残されたさとるの家庭は、父の失業によって崩壊状態に陥ります。
親の幸せを願う子供と同じように、二人のために献身的に尽くす真悟ですが、徐々にその力を失ってしまうのです。

『わたしは真悟』は1980年代に描かれたマンガのため、ロボットの描写に若干の古さはあるものの、インターネットやAI時代の論点を見事に言い当てた作品だといえます。

ChatGPTやStableDiffusionなどAI技術の進展がめざましい今だからこそ、意思を持つ機械の物語をよりリアルに楽しめるのではないでしょうか。

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まとめ

本記事では、早稲田大学図書館で借りることができるマンガを紹介しました。
SFアクションものやアメコミも置いてあるというのは、少し意外だったのではないでしょうか。

今回は私が見つけることができたマンガだけをご紹介しているので、「こんなおもしろい作品もあったよ」というご報告があれば、ぜひコメント欄にお願いします!
本記事が図書館探索のきっかけになれば嬉しいです。

(文:とり)


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