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成功体験を追いかける時期 31節 アトレティコvsジローナ(H) 2024.4.13

CL明け。前回対戦。

年始一発目で3-4敗戦。今回は7ポイント差の3位4位直接対決となる。

ジローナは2月以降、3勝1分4敗でこの期間だけ切り取ると12位。ちなみにアトレティコは9位なので人の事は言えない。
前節はサヴィオを欠くメンバーでベティスと撃ち合い3-2で勝利。決勝ゴールはストゥアニのアクロバティックというか何というかな一撃だった。コントロールに課題感がある中でイバン・マルティンを累積警告で欠く。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / エルモソ / ヘイニウド
モリーナ / デ・パウル / コケ / サウル / リケルメ
グリーズマン / コレア

ドルトムント戦からは5人変更。ジョレンテとモラタはドルトムント戦を優先。
エルモソとヘイニウドの併用は20節ラージョ戦以来。その試合はヘイニウドが得点して2-1勝ち。
デ・パウル、コケ、サウルの3CHはインテル戦1stレグ、カディス戦と連敗中の組み合わせ。
グリーズマンとコレアの2トップはCL含め今季6度目。これまでの5試合は必ずどちらかが得点している。

・ジローナ
ガッサニガ
エリック・ガルシア / ダビド・ロペス / ブリント / ミゲル・グティエレス
アレイシ・ガルシア / ソリス / ヤンヘル・エレーラ
ヤン・コウト / ドフビク / サヴィオ

前節ベティス戦を今季初めて欠場したサヴィオが復帰。
中盤はイバン・マルティンが累積でお休み。そしてツィガンコフがメンバー外となった。ソリスのスタメンは27節マジョルカ戦以来今季2度目。


アトレティコは4-4-2でスタート


●前半

アトレティコはたまにやるリケルメが右の4-4-2でスタート。

後方2枚。結局何がしたいのかわからない配置だったが、唯一共感があったのは「PA付近に人を増やしたい」という部分。あとは両SBから放り込めば点になりそうというのは正直否定しない。ジローナの最終ラインの不完全性と脆さを考えればおれもそう思う。ただし、この形に大いに問題があったのは守備面。

4-4-2ブロック。
問題点はアトレティコの両SHのタスクで、最終ラインのエリック・ガルシア&ブリントの侵入を止めようとすれば大外へのパスルートをガラ空きにする事になり、前に出ても後ろに下がっても地獄だった。

失点に繋がった場面はまさにこの悩みから生まれており、リケルメがブリントを捕まえにいく動きに呼応して神出鬼没なミゲル・グティエレスが左大外でボールを引き取る。もうここにはモリーナが出ていくしかなく、一番警戒すべきサヴィオのマークを空けて突っ走られた。最終ラインが4枚だとサヴィオの真横に進むドリブルに人が反応し切れず、簡単に溝を作った。
それにしてもサヴィオはいくら何でも速すぎる。笑っちゃうくらい速い。アトレティコは前回対戦同様に早々の失点となった。

一方で後方を警戒してSH(この場合はサウル)が前に出ず、エリック・ガルシアに前進を許すと大外とライン間を見張れずにまだハーフウェーラインも越えていないのにヘイニウドは既に2人のマークを担当している。これらは全て5-3-2に変えれば解決する問題だったので、何故4-4-2だったのかはよくわからない。
ネガトラでも4-4-2だとアトレティコは後方にCB2枚しか残らずSB(モリーナ&ヘイニウド)はクロスを上げるのがメインタスク。となるとトランジションでヤン・コウトとサヴィオがフリーになる。特にモリーナはかなり高い位置に出ていく事が要求されたためサヴィオにスペースを与えた。それは流石に不味いでしょう。10分のサヴィオ→ドフビクが決まっていたら終戦だったと思われる。

モリーナが高い位置でボールを受けてクロスを上げる形はジローナの最終ラインの強度を考えれば90分で一点くらいは取れそうだったが、この配置は機能性云々以前にジローナと相性が悪すぎて実験にもならなかったし、4分に失点している時点で失敗は確定。20分過ぎにコケがベンチに確認してシメオネが反応。リケルメを左に回して普段の形に戻った。

これでジローナの3CBと両WGを綺麗に見張れる噛み合わせになり、アトレティコは平静を取り戻していく。またグリーズマンがサウルと対のポジションを取る事ができるようになり、デ・パウルと距離を近づけてボールに触れる機会を増やしていった。
(参考までにグリーズマンのボールタッチは20分までは7回、21分から前半終了までで24回に増えた)

これでじわじわと保持の時間を伸ばしていったアトレティコは32分にPA付近でデ・パウルがファールを受けてFK。このプレーでミゲルのハンドを誘ってPKゲット。グリーズマンが決めて同点とした。

アトレティコはサウルにアクシデントがあり、41分にモラタと交代する事になったのは想定外だったが、この交代が試合を決めるのだから面白い。何があるかわからないものである。
ロスタイム+6分、エルモソとデ・パウルでドフビクに入ったボールをカットするとモラタのドリブルでカウンター発動。モリーナが左サイドの背後まで走る素晴らしいランニングでポケットを取り、最後はモラタ→コレアの頭。個人的にかなり好きな得点。



●前半終了

設定を間違えて失点。しかし反省し、修正して逆転。
ここ最近のジローナを見ていてこの日はあまり負ける気がしなかったのでそんなに慌てる事もなく見ていたが、しっかり結果を出したのは素晴らしい。緊急投入だったモラタのリアクションもとても良かった。

アトレティコが5-3-2に戻して以降のジローナは心配になるほど大人しくなり、むしろジローナの方が後半に向けて大きな修正が必要な雰囲気に。そもそもアトレティコに51.4%ボールを持たれたのは本意ではないでしょう。



●後半

アトレティコはヘイニウド→ヴィツェルを交代。

3CBを確定させるならヘイニウドがいらなくなる、というもの切ない話だがこれが現状の序列である。エルモソが左に動いた。

アトレティコはヴィツェル&エルモソが参加する事でビルドアップできる実感を持つ。モリーナも右サイド大外に落ちてきてボールを引き出す狙いを持ち、コレアへの縦パスのルートを狙った。大外が空けばミゲルと対人で勝負できるわけで、このアトレティコ右サイドの攻防は精神的にも優位を掴んだ。コレアはモリーナ&デ・パウルのサポートを得て初めてコレアになれる。

ジローナの保持に対しては、ビルドアップはボールを奪えるわけでもないので放置。放置できる環境を生んだのは言うまでもなく前半ロスタイムの2点目でリードを奪った事にある。前回対戦では作れなかったスコアをリードする時間を作ったのは非常に大きく、GKガッサニガに戻るボールやPA横まで追い込んだタイミングで圧力を強める事でボールを奪い、50分のグリーズマンの得点に繋げている。理想的な形で3点目が取れた。良い守備から攻撃へ。この辺りの前プレ発動はインテル戦の成功体験が生きており、まさに"成功体験に向かってプレス"を仕掛けている。奪った事あるから奪えるだろうというモチベーションは大事だ。

アトレティコは大外をヤン・コウトに対してリケルメ、サヴィオに対してモリーナが止める前提の守備を作り、ライン間のヤンヘル・エレーラ、ミゲル・グティエレスへのくさびだけ気をつければブロックの外へ押し出せる状況を作り出した。この辺りもインテル戦の成功体験。流石にミゲルがサヴィッチを出し抜いて決定機を作るというのも考えにくい。バチっと噛み合ってしまったジローナは誰がどこで変化を生むのかというところで、"こういう時に違いを作るのがイバン・マルティンでありツィガンコフだよね"という展開になってしまった。

それでも引き続きハーフスペースから理不尽な高速クロスを放り込み58分にはエレーラ→ドフビク、73分にヤン・コウト→ドフビクで決定機を作っている。こういう必殺の形を持っているのはジローナの強みです。

ジローナは59分に前回対戦でも躍動した違いを作る担当のパブロ・トーレ投入。さらに65分にポルトゥとアルナウ・マルティネスを入れて後ろの配置を変更。最後方をエリック・ガルシアとブリントの2人にしてアレイシ・ガルシアの左右にアルナウとミゲルを置きボールの循環を変えていく。

ジョレンテ投入で5-3-2確定

それならアトレティコは前3人(コレア、モラタ、グリーズマン)で追いかけている形を変えたかったが、すでにジョレンテがスタンバイ済。交代のタイミングを一つ遅らせたのでもしかするとこの時の交代選手がデ・パウルorコケだったのをグリーズマンに変更した可能性はある。まあ大差ないが。

これで非保持形を確定させ、71分にも前プレでハメてモリーナに決定機。多彩な選択肢の中で思いっきり蹴っ飛ばす選択をしたのは男らしくて良い。決めろよ。その後モラタもリーノもトドメを刺せなかったが、こういう"決めたら試合終了"の場面がいつも入らないのもまたアトレティコらしい。

75分にデ・パウル→アスピリクエタで最後の交代。これで右をモリーナ&ジョレンテ、左をアスピリクエタ&リーノで守る形を作り盤石のクローズに。むしろジローナの方がコンディション的にしんどそうだったのがまさにこの時期の試合という感じがするが、ジローナ的にも前半20分以降望むようなプレーが出来ていない事への疲労感もあったのだろう。結局83分にサヴィオとドフビクを下げる事になり、事実上の終戦となった。



●試合結果

3-1でリベンジ完了。これでジローナとの勝ち点差を4ポイントとし、3位浮上も見えてきた。
意味不明だった序盤20分間を込みで考えても負ける予感はあまりなく、それなりの盤石感を持って戦えた。
システム変更で明確に変わったのはサヴィオが内側に進む選択肢を失い、縦突破だけならモリーナが止められるという点。そしてそこでイバン・マルティンとツィガンコフの不在が浮き彫りになり、ラストサードの選択肢が高速クロスに限られた点。それでも取りきれそうだったのはシンプルに今のジローナの強さ。右からのクロスは常に必殺技であった。
アトレティコは「まあ放り込んでれば点になるだろ」を体現した3得点であり、そこはジローナの最終ラインの脆さと相性が良かった。ターンオーバーが効果的に機能していた印象はあまりないが、結果的に勝ったので良いでしょう。まずは勝利。ジョレンテが次出場停止になるのはノイズだったがその次のアトレティック戦で出られないよりは良い。あとリーチが多いので2人同時に出場停止はやめてほしい。毎週一人ずつでお願いします。

ジローナは順位的にモチベーションの置き所も難しく、上手くいかない箇所に意識が向いている印象がある。ビルドアップとエリア侵入を楽しめている感じがあまりなかったが気のせいだろうか。

アトレティコは重要なドルトムントとのアウェーゲームに向かう。3位争いの話はその後。まだ何も手にしていないが、まだ何も失っていない。


4/13
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 3-1 ジローナ
得点者
【アトレティコ】’34(PK) ’50 グリーズマン ’45+6 コレア
【ジローナ】’4 ドフビク


●ピックアップ選手

モリーナ
サヴィオと対面する仕事を当然のようにやりながら大外レーンを独占して前進を促した。このくらい強度が高い試合の方がやりやすい。

サヴィッチ
ドフビクを抑え込んだパフォーマンスは流石だが、これが当然でもある。例年より出場時間が少ない中で重要な終盤戦にピークを持ってきたい。

モラタ
緊急出場だったが貴重な2点目を生み、後半も献身的な守備で貢献した。正直ドルトムント戦1stレグのパフォーマンスが一番悪かった選手だが、この日はタスクに忠実だった。

コケ
この日もフル出場。バランスとパスワークでチームを動かして気分良くプレーした。

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