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ビジネス偏重からプロダクト志向へ 〜非プロダクト志向の組織で起こったこと

こんにちは。akippa CEOの金谷元気です。
akippaはtoCの駐車場マーケットプレイスを運営しています。

今回はゲストとしてakippaプロダクトマネージャーの井上直登さんに登場いただいての対談記事となります。

赤裸々に課題などが語られています。最後までお読みいただけますと幸いです。

akippaプロダクトマネージャー 井上なおと

ドリコムに新卒入社し、主にサービス企画職として新規事業の立案・推進や、自社サービスのディレクション・プロデューサーなどを経験。2016年にakippaにジョイン。akippaではプロダクトマネージャーとして活躍。プロダクト開発の責任者としてエンジニア・デザイナー・企画職のマネジメントも行う。趣味は釣り。

現在のakippaでの役割について

金谷:なおとさん、よろしくお願いします!

なおと:よろしくお願いします!

金谷:まずは、なおとさんのakippaでの役割をお話しいただけますでしょうか?

なおと;大きく二つあって、一つはチームのマネジメントです。グループの中に企画・エンジニア・デザイナーのチームがあるので、この3つを束ねてマネジメントしています。もう一つはプロダクトマネージャーとしての仕事があって、プロダクトをどのように持っていくかロードマップをつくったりしています。

ジョインした際に感じた課題

金谷:akippaのプロダクトグループは業務委託の方を合わせても14〜15名と少ないと思うのですが、なおとさんがプロダクトチームに入った頃はまだ数名〜10名ぐらいだったかと思います。ジョインした際に感じた課題はどういったものがありましたか?まずは内的要因からお聞かせください。

なおと:まず雰囲気は良くなかったですね。その要因は大きく三つあると思ってまして、一つ目は圧倒的にコミュニケーションが少なかったです。リモートになった頃で物理的に距離ができていたのと、そもそもメンバー同士で話すことも当時は少なかったので、相手が何を考えているかわからないなどがありました。二つ目は会社のバリューが大事にされずに、それぞれが自分の価値観や経験で語ることが多かったですね。

金谷:バリュー運用は経営に責任があります。当時は全社的にまだまだ運用できていなかったですね。

なおと:そうですね。加えて三つ目の課題として、プロダクトグループの採用プロセスや評価制度にどういうカルチャーを大事にするか、どういうスキルを求めているかも今ほど明確じゃなかったので、チームの雰囲気を良い方向に向けられていなかったです。

非プロダクト志向な組織だった

金谷:続いて、プロダクトグループが課題を抱えた外からの要因はどういったことを感じられていましたか?

なおと:これは金谷さんの前では言いづらいのですが・・当時で言うと経営レベルでも事業運営レベルでも非プロダクト志向になっていたと思います。ボードメンバーにエンジニアがいないですし、前職でプロダクトをつくっていた人もいない。金谷さんの場合は営業出身ですし、その延長線上で事業が運営されていたのでプロダクトグループのメンバーが「自分たちがこんな機能をつくりたい、推進したい」と思える環境に当時はなかったのかなと思います。

金谷:そうですね。反省でもありますが、元々ビジネスグループのメンバー比率が高かったですし、コーポレートグループも様々な企業のCFOの人たちが来てくれました。それでファイナンスがうまくいき、営業やマーケティングを中心とした直線的な成長をしてきました。プロダクトを良くすることでユーザーの行動を変容させるようなことは中々できていなかったですね。そういう時期が長くて「プロダクト志向とは何か」も理解できていなかったと思います。

なおと:当時はプロダクトグループが他のチームに向けて、プロダクトで大きくしていくという空気感をつくっていくことは難しかったですね。

悪い状態の組織で起きたこと

金谷:課題が大きい中で、チーム内部では具体的にはどんなことが起きましたか?

なおと
:まず内的な問題から起因したものでいうと、コードレビューが荒れました。開発プロセスの中でレビューやテストをしっかりする必要がありますが、そこが荒れると信頼関係も崩れていきます。加えてチームの朝会をやっても発言する人が限られたり、チームの雰囲気が負のスパイラルに入っていきました。

金谷:それをどういうステップで解決していったかお話しいただけますでしょうか?

なおと:ステップは大きく三つあります。(チームを)止血して、つくりなおして、飛躍させる。そういった形で改善していきました。と言っても事前にデザインしたわけではなく、目の前の課題を一つ一つ解決していった結果、振り返るとそういう流れだったと思います。

金谷:具体的にそれぞれのステップについてお話しいただければと思います。

プロダクト組織の改善 〜止血期

なおと:当時はチームの状況が悪くなる一方だったので、とにかく血を止める必要がありました。良い方向を向くための下地づくりをできるよう気をつけて。ここで一番生きたのは再度しっかりバリューを見ることでした。会社全体で大事にするものを、チームとしても改めて大事にしようと。ただ会社全体のバリューだとふんわりするので、エンジニアならどう体現するか、デザイナーならどう体現するか、チームメンバーに考えてもらうことにしました。チームメンバーで議論する中で、大事にすべきことの共通認識が出来上がっていったので「あなたはこのバリューは体現できて素晴らしいけど、こっちのバリューは体現できていないからもっとこうした方が良い」など徐々にうまくコミュニケーションができていきました。メンバーがバリューをうまく運用してくれたことが大きかったですね。

金谷:他には何かありますか?

なおと:シンプルですが、遊ぶなどコミュニケーションを増やすためにソフトな接点を増やしていきましたね。加えてリモートのためリアルでは会いづらい環境だったので、エンジニアやデザイナーのミーティングには全て出たり、1on1を積極的にしたりと、心的安全性が担保されるようになることを意識していました。

金谷:少しづつ組織が前を向くようになって、次のフェーズは「組織をつくりなおす」ですね。

チームが前を向きだしてやったこと

なおと:はい。負のスパイラルが止まって一定前を向けるとなったので、いよいよakippaの「プロダクト組織はこうあるべきだ」というものを目指すようになりました。これはチームの状況というより、akippaの全社的な方針が「プロダクトで伸ばしていくんだ」となったことが大きかったです。それまでは社内受託っぽくてチーム内からも「極論、外注に投げちゃってもいいのではないか」という声も耳にすることがあるくらい、社内でのプロダクトグループのプレゼンスが低かったのです。全社での方針が変わって、社内外への発信が増えることでチームメンバーも「プロダクトは大切で、自分たちは必要なんだ」と自信を持つようになっていきました。そこからはプロダクトドリブンで事業を伸ばすにはどうすれば良いかと、少しずつ動かしていっただけです。ただ、いきなり大きなチャレンジではなく、小さな企画から取り組みました。短期的な事業インパクトはないけどユーザーが求めている機能をつくって、プロダクトが良くなる成功体験を重視して企画を進めました。

金谷:akippa はそれまで営業やマーケティングなどのビジネスドリブンな成長をしていました。例えば営業の要望に応えた開発をすると、それが大きな事業インパクトとなって積み上がるので、事業もそこそこの規模にはなり、ビジネスとしても成立しました。ただDeNAの原田さんが社外取締役に入っていただいて「akippaのプロダクトは天守閣をつくろうとしすぎですね」と言っていただきました。「ビジネス自体は良い状態だけど、本当に大きなプラットフォームにしていきたいなら、今いる280万人のユーザーに1.1倍多く使ってもらうにはどうすれば良いかを考えた方が良い。天守閣ではなく石垣が大事で、しかも巨大な石ではなく隙間を埋める細かな石が重要。プロダクトの改善により指数関数的に伸ばさないと限界がくるかも」と話してもらいました。そこからいろいろ考えて出した結論としては、今のままじゃ営業やマーケティングの足し算の積み上げだけなので直線的にしか伸びないなと。プロダクトの会社になっていかないと駄目だという思いが強くなりましたね。もちろんビジネスグループの強さは武器なので、プロダクトによる成長と両輪で伸ばしたいなとは思っています。ただ営業・CS・マーケティングなどakippaにいる全メンバーがプロダクト志向になるよう、発信を社内外で続けています。

なおと:akippaはビジネスの力でここまで伸ばしてきたので、これはすごいことだと思いますし、これからも武器だと思いますね。ここにプロダクトで伸びる部分と掛け合わされるとワクワクしかないですね。

金谷:はい!では最後に「飛躍」の部分ですね。発信も増やして採用も強化して良い人も入ってきていると思いますが。

これからのプロダクト組織

なおと:今は小さな体験を積み重ねている話をしましたが、大きな飛躍を考えると逆算の思考でやっていかないと大きな成長は望めないと思ってます。ビジョンの「あなたの"あいたい"をつなぐ」の実現のためにプロダクトをどうしていきたいのか、プロダクトのあり方を描く必要があると思います。まさにそのプロダクトロードマップが出来上がってきてますが、それに対してどんな技術が必要で、どんなスキルセットを持つ人が必要かを一歩一歩進めてますね。

金谷:経営会議メンバーへもしっかり擦り合わせをしてくださってますね。

なおと:技術的な部分に関しても、これまでのエンジニアリングを否定するわけではなく、それはそれで良いものをつくってきてくれてますが、改めて今後の成長を考えた時に抜本的なところから再設計することも一定必要にはなってくるかなと思います。そこはエンジニアにとっても新たな領域へのチャレンジになるので、ワクワクしながらやってくれているのかなと思います。

金谷:ありがとうございます。最後に何か言いたいことはありますか?

仲間を募集しています

なおと:先ほどプロダクトロードマップをつくり、アーキテクチャの再構築も行うと話しましたが、ひとつ明確な課題があります。やはり人が足りていないです。来年には2倍、再来年には3倍ぐらいのプロダクトグループの規模にして、より早くプロダクトロードマップを実現したいですね。良い体験を一緒につくっていただける仲間を募集しています。

金谷:そうですね。採用を強化していきましょう。本日はありがとうございました!

なおと:ありがとうございました!

【akippa 採用情報】

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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