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ClickWitch(ゲーム)を作る時に考えていたことをメモ

こんばんは。
この記事では、スピカ1weekというゲーム制作イベントにて、私がプランナーとして企画、レベルデザインなどを主に担当させて頂いた「ClickWitch」というゲームを作る時に考えていた事をメモしていきます。

ここから遊べます↓


メモを行う目的は、再現性を捕まえるためです。
このゲームはメンバー内での評判が良く、私の中でも「このゲームは面白いのでは?」と感じたため、もう一度この「面白い」を再現出来るようにするべく、私の思考を文章に起こしていくという試みです。

なので、ほぼ自分自身に向けたメモということになります!

じゃあなんで公開したんやという話ですが、それは私自身がこういった「ゲームが出来上がるまでのプロセスを見れる記事」が好きだからです。
プロセスを見れる記事って、他人の思考を盗み取って自分の脳みそを実質的に1つ増やすみたいなお得感があるので、とても面白い。

なので私はゲームが出来上がるまでの記事をよく読むし、私と似たような人間がこの世界に1人か2人くらいはいるだろう……という希望的観測で、このメモを公開していきます!

私はど素人なので読んでる方に役立つかはまた別になるのですが🫠

企画について

このゲームは学生ゲームクリエイターの集まる「スピカ」というDiscordコミュニティにて開催された「スピカ1week」というmattyaさん主催のゲーム制作イベントをきっかけとして生まれました。
そこで私はプランナーとして参加させて頂けることになったため、一番最初にどんなゲームを作るかの企画を考えていました。

この時1番意識していた事は「制作期間が1週間」という点です。
1週間しか無いのであれば当たり前ではありますが大規模なゲームは作れないし、プレイ時間は長くても15分くらいだろうと考えていました。

そして、プレイ時間が短くなるなら、チュートリアルの時間はほとんど取れないだろうという意識が頭の中にありました。

この時私が真っ先にチュートリアルの事を考えたのは、12月に行ったゲーム展示会での出来事が大きく影響しています。
この時の話をすると長くなるので、色々省いて説明するのですが、展示では「遊び方分からん!!!」という反応を1番多く貰っていました。
特にゲーム展示会は1度のプレイが長くても10分くらいだったので、その短い時間を操作方法の理解のために時間を割くと、ゲームを楽しむための時間がほとんど残っていなかったのです。

この経験から私は「小規模のゲームになるなら、チュートリアルはもはや必要無いくらいのゲームが良いな……」という事で、企画の要件を「操作が直感的であること」としました。

そこから「直感的とはなんだ」→「目に映るだけでわかる」
「目に映るだけでわかるものってなんだ」→「形のあるもの」
という自問自答を繰り返し続けます。

これをさらに繰り返し続けて……
「形のあるものをどう使う?」→「形のある障害物にする」
「形のある障害物をどう使う?」→「ぶつかると負ける」
「何をしたらぶつかるんだ?」→「進んだらぶつかる」
「何をしたら進むんだ?」→「強制スクロールにしよう」
「強制スクロールで障害物を避けていくゲームなら直感的なゲームになるぞ」

という自問自答を繰り返す形で、このゲームのイメージ像を徐々に思い浮かべて行きました。

……と、いうのは嘘です……

正直に言ってしまうと、この企画がどういう過程で形になって行ったのか、さっぱり忘れてしまいました。
つい最近のことなのに何も覚えていません。

ただ、直感的である必要性は意識していました。
ですが、何故これが出て来たのかはさっぱり思い出せず……

本当はこの部分を文章化出来れば面白いを作る再現性を掴めるのですが、これがまあ難しい!!
というか、そんな簡単に出来たら、世の中は面白いゲームまみれになるってのもありますが……
やっぱり難しい!ので企画部分はすっ飛ばします!!!!!この部分で書いたこと全て忘れてください!!!!!

ギミックについて

ちなみにギミックについてはしっかりと理由を持って案を出していました。

このゲームにはクリックすると破壊、ぶつかるとゲームオーバーになる「黒ブロック(岩)」と、クリックするとゲームオーバー、ぶつかってもゲームオーバーとなる「赤ブロック」を基本として構成しています。

そもそもクリックするだけの黒ブロックは、何故空白では駄目なのか?という疑問が思い浮かぶと思います。
これについては、ゲームの没入感(?)を意識して、クリックしなければならないブロックにしました。

私はゲームの面白さを没入感の強さと結び付けて考えているため、暇の無いゲーム=面白い、としています。
(私の前々回の記事「良いゲームが共通して持つ特徴」にて詳しく書いています。書いていますが、読み返すのも怖いくらいの半黒歴史文章がそこにあるので少しだけご注意を……)

そのためゲーム画面から意識を離す暇を与えないために、クリックという操作をプレイヤーに強制させる事で、暇の無いゲーム画面を構成出来るようにしました。
簡単に言うと「クリックという操作を強制させればプレイヤーは暇が出来ないので面白いと感じる」というイメージです。
強制スクロールのため、クリアするためには絶対クリックを行わなければならないので、プレイヤーは絶対にクリックを行ってくれます。
絶対クリックしてくれるので、暇の無いゲーム画面になってくれる……という感じです。

次に赤ブロックです。
ただ黒ブロックだけが置いてある画面だと、何も考えずにただ連打をすれば良いだけのゲームになってしまうので、プレイヤーの頭を回すために赤ブロックを入れています。
クリックしては行けない場所を作る事で、さらにプレイヤーに暇を与えないようにするというイメージです。
何も考えずにクリックすれば良いだけだと、プレイヤーの頭が回らずに暇を感じるようになるため、頭を回して貰えるようにしています。

あとは、赤ブロックにはプレイヤーに上下移動の操作を行って貰いたいという意図もあります。
そもそも何故このゲームにはクリックで道を開いていく以外に、上下移動の操作があるんやという話ですが、これもプレイヤーの暇を意識しました。

暇が無いゲームほど面白いと私は考えていますので、操作の必要な要素を2つにする事で、プレイヤーの頭をさらに動かせるとしています。
暇の無いゲームを実現出来るという意図で、プレイヤーの上下移動を加えていました。

黒ブロックと赤ブロックの意図は大体こんな感じです。
全体的に暇の無い作りにするため、プレイヤーに操作をさせ続ける仕様にすることを意識していました。

最後に青ブロックです。
青ブロックはクリックすると左に3マス進んで行くというブロックで、ステージ3から登場するギミックです。

このギミックは特にプレイヤーへの影響力の強さを意識していました。
一気に3マスも道を開ける事が出来るリターンをプレイヤーに提示する事で、プレイヤーが触りたいと思うギミックにしつつも、青ブロックの真正面に位置していたらゲームオーバーになるというリスクを付けています。

よく聞く、「リスクとリターンの駆け引き」というやつです。
リスクのリターンの駆け引きがあることによってゲームは面白くなるとよく聞きますが、私もこの考え方にとても頷いている人間の1人です。
特にリスクとリターンの駆け引きが発生している時間はプレイヤーの思考が最大限に回るので、暇の無いゲーム画面をかなり作りやすくなります。

少し複雑な説明だったかもしれないので、プレイヤーの思考を台詞としてイメージしてみます。

「おっ、青ブロックだ。このブロックを押すと一気に道を開けるから使えたら得なんだよな! でも無闇に使うとゲームオーバーにもなる……押すか迷うな……やばい……強制スクロールだから押すの迷ってる時間なんてないぞ……どうしようどうしよう」的な感じです。

ここで特に重要だと思っているのが、最後の「どうしようどうしよう」の部分です。
どういう行動を選ぶか迷っている時間は、プレイヤーにとって最も思考が回っている時間になります。
言い換えてみると、プレイヤーの頭の中で駆け引きが発生している時間とも言えます。
駆け引きが発生している時間はプレイヤーにとっての刺激になるので、暇の無いゲームを作るにはピッタリのワードです。

という経緯で、青ブロックの提案は「これしかない!」くらいの勢いで行っていました。

ギミック編はこれにて終了です。
ギミックの提案を3つにした理由はシンプルに制作期間がそんなに無いというのもあるのですが、ごちゃごちゃしないゲーム画面にしたいという意識もありました。
覚えて貰うことが前提の要素を出し過ぎると、プレイヤーの頭がパンクして手が止まってしまうので、詰め込み過ぎには気を使いました。

これは私がゲームをプレイする時の経験談でもあります。
覚えることが多いゲームはかなりの労力を使うので、早い段階で辞めたくなってしまうことが多いです。
周りみんながプレイしているみたいな強い理由があれば立ち上がれますが、理由がなければ労力は避けたくなります。
やっぱりゲームは楽しい時間が欲しくて始めるものなので、つらいと思うことをゲームでやりたく無いのが人間だと思います。
なので、プレイ時間が短いゲームなら尚更その労力は使いたくないだろうなあ、という事でプレイヤーが覚えるべき要素は最低限に留めようと意識していました。

レベルデザイン

レベルデザインでも色々な事を意識しながら作業をしていました。

まずは難易度です。
当たり前やんと言われそうですが、最初は簡単で徐々に難しくなって行く構成を意識していました。

理由はプレイヤーの手が止まらないようにするためです。
当たり前ではあるのですが……いきなり難しいのをドンッとすると、プレイヤーは正解が分からなくなり手が止まります。
ここで手を止めさせないために最初は簡単にして、徐々にゲームのルールに馴染ませて行くというイメージです。

そのため、最初のステージ1はチュートリアルステージとして、1番簡単なステージにしました。
そして、簡単ではありつつも、新しく教えた事を活用しないと絶対にクリア出来ないというステージにしています。
教えた事を使わなくても次のステージに進められる作りにしていると、プレイヤーは新しい要素を覚えないまま次のステージに進んでしまうからです。

この部分はスピカのイベントで教えて頂いた事をさっそく活用した形となります。
色々なイベント参加させて頂けてもう感謝するしかないです🙏

次にステージ2は、チュートリアルを活用するための場として使っています。
あと、詰め込み過ぎない事も意識したステージとなっています。
人間は新しい要素を一度に取り込める量に限りがあるので、徐々に要素を増やして行く意識が特にありました。
なので、次のステージ3にて青ブロックを登場させています。

そしてステージ3でも、教えた事を絶対に使わないと次のステージへ進めない構成にしています。

これはメンバー内でテストプレイを行なっている時にもあったのですが、人間には新しい要素が出現した時にそれを無意識に避けようとする傾向があるみたいで、「青ブロックは押さずに先を進める操作」が実際にありました。
私も実際、今まで色々なゲームをプレイして来ましたが、「よく分からない新しいもの=危険」の意識をどこかに持ちつつもゲームをプレイしているので、人間の本能的な動きなのかもしれないです。

なので、ステージ3では青ブロックの操作を絶対に覚えて貰うために、青ブロックを押さなければクリアの出来ない作りにしました。
こうすれば青ブロックを押す事を避けられても必ず青ブロックを押す必要が出てくるので、プレイヤーは青ブロックの使い方を目で見て覚えてくれます。

そしてここでステージ3をクリア出来ればプレイヤーはこのゲームのルールをほとんど理解出来たという事になるので、あとは普通にステージを作って行きました。
でも、だからと言って一気に難易度を上げて良い訳ではないので、難易度はゆっくりと上げて行きます。

いきなり難易度を上げ過ぎてはいけない理由は不快感が1番大きいかもしれません。
難易度を一気に跳ね上げるとプレイヤーは同じ場所を何度も繰り返し続ける事になるので、ゲームの進行感が一気に無くなってしまいます。

他で例えるとすると、登山中に霧がかかるみたいなイメージですかね?
山頂目指して登山してるのに、霧がかかったら先に進めないので不快感が出てきます。
これがもし本当に登山なら、霧が晴れるまで待つしかないのですが、ゲームではそうは行かない事が多いです。
無料のゲームが特に当てはまるのですが、ゲームはプレイヤーが辞めたいと思ったらすぐに辞めることが出来ます。

登山は辞めたいと思っても降りるのに時間がかかるので、「まあ降りるくらいなら霧が晴れるのを待って山頂を目指すか」となりますが、これが無料のゲームだと「先に進めなくなってしまった。辞めても別に失うものは無いので、もう辞めてしまおう」となってしまいます。
逆に有料のゲームだと「先に進めないけど、辞めたらお金が勿体ないので頑張るぞ」となりやすいです。

なので、無料のゲームで難易度の跳ね上がりによる壁を作ってしまうのは結構危険……!

かと言って、緩やかすぎるのもよくないです。
あんまりにも緩やか過ぎるとプレイヤーにとっての刺激が無くなってしまうからです。

人が普通の道路ではなく、わざわざ険しい山を歩こうとする理由はここにあると思っています。 

「人間は常に刺激を求めている……!」

刺激が無くてはプレイヤーの頭も暇をしてしまうので、ほどよく難易度を高めていくのが理想です。
「程良く刺激のある、壁が無いゲーム」こそが最強です。

とは言ってもこの難易度調整はめちゃくちゃ難しくて、私も正解をよくわかっていません🫠
誰かにとっての低難易度は誰かにとっての高難易度である場合がよくあるので、このようなゲームを成立させるのはとてもムズカシイ……

正解があるとすれば、沢山の人にプレイしてる様子を見せて貰うこと……くらい。
これもなかなか難しいのですが、正直これ以外に思い付くものは私には無かったです。
なので私はゲームをプレイしている様子をメンバーの方に見せて貰っていました。
メンバーの方には色々協力して貰っていたのでとにかく感謝です🙏

そんなこんなで、徐々に難易度が上がっていくステージを目標としてブロック配置をしていき……レベルデザイン編は終わりました。
正直今でもこれが正解であったかどうか分かっていないのですが、周りではありがたいことに好評だったので、正解であったということにします!!!!

強制スクロールについて

これは作り終えてから気付いた事なので、ちょっとしたおまけみたいなものです。
元々、プレイヤーに暇の無い操作を強制させるためという理由で付けていた強制スクロールですが、1つだけそれ以外の効果があることを後から気付きました。

ゲームは「何をすれば良いのかわからない」という理由でプレイを中断することが多いのですが、強制スクロールのゲームはプレイヤーが操作せずとも勝手に動くので、何をすれば良いのかわからない状態になりにくい強さがあると感じています。

例えばオープンワールドの3Dゲームだと、初心者はそのゲームで何が出来るのかを知らないので、何をすれば良いのか分からないという理由で操作をやめてしまいがちです。
そのためオープンワールドのゲームは目的が表示されることが多いのですが(例えばブレワイはずっと表示されてる)、これが強制スクロールの2Dゲームとなると、目的を表示せずともゲームが勝手に動くので、プレイヤーは「何をすればよいのかわからない」という状態になりにくくなります。
勝手に動くゲームに対して、そこから襲いかかって来るリスクに対処していくという受動的なゲームになるので、ゲームに分かりやすさが生まれている。
かもしれない……という考察です。

終わり

これにて「ClickWitchを作る時に考えていたことをメモ」をおわります。
この記事で書いたことをまとめると……

チュートリアルが負担にならないように、わかりやすい直感的なゲームにした。
プレイヤーに暇を感じさせないゲームになるようにした。
プレイヤーに壁を与えず、常に刺激を与えられるゲームになるようにした。

こんな感じです。
この通りになっているかは分かりませんが、特にこれらを意識しながらゲームの企画やらレベルデザインやらを進めていました。

面白いの再現性を掴むために書き始めたこのメモですが、掴めたかどうかはまだ分からないままでいます🫠
ただ色々なものが紐解けた感覚はあるので、書いて良かったとも思います。
今後もなるべく書いていきたい。
特に私はめちゃくちゃアウトプットが苦手なので、もはや鍛える以外の選択肢はないです🫠

最後になるのですが、このゲームはチームメンバーの方々の力が無ければ存在しなかったので、メンバーの方々の協力に本当に助けられました。改めてありがとうございました🙏

おわり。

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