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マレビト視点で体験した魅力底なし沼「森、道、市場」

GWを抜けた5月中旬に森、道、市場というイベントに行った話をしよう。はるばる愛知県蒲郡市まで行ってきた。2013年以来のことだ、森、道、市場に行ったのも、蒲郡に行ったのも。

森、道、市場を称して「イベント」と書いたが、何とも形容し難い場である。大塚海浜緑地と遊園地ラグレシアという地をそれぞれ、「海エリア」「遊園地エリア」と呼び、その広大なスペース全体を使って行われたイベント。音楽ライブを中心に、飲食物や作品、商品、体験などを販売するマーケットや、クリエイターによるパフォーマンス、サウナ体験、遊園地巡りなどが楽しめる。一般的なイメージからすると「それってフェスじゃね?」とか「フリーマーケットの延長でしょ」とか言われそうなものだが、是非、行ってみて欲しい。あの場は、「フェス」や「マーケット」なんていう概念で括れるものじゃない。確かに祝祭感に溢れ、音楽がところどころから聴こえてくる辺りに「祭」は感じる。森、道、市場の名の通り、エリア中に店が溢れ、その多くが自ら生産や加工した商品を販売する「市場」でもある。でも、それはあくまで、森、道、市場を構成する一つの要素でしかないように思うのだ。

あの場には確かな生態系があった。イベントが行われた2.5日(準備期間を合わせるとそれ以上)、人と人が暮らし、交わす営みがそこに。一人ひとりが自分らしく行動し、モノを売買し、言葉を交わす。最低限のルール(それも喧伝することはせず多くを参加者のモラルに委ねる)だけを設け、何一つ決められることなく、気持ちが赴くままに動き続ける。音楽ライブの合間に休憩時間はあるが、ただ休憩するのでは勿体無い。2.5日かけても全ての出し物を体験するのは不可能。その全てがハイクオリティで一つ一つを深めようと思えばいくらでも潜れる(出店者の多くが生産者であり作り手であるから物語が多い)。キリがない、限界が見えないのだ。

思い出してみれば、初めて足を運んだ2013年もそうだった。今よりは会場も規模も小さかった開催3年目。ロープウェイ沿いで行われた森、道、市場では、低地で音楽ライブが、少し山を登ったところでマーケットや芸術祭(個人的には、これを復活させて欲しい)が行われていたものの、開催期間中に全てを体験するのは不可能だった。いや、全てを体験しなくても個人的な満足度100%は容易に超えてきていた。チケット料金の安さが話題になる森、道、市場だが、そんじょそこらのフェスと同じ料金でも、そんじょそこらのフェス以上の満足感は得られていただろう。

少なくとも2013年と2018年(おそらくはその間もずっと)尽きることのない魅力を放出し続けてきた森、道、市場。そんなイベントが、この規模では信じられない少人数と極めてシンプルな方法で運営されているという驚きの事実もあるのだが、それはまた、次回に。