ただ歌っているだけ、からの脱却

私は数名の生徒に歌のレッスンをしていますが、教えているのは演出であってボイトレではありません。

しかも歌わせるのは1~2回で、あとはレクチャーで終わる事もあります。

「歌がうまくなりたいのに歌のレッスンをしない」とか「説明は無駄だ」と辞めてしまう人もいます。

さて、ここで少し昔話をします。

私の中学にかなりの変人教師がいました。
その先生は、生徒ばかりか教師からも変人と言われていました。

それもそのはず。
授業で教科書の内容をほぼやらないのです。

全員自分の席で起立させて「これはなぜそうなったのか答えなさい」といって、1人ずつ答えさせ、答えた順に座わらせる。

そして正解も言わず「いいですか、自分で考えるんです。自分で考えないから君たちはダメなんです。」と言い、授業を終わる。

私も、なんだこの授業はと思っていました。

でも社会人になって、ただ仕事をやらされている人を多く見ました。
自分で考えられない人をたくさん見ました。

その時、私はわかりました。
その教師は人間力を育ててくれていたんだと。
授業よりも大切な事を教えてくれていたんだと。

そしてものすごく感謝しました。
いまでも恩師と感じています。

私が歌のレッスンをしているある生徒に、その歌の意味や考え方をレクチャーしました。
歌い方が変わりました。ものすごく世界観が広がりました。

本人もその変化に気づいたのでしょう。自分からパントマイムやジェスチャーでその歌を表現し始めました。さらに良い表現力が生まれました。

何千回、何万回、同じ練習をしても、歌や歌詞の意味をわかっていなければ、その良さを相手に伝える事はできません。

どんなに歌唱力があっても「ただ歌っているだけ」では、多くの人を感動し震えさせる事はできません。

ひとりふたりに褒められてもダメなんです。圧倒的な存在感が無いとダメなんです。千人、万人、数万人、数十万人が虜にならないと。虜にさせないと。

私は売れるためにレッスンをしています。
どうやって売れるのか、自分で考えられない生徒は売れません。売り切れません。

私はそう思っています。

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