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映画記#1「土を喰らう12ヵ月」その1

先日「土を喰らう12ヵ月」をみることができた。
農家の端くれとして、この映画は見ておかねばなるまい。

突然話は遡るが、この映画のことを知ったときに思い出した本がある。

この本は、大学の時にどうやって社会に出ようか、思い悩んでいた時に手に取った本で、割烹料理での修行を志すきっかけにもなった本。当時の僕はこの世界観に憧れていたのだけど、どうやら僕はガサツ人間でダメだったようで、退出を余儀なくされたのだった。修行をしていた割烹料理屋を去るのと同時に一旦料理のことは忘れていた。

それから3年間、料理とは無縁の仕事をしたのだけど、再び転機は訪れた。
3年続けていた仕事を辞めて、農業を生業にするために、長野県佐久市に移住をすることを決めた。

移住をする直前、お金がなくて銀座のデパ地下でバイトをしていた。
永田農法という農法で栽培された農産物のみを取り扱う八百屋さんたっだんだけど、農業をこれからやるという僕に、上司であった方から本をいただいた。その本が「土を喰らう日々」だった。

*りょくけんでは、大学生の頃から数年間バイトでずっとお世話になっており、販売のことや野菜や果物のことを勉強させてもらった。金のない移住直前にバイトさせていただき本当に感謝です。しかも、今でもお世話になっている方多数、、、ありがたき幸せ。

移住した当時は、真冬だったし、研修先も決まっていなかった。時間がたくさんあったので、いただいた本を貪るように読んだ。一つ一つの食材を大切に、愛でるように調理しながら、ワイルドに食べる姿に憧れた。

これ、やりたい!と再び夢想したのだけど。僕もそろそろ経験が身になっていたようで、ひとまず地に足を着いたことをしなくてはと、まずは食い扶持をしっかり稼げるようにと地盤を作っていったのだった。

そして、移住して12年経ち、この度「土を喰らう12ヵ月」と映画で再会することができた。
それもさきちゃんと一緒に見ることが出来たのだ。

この生活は、1人ではなし得ない。
孤独と同居しながらも、心のどこかでは、誰かに食べてもらいたいと願いつつ、食材に愛を注いでいるのだと僕は思う。誰かがいなくてはいけない。

一緒に観た映画について、あれやこれやと語るのが好きだ。
違いが浮き彫りになる。同時に同じところも見つかったりもする。新しい発見もある。

今の生活の延長線上に、この映画のような生活が一欠片でもいいので加わるといいなと思う。

今あるものを大切に、無駄なくつかいきることで生活は充実するのだ。

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