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バイトを何個もやってどれもできなかった話

私がいかに「できない」人間かを記したい。



↑こんなふうに、職場で使えないヤツ認定されてすべての風当たりが強くなること、人間界ではあるあるだよね?

私は学生時代は根拠のない自信があって、仕事の類だってもちろん卒なくこなせるだろうと信じていた。
今回はそんな過信が打ち砕かれたバイト体験について語りたい。

1.皿を割りまくりビールサーバーを出しっ放しにしたレストランバイト(1日)

はじめてのバイトはたしか大学生の頃、お高めなフレンチレストランのホールだった。
友達は近所のスーパーとか、チェーンの飲食店とかでバイトしていて、「私はそんなところでやらないし」みたいなお高く止まったプライドがあって(!!!)チェーン店とかでバイトしたくなくて、経験者優遇みたいなレストランを選んだのだ。

面接時に、ここは経験者優遇だから難しいと思う、と断られたけど、どうしてもやりたいんです! となんの思い入れもないレストランのオーナーに懇願して、とりあえず一日だけ入れてもらうことになった。

バイト初日。バタバタしているから説明のメモを取るにも走り書きで要領を得ず、ぜんぜん覚えられない。テーブルが一直線じゃなくてバラバラに点在していて、何番席っていうのが全然頭に入らない。客に目を配って皿を下げたりなんだりっていうのも、客と目が合いそうで怖くてうまく目を向けられない(?!!)。テンパって皿を何枚も落とし割る。なんかいいかんじのナッツの入った瓶も割る。ビールサーバーを出しっぱなしにする。
こんな有様で、当然一日で「もうこなくていいよ」になった。

あれ…? わたしって 無能…?
いやいや、ここはハイレベルな場所だったからに違いない。

2.人と目を合わせられなくて閑職に追いやられたレストランバイト(数日)

今度は、友人から「シフト超自由だしラクだし高給だしおすすめだよ!」といいかんじのホテルのレストランのホールのバイトを紹介してもらった。

ここも、人に「あのホテルのレストランのホールやってんの、フフン」と言えるように選んだところがあった。しかも、友達から「ラク」とのお墨付きだ。

ここもやはりメモを悠長に取れるほどの余裕はなく、でもメモしとかないと絶対に忘れるから全部メモして、「そこまでメモしなくていいよ(笑)」と言われたりしていた。
しかし、接客中にメモを見るわけにもいかず、裏に戻ってもメモを置ける場所もなく、走り書きのメモは役立たずに終わった。

ここでも、ホールだから周りをみなければいけないんだけど、やっぱり人と目が合うのがそもそもとても嫌なので、うまく客の様子に目を配ることができなかった。ホールに立つことだけで苦痛に感じていた。

そして口頭でパッと言われたことを、実際するべき行動と結びつけて実行するのを困難に感じていて、まわりの機敏な動きについていけず、「使えないやつがシフトの日」みたいな不穏な空気を感じながら必死にやってみたが、精神的にはとても苦しんでいた。

ある日「あなたはここじゃなくて別のところに…」と、なんかバイキングみたいなかんじのところの、ずっとそこにいるだけでいい蕎麦盛りつけ係になった。
ここはあちらこちらと動く必要がないので効率を高めてスピードアップできて、唯一自分ができる仕事だと思ったんだけど、その貴重なポストは常設されてるやつじゃなくて特別な時だけだったので、安住はできなかった。

またレストランのホールで人と目を合わせたくない…呆れ顔の同僚たちが怖い…と、しばらくしてシフトを入れなくなり、雇用側もシフト入れてとは言わなかった。

今回もだめだった。きっと、レストランという広い空間がキャパオーバーだったのかな?

3.客が怖くて断念したバーテンダー(数日)

わたしは、こじんまりとしたDJバーに行っている時期があった。そりゃもちろん音楽が大好きだからで、オーナーに想いを寄せていたからではない。

たぶん20人くらい入ったらパンパンくらいの小さな音楽バーで、基本はオーナーが一人で回し、すごく忙しい時は常連の子がバイトと化してお酒を提供するみたいな体制だった。

音楽センス抜群で渋くて素敵なオーナーは「OOガールズが来てる笑」と周囲から言われるくらい密かな人気があり、私はガールズたちにコーナーで差をつけるために、忙しいとき手伝いますよぉ💕とバイトにありつくことになった。
(この時、オーナーとの叶わぬ恋模様をつづった連載noteをリアルな友達に読ませていたのは黒歴史だ。)

バイトに入ってみると、混ぜ方によって多種多様なお酒の作り方はまるで覚えられない。覚えるために詳細なカクテル作り方チャートを作るも、えーっととモタモタそれを見ているうちにオーナーがすべてサッと作ってしまう。レジはいろんなところにいろんなボタンがあってよくわからない。数字にとても弱くて、2桁からの暗算から既に怪しいし、暗算が必要ないといえどレジで打つにしても数字がこんがらがってミスる。たとえばいつも240円と420円がごっちゃになる、そんなかんじ。そしていままでどおり、客と目を合わせられないし、フロアに目を配ると「ジロジロ見てんじゃねーよ」って思われるんじゃないかと怯える気持ちがあってうまくできない。
あいたグラスを回収しに客のあいだをぬっていくのが、邪魔に思われるんじゃないかと怖くてうまく動けない。
そんな有り様で、ここも自然消滅的に辞めてしまったのだった。

4.ツウっぽいし大人っぽいと思った雀荘(数日)

「南入でーす!」と大きな声で言わなきゃいけないのがすごく嫌で辞めた。

5.めっちゃラクと聞いて行ったコンビニ製品の工場(数日)

仕事内容にはなんの問題もなかったけど、休憩時間に、ヤンキーな雰囲気の少女やおばさんたちと同じ空間で過ごさないといけないのが怖くて耐えられなかった。

6.レストランのホールに再チャレンジ!✊

「もうこなくていいよー」と言われた。

7.やっと精神的苦痛を受けずにできるバイトが見つかったと思いきや…(数日)

その場その場で起きることに突発で対処したり、複数の人間のいる空間に目を配ってなにかしたり、不特定多数の人と目を合わせることがむりなのかも。これは、慣れとかの問題じゃなくて、根本的に向いてない、自分の根っこが嫌がってることっぽい。

やっとそれに気づいて、今度はチェーンの「写真現像スタジオ」でバイトしてみることにした。
ここももちろん「写真スタジオでバイトしてる」と言ったらなんかサブカルっぽくてかっこいい気がするという謎のプライドと、他人の写真が見てみたいというこの仕事であってはならない好奇心から選んだ。

ここではそんなにワラワラ客がいるわけじゃないし、スピード感はそんなにいらなかったので前述のバイトたちよりもはるかにやりやすかったけれど、悲劇が起こった。
バイト数日で、ゴホッゴホッとひどい咳が出るようになった。わたしの軟弱な気管支が、写真の粉だかインクだかがダメでアレルギーみたいになっていたようなのだ。
こうしてわたしはこのバイトも数日で辞めることにした。このひどい咳は、辞めてからも半年くらい続いていた気がする。

こうした体験を通して、他人が「ラクだよ」と言っていることでも、自分には難しいことがたくさんあるんだと知った。
接客、特に飲食業を精神に異常をきたさずにできる人を心底尊敬する。違う種類の生き物だとさえ思う。飲食業は、特殊な運動神経と、対人スキルのある人の選ばれし仕事だと思う。

それからまた何個も多種類のバイトをしてみて、精神的苦痛なく長く続けられるものにも出会ったりして、個人の努力や慣れの問題ではない、向き・不向きがいかに重要なことか身に染みてわかった。

いっぱいやってみていっぱいダメだったらすべてがダメなんじゃなくて、ダメを避けて新しいことを模索していったら、ダメじゃないことに出会えた。
だからこれからも、不向きなことは徹底的に避けていく(っていう生き方しか残されていない涙)

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